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PCI Express 4.0対応でリード5GB/sはもう古い

リード最大7GB/sの衝撃!待望のSamsung製Gen 4対応SSD「980 PRO」を速攻レビュー

2020年09月23日 00時00分更新

純正ツールでリード7GB/s超えを確認

 しかしながら、これまでのSamsung製のSSDの特長として「ベンチマークソフトでも公称値にかなり近い値が出る」というものがある。実際、970 EVO Plusは公称値(シーケンシャルリード・ライトが3.5GB/s・3.3GB/s)をやや超える速度を記録している。そう考えると、980 PROはライトこそ公称値で5GB/s超なので納得の速度だが、リード速度は正直もう少しほしいところ。

 というわけで、ほかのベンチマークソフトでも試してみた。まずはIometerをもとにしているというSamsungの純正ツール「Samsung Magician」(Ver.6.1)に内包しているパフォーマンスベンチマーク機能を用いて測定してみた。

980 PROをSamsung Magician(Performance Benchmark)で計測した結果

970 EVO PlusをSamsung Magician(Performance Benchmark)の計測した結果

 980 PROはあっさりシーケンシャルリードで7GB/sを超え、シーケンシャルライトは5.1GB/s前後まで伸びた。公称値のリード最大7GB/s、ライト最大5GB/sはここで証明されたことになる。しかしながら、純正ツールだから都合の良い数字が出たんじゃないの? という疑いもある。そこで、ふと頭をよぎったのが先述のスレッド16設定時の同社のQDグラフだ。4KBランダム速度ではQDが大きくなるほど、ある一定の値までは速度が上昇傾向にあった。ひょっとして、QDを大きく設定できるベンチマークソフトで試せば、公称値に近いシーケンシャル速度が出るのではないか?

CDM6ではリード・ライト共に公称値をゆうに超えた

 そこで、シーケンシャルテストにおいてQD32で試せる「CrystalDiskMark 6.0.2 x64」(以下、CDM6)を実行することにした。CDM6は最新バージョンであるCDM7が登場するまでは定番ベンチマークとして確かな実績を残してきたソフトである。自社製ソフトではなく、第三者が制作したベンチマークソフトでリード7GB/sが確認できれば、公称値に疑いなしとなるだろう。

980 PROのCDM6(Q321T)の結果

970 EVO PlusのCDM6(Q321T)の結果

 ご覧の通り、980 PROのシーケンシャルリードは公称値である7GB/sをあっさり超え、シーケンシャルライトにおいては公称値を大きく超える5.2GB/s弱という成績を叩き出した。おもしろいのが、970 EVO PlusにおいてはCDM7の結果とほぼ変わりなかった点だ。つまり、NVMe SSDのボトルネックはPCI Expressの帯域幅にあったことが明確になった。

 Gen 3×4レーンの理論値は約3.9GB/s程度だが、Gen 4×4レーンでは約7.9GB/sとほぼ倍になった。しかし、両者とも実効値はそこからさらに低くなるので、970 EVO PlusにおいてはすでにGen 3の限界に近い性能を発揮している。そのため、QDを大きくしてもあまり速度に変化がなかったというわけだ。

 逆に、Gen 4対応SSDである980 PROはQDの大きさ次第でまだ伸びしろがありそうなのだが、Windows 10のアプリの大半はQD1~4で動くので、体感上の速度はこれまでのNVMe SSDとSATA SSDの関係と同様、大きく変わるものではないはずだろう。具体的に言えば、ゲームのロードにおいては1~3秒ぐらいの差に留まるのが関の山だと思われる。

 だが、エクスプローラー上でのファイル移動などに関しては、新品に近いほどシーケンシャル速度が物を言う。8K動画など、巨大ファイルを取り扱うことが多いユーザーなら980 PROを導入すれば諸々の作業が捗ることは間違いない。また、1秒でも早くゲームのロードが短くなれば上々というシチュエーションも多々あるだろう。例えば、MMORPGのダンジョン内の遷移は早いに越したことはない。筆者はFF14プレーヤーだが、ロードが数秒遅いせいでパーティーに置いていかれて、合流した頃にはボスがすでに虫の息だったことがある。あれはかなり切ないものがある……。

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