第309回
拡張スロットと補助電源コネクターそれぞれの供給電力を測定
ビデオカードの消費電力を正確に計測するNVIDIAの純正キット「PCAT」と「FrameView」を解説
2020年09月09日 19時30分更新
ゲームの重い・軽いと消費電力は関係がある
定格なら消費電力はカードのTDPに近くなり、Power Limitを引き上げるとカード全体の消費電力も相応に増えることがわかったので、今度は実際のゲームではどうなのかも調べてみよう。なお、ここからは定格状態で検証する。
今回はGeForce RTX 2080 FEにとっては負荷が軽いタイトル「Apex Legends」と、GPU負荷の高いタイトル「Control」の2本で比較する。つまり、ゲーム描画における負荷の大きさでカードの消費電力に差が出るか否かを見るのだ。
Apex Legendsはフレームレート制限を解除(+fps_max unlimited)にした上で、画質はすべて最高に設定した。一方、Controlは画質「高」をベースにレイトレーシング「高」を追加。解像度はどちらもフルHD、シングルプレイ状態(Apex Legendsは射撃練習場でテスト)で実験した。
描画の重い(RTコアも使われている)Controlよりも、描画の軽いApex Legendsのほうがカード全体の消費電力は低めだった。ゲーム本編が開まる1分過ぎから2分間の消費電力の平均を見ると、Apex Legendsはカード全体で193.5Wなのに対し、Controlは218.8Wと若干高い値をつけているが、上限はGeForce RTX 2080 FEのTDP225Wあたりで頭打ちになる感じだ。
Apex LegendsはControlに比べどの部位の消費電力も激しく変動しており、描画の重いControlではより安定して高い値を示している。軽いゲームでは消費電力も下がるが、フレームレートを全力で上げる設定では劇的に減るわけではない、ということがわかる。
Vsyncでフレームレートを抑制すると消費電力は激減する
フレームレート全開設定で消費電力が下がりにくいなら、フレームレートを制限したらどうなるのだろうか? ここでは「Rainbow Six Siege」を使い、途中からVsync(垂直同期)をオフ→オンにするとどうなるかも見てみよう。解像度はフルHD、画質「最高」をベースにレンダースケールを「100%」に設定した。GeForce RTX 2080 FEならVsyncをオフにすると平均300fps以上は出せる条件だ。
今回はマップ「海岸線」でプールサイドに立った時の消費電力を計測した。グラフで前半5分の1程度まではゲーム起動~ゲーム開始までの準備、150秒あたりからVsyncオフでゲーム開始、450秒あたりでVsyncをオンにしている。今回はリフレッシュレートが60Hzの4K液晶ディスプレーを使っているため、Vsyncオンで60fpsに抑制されることになる。

「Rainbow Six Siege」実行時にGeForce RTX 2080 FEの消費電力をPCATで測定した時の結果。150秒あたりからVsyncオフでゲーム開始、450秒あたりからはVsyncをオンにしている
結果はグラフの通り、Vsyncを有効にした瞬間にカード全体の消費電力は210W前後から60W前後に急激に低下した。
軽いゲームでもVsyncオフで全力運転するとGPUの発熱が高くなることは経験的に知っていた人も多いだろうが、PCATで計測してみるとビデオカードの消費電力が段違いだということがわかる。また、全力で回してもビデオカード全体の消費電力はカードごとに設定されたTDP付近に収束することも確認できた。発熱や消費電力に不安を抱えているならば、Vsyncを有効にするか、ゲーム側のフレームレート制限機能で上限を設定してしまえば抑制できるのだ。
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