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Astell&Kern SE200がマニアックにアップデート、MQAハードデコードとV-Link Music再生

2020年08月17日 13時00分更新

 次に、独自の動画再生機能“V-Link”にて「Music」の選択オプションが追加された。このV-Link機能とは実質的に「YouTube」を再生するためのものと思っていい。つまり、V-LinkのMusicオプションを選択すると「YouTube Music」と同等の機能が利用できるということだ。

 YouTube Musicは、グーグルの音楽ストリーミングサービスだ。5月には「Google Play Music」が終了し、YouTube Musicに統合されるという発表もあった。YouTubeはGoogle傘下の企業だ。つまりAndroid機器におけるYouTube Musicは、iOS機器におけるApple Musicと近い位置付けになる。ただし、YouTube Musicというだけあって個性的な側面もある。

 例えばYouTube Musicは、日頃YouTubeをよく使い、有名ミュージシャンなどをたくさんチャンネル登録するなどしているユーザーが使うと便利なストリーミングサービスという印象を受ける。そして流行のミュージシャンだけでなく、意外とマイナーなミュージシャンも網羅している。

V-LINKでYouTube Musicのトップを表示したところ。

 北欧のペイガン・フォークバンド「Wardruna」は、新作が出たので、筆者がたまたまTIDALで検索していたアーティストだ。YouTube Musicでも、きちんとヒットしてアルバムの再生ができた。ストリーミングサービスの魅力のひとつは、国内ではまず流通していない楽曲を自分で探して見つけることができる点なので、こうしたマイナーなミュージシャンも網羅されているのはありがたい。

 またYouTube Musicは、TIDALやAmazon Music Unlimitedなど、ほかのストリーミングサービスにはない「楽曲アップロード機能」を提供している。これはApple Musicも持っているが、配信サービスで聴ける楽曲だけではなく、自分で買ったCDをリッピングし、クラウドに上げることで、その楽曲をストリーミング再生できる(もちろん自分の端末のみ)。この機能は、Googleアカウントを持っていれば、有料プラン(YouTube PremiumやYouTube Music Premium)に入っていなくても、利用できる。

 これは、SE200でも同様だ。V-LinkのMusic機能を使えば、本体に入っていない曲を、YouTube Music経由でストリーミング再生ができる。

 実際に試してみた。曲はYouTube Musicの豊富なストリーミングライブラリでも配信されていない、日本のインディーズバンドを選んだ。

 念のためYouTube Musicで検索するとやはりストリーミング音源はないのでYouTubeの動画が表示される。これは彼らがプロモーション用にアップロードしたものだ。このように動画やMV/PVも合わせて検索できる点もYouTube Musicの優れたところだ。

YouTube Musicのページを開き、右上のメニューから「音楽をアップロードする」を選ぶと、ファイルを選択する画面が出る。

 音源をアップロードする作業はPCからのみ可能だ。PCで「music.youtube.com」にログインする。この際、PCでもSE200のV-Linkにログインしているのと同じGoogleアカウントを利用する必要がある。そしてメニューから「音楽をアップロードする」を選択して曲を選ぶ。ここでは、FLAC形式で保存した2曲をYouTube Musicにアップロードした。

 SE200で再生するには、V-LinkのMusicから、さきのGoogleアカウントでログインしてライブラリ→曲→アップロードと選んでいく。検索をして、アップロードタブを選択してもいい。するとあらかじめアップロードしておいた楽曲が選択てきるようになる。

画面中央に「アップロード」のプルダウンがあるのが分かる。その上段にはアーティスト自身が過去にYouTubeに公開した映像、下段には筆者がPCからアップロードした2曲が並んでいる。

 SE200のように、内蔵ストレージにたくさんの楽曲を保存できる機種では有効性が薄いかもしれないが、CDライブラリーをほかのAndroidデバイスと共有したい場合などに有効だろう。YouTube MusicはSonosスピーカーとも連携できる。また、V-Link Musicに対応したAKプレーヤーが追加されれば、使い道が増えていくかもしれない。

 YouTubeを日頃使っていて、たくさんのアーティストのチャンネルを登録してるカジュアルユーザーから、こうした音楽のアップロード機能やSonos連携などを駆使するマニアックなユーザーまで広く対応できるのがYouTube Musicの魅力といえるかもしれない。

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