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「AI問診Ubie」を応用して開発

ウェブで手軽に事前問診できる「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」無償提供開始

2020年05月09日 08時00分更新

 設立準備中の「一般社団法人日本医療受診支援研究機構」有志は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による医療崩壊の危機への対抗策として、Ubie株式会社開発の生活者向け事前問診サービス「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」の無償提供を2020年4月28日より開始した。

生活者向け事前問診サービス「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」を無償提供

 「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」は、スマホやPCで症状などの質問に回答することで、適切な医療への受診やタイミングを案内するサービス。すでに41都道府県約200医療機関で導入・活用されている「AI問診Ubie」を応用して開発されており、元となっているシステムは、約5万件の医学論文から抽出したデータに基づき構築されており、回答に合わせて約3500種類の質問データからAIが適した項目を選び出す。

 今回の「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」は、新型コロナウイルスの感染が疑われ、不安を感じている生活者向けに無償提供される。自宅からの事前問診で感染リスクを避けながら適切な受診行動を検討することを目的としている。

 ウェブページにアクセスし、年齢、性別、気になる主症状を入力すると、AIが症状に合わせて20問前後の質問が出される。これらの質問に答えると、病名辞書の中から該当する参考病名の代表例が複数表示される。最後に、回答に応じた相談先が提示される。ユーザー登録不要で、何度でも繰り返し利用可能だ。

約20の質問に回答

可能性のある病名を表示

受診行動を提示

 相談先は、かかりつけ医など地域の医療機関への受診前電話相談、厚生労働省や#7119等の公的機関の電話相談窓口、対応する診療科など回答によって切り替わり、新型コロナウイルス感染症の症状に該当する場合はアラートが表示される。院内感染の拡大を防止するため、地域のかかりつけ医に通院前の電話等での相談を促すほか、厚生労働省等の公的な電話相談窓口へ案内する仕組みだ。

 Ubie株式会社のAffection PRの片山 悠氏によると、一般生活者に対して「AI受診相談ユビー」の有料化は検討しておらず、コロナ禍への対抗策として、まずは広く使っていただくことで貢献していきたい、とのこと。

 気になる症状があっても、どこの病院に相談すればいいか自分で判断するのは難しい。インターネットの情報は信頼性が十分ではなく、自覚症状の見誤りや受診の遅れにつながることも。「AI受診相談ユビー新型コロナウイルス版」は、新型コロナウイルスだけでなく、あらゆる病気に対応しているので、早期の対処につながる。

 「一般社団法人日本医療受診支援研究機構」(JPSO)は、一般の生活者の適切な受診行動の支援と医療者の労働環境の改善を目的に、今夏の設立を目指して準備を進めていた組織だ。今回、新型コロナウイルスの発生を受けて、緊急措置として有志連合を組織し、先んじて同サービスを提供することになったという。

 有志メンバーは、独立行政法人労働者健康安全機構理事長の有賀 徹氏を代表とし、医療法人社団つくし会新田クリニック理事長の新田 國夫氏、知ろう小児医療守ろう子ども達の会代表理事の阿真 京子氏、戸田中央医科グループ災害対策特別顧問の野口 英一氏、Ubie株式会社共同代表・医師の阿部 吉倫氏の5名で構成される。

 今後の展開としては、Ubie株式会社の医療機関向けの「AI問診Ubie」と連携し、「AI受診相談ユビー」での事前問診内容を医療機関と共有できるシステム構築を進めていく予定だ。

 すでに、東京都・品川区の目黒みらい内科クリニックでは、ホームページ上からの事前問診内容を共有できるシステムを試験的に導入している。当クリニックからは、来院前に問診が終わるため患者の負担や滞在時間が減って院内感染のリスクを抑えられているほか、現場での業務負担軽減により診察など対面のコミュニケーションに集中できるようになった、という報告が得られているそうだ。

 AI受診相談は、症状に対して正しく適切な診療科や相談窓口にたどり着けるようにマッチングすることを目的としている。生活者の地域のかかりつけ医、病院の診療科を案内することで、地域医療のエコシステムを崩さずに導入を進めていける。もちろん、今回の新型コロナウイルス感染症のように来院によって感染拡大する危険がある場合などは、AI受診相談の先にオンライン診断を案内する、といった連携もあり得るだろう。

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