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各診療科からメンタル・介護の悩みまで幅広く対応する手軽な「遠隔健康医療相談」とは?

新型コロナで無料対応広がる「オンライン健康相談サービス」比較まとめ【個人・法人向け】

遠隔健康医療相談とは何か?

 厚生労働省では、医師または医師以外が情報通信機器を活用して、一般的な医学的情報や健康に関する相談をすることを「遠隔健康医療相談」と規定している。新型コロナウィルス感染拡大の特別措置で規制緩和されたオンライン診療と異なり、病気の診断や医学的な判断はできないが、健康に対する不安や病院を受診するべきかどうか、何科を受診すればいいかといった役立つアドバイスが「オンライン健康相談サービス」として受けられる。

 遠隔健康医療相談は以前から保険会社のサービスや福利厚生として提供されており、自治体が市民サービスとして実施しているところも増えている。ビデオ通話を使ったリアルタイムでの相談をはじめ、チャットやメール、アプリ、掲示板を利用したQ&A方式などさまざまな種類のサービスがある。

 医師以外の専門家が対応することもできるため、対応する科目は幅広く、介護や育児、こころの相談などにも応じてくれるサービスもある。保険証の提示も不要で、本人以外の家族の症状などを代わりに相談することも可能だ。プライバシーに配慮し、匿名での相談も可能で、症状を検索するだけであれば無料のところもある。有料の場合も医師が対面で行なう以外は比較的安価で、何度でも相談できる場合もある。

 現在のように診療を受けたくても病院に行きづらい状況にある時や、真夜中や早朝などに急に具合が悪くなった時に、24時間365日対応してくれるのはありがたい。引っ越ししたばかり、あるいは普段は会社の近くの病院を利用しているので、自宅に近い病院の情報が不足しているといった時などの相談にも応じてもらえる。

 また、医師が診察をする「オンライン診療」のオプションとして提供しているケースもあるが、医師に相談する場合は医療相談扱いになるため、医療相談料としての請求が発生する。最初から病院での受診を希望する場合は、オンライン診療を利用する方がいいだろう。(関連記事:特例措置で身近になったオンライン診療、どうすれば使える?

「オンライン診療・オンライン受診勧奨・遠隔健康医療相談で実施可能な行為」

おもなサービスと内容比較

 「オンライン健康相談サービス」と表記されるような遠隔健康医療相談には、ビデオ通話やチャット、メールなど様々なタイプがある。運営はオンライン診療システムの開発会社が多く、プラットフォームとしてサービスを提供しているところも多い。有料のサービスであっても、2020年5月現在、特別期間として新型コロナに関する無料相談に応じているところもいくつか見られる。

 それぞれ、ユーザーが会員登録して利用する場合と、健康保険や市民サービスとして提供されるケースがある。運営会社やサービスによってそれぞれ対応方法や金額、支払い方法が異なる。以下、現在展開されている主なものを編集部でまとめてみたので、活用してほしい。

コンシューマ向けオンライン健康相談サービス

幅広い相談が可能なオンライン健康相談サービス紹介・比較

LINEヘルスケア
 LINEヘルスケア株式会社とエムスリー株式会社の運営で2019年12月スタート。LINEを利用して48時間以内もしくはビデオ通話で医師と30分間リアルタイムで相談できる。経済産業省が設置する「健康相談窓口」に選定されている。
料金:いますぐ相談(相談予約):2000円(30分)/あとから回答:1000円(質問1000文字)[6月26日まで無料]

first call
 メドピア株式会社と式会社スギ薬局の合弁会社である株式会社がMediplatが運営。2016年からインターネットを利用した医療相談を開始。大手健康保険会社やドコモのdヘルスケアと連携するほか、企業や行政など多数で採用されている。
料金:月額550円(2ヵ月以上の利用で初月無料)[6月26日まで無料]

アスクドクターズ
 エムスリー株式会社が運営する国内最大級の医師相談サイト。Q&A掲示板から相談事例を無料で検索できるほか、6,100人以上の各診療科の現役医師が健康の悩みにリアルタイムに回答する有料サービスを提供。匿名での投稿も可能で、最短5分で複数の医師からも回答が得られる。新型コロナに関する無料相談を実施している(期間未定)。
料金:月額330円(月3回まで)

ヨミドクター「24時間医療相談サービス」
 讀売新聞が運営する医療、健康、介護サイト「ヨミドクター」の有料会員(有料)向けに提供する医療電話相談サービス。トリオフォンを使用する。
料金:月額200円(税抜き)

セコム・メディカルクラブ
 セコム医療システム株式会社が運営する「セコム・ホームセキュリティ」などの契約先向けのサービス。健康や医療に関する相談に看護師が電話で対応する。医療機関・専門医に関する情報提供をはじめ人間ドックの紹介なども対応している。
料金:契約内容に含まれる

Medical Note医療相談
 株式会社メディカルノートが運営する医療Webメディア「Medical Note」と連携した医療相談サービス。現役の医師が投稿した回答を検索する方法で情報検索でき、有料会員になると投稿ができる。新型コロナ特設サイトを公開している。
料金:月額500円(税込)

CARADA健康相談
 株式会社カラダメディカが運営するオンライン診療関連事業とあわせて電話やメールで悩みや不安を相談できる健康Q&Aサイト。現役の医師や薬剤師・心理カウンセラーなどの専門家が相談に回答する。有料サービスでは現在スマートスピーカーからの相談を試験的に実施している。
料金:「プレミアムプラスコース」月額550円(税込み)「プレミアムコース」月額440円(税込み)

小児科オンライン
 株式会社Kids Publicが運営。LINEや電話を利用して子ども(0〜15歳)に関する質問や悩みを16時〜23時(土曜除く)小児科医に10分間相談できる。有料だが無料で使える合言葉を提供している。産婦人科オンラインも運営している。
料金:月額3980円(税抜)[6月26日まで無料]

LEBER (リーバー)
 株式会社AGREEが運営。スマホアプリを使い、チャットボットによる問診で適切な相談先が見つけられる。200名以上が登録する医師ネットワークを通じて最短3分でアプリに回答が送られる。医療機関や市販薬のアドバイスもあり、家族の相談も可能。法人や行政(茨城県で採用)向けにも運用している。
料金:1回100円から(回答の早さと医師によって変動)。別途有料会員メニューもある。[新規登録で1回無料、新型コロナウィルスに関する相談のみ5月31日まで無料]

特定団体による無料相談窓口も対応促進中

 このほか、経済産業省は2020年3月11日から「医師による遠隔健康医療相談窓口」を設置し、期間を6月26日まで延長している。サービスを行っているのは、医師によるオンライン医療相談「first call(ファースト・コール)」(Mediplat)と、ラインヘルスケアが提供する「LINEヘルスケア」の2社。いずれもチャットで相談ができる。新型コロナ以外の内科、皮膚科、小児科などにも対応している。LINEでは別途「新型コロナウイルス感染症情報 厚生労働省」公式アカウントを開設しており、チャットボットでの対応で感染症の疑いがある場合にLINEヘルスケアを通じて相談ができるよう連携している。

first call

LINEヘルスケア

 また、大手生命保険会社は既存の健康相談サービスと提携しているケースが多い。キャリアが独自に提供しているヘルスケアサービスもオンライン健康相談サービスを利用して提供されている。また、LINEやセコムのように別会社を立ち上げて、オンライン健康相談サービスを販売しているところもある。企業の福利厚生として、また自治体が市民サービスとして提供している場合もこうした外部のサービスを利用している場合が多い。

 法人や団体に向けたおもなものでは、下記のようなサービスが展開されているので参考にしてほしい。

法人や各種団体向けオンライン健康相談サービス

first call
 健康相談窓口のプラットフォームとして大手健康保険会社や企業や行政など多数で採用されている。

メディカルケアステーション(MCS)
 エンブレース株式会社が運営する医療および介護関係者の支援を目的とするSNS。状況に応じて患者や家族も参加できる。ドクターズ株式会社が運営する医療専門家のクラウドソーシングサービス「Doctors Cloud」とも連携しており、現在医療関係者と個人向けに新型コロナに関する医療相談ができる「新型コロナウイルス感染症オンライン健康相談サービス」を公開している。(5月31日まで)

ティーペック株式会社
 電話健康相談事業のパイオニアで法人および個人向けに電話健康相談サービスを提供。常勤のドクターをはじめとする専門スタッフが24時間電話で健康相談に応じ、生活習慣病からメンタルヘルス、認知症まで幅広く対応する。

健康コンシェルジュマイドクター
 株式会社保険同人社が運営するトリオフォンを使用した電話健康相談サービス。250名の指導医や独自に集積した専門医データベースからどの医師との相談が適切であるかを検討し、電話相談の日程を調整した上で相談できる。医師や医療機関の紹介、紹介状の発行も行っている。ソニー生命等が採用している。

 

 今回は医師や専門家に相談できるサービスを中心に紹介しているが、オンライン診療の規制緩和が進んだ影響で、医師に診療の一部として相談する医療相談なのか、診断を含まない健康相談の範囲なのか、サービスによっては分類が難しくなっている。

 医療相談への回答をデータベース化して検索したり、botを利用して自動返信で対応するといったサービスや、医師の紹介やセカンドオピニオンをメインにするなど、いろいろなタイプが登場しているので、今後それらのサービスを分類する動きが出てくるかもしれない。

 また、相談する方法もスマホやパソコン、アプリが使われているが、歩数計や血圧計などの健康機器のユーザー向けに、バイタルデータを元に健康相談したり、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスへ健康状態を自動通知する機能ができるものもすでに登場している。

 メンタルヘルス関連ではAIを利用して、相談の書き込みや音声から気分を分析するといったシステムも開発が始まっており、専任のバーチャル健康アドバイザーや医師と契約するサービスが登場するのもそう遠くはないかもしれない。

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