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MacBook Air 2020版のベンチマーク比較テスト

新MacBook Airは買い!? 性能をデュアルコア、クアッドコア、MacBook Proとも比較

2020年04月14日 09時00分更新

 事前の噂では、MacBook Proの13インチモデルと同時にアップデートされるのではないかとも言われていたMacBook Airだが、今回、2020年3月に発表されたMacのアップデートはAirだけだった。

 いきなり本題とは逸れるが、このことは、どうしてもひとつの憶測を生む。それは、MacBook Proは昨年末に登場した16インチモデルだけになり、画面サイズが13インチのMacノートは、今回のAirに委ねる形になるのではないかということ。

 もちろん、今のところ私の勝手な想像に過ぎないが、以前からAirが13インチモデルだけとなり、Proの13インチモデルとキャラクターが被る部分が多くなってきていたことを考えれば、もしそうなったとしても大きな驚きではない。そうこう言っているうちに、あっさりProの新しい13インチモデルが発表され、これが単なる戯言だったということになる可能性も当然ある。

 それはともかくとして、今回登場したMacBook Airが13インチモデルのMacBook Proを脅かすような存在であることは事実だ。以前はあった、Touchbarなしの13インチProが、ラインナップから消えた理由のひとつには、それと区別がつきにくくなったAirの存在があったのではないかとも思われる。

 そこで今回のレビューでは、このAirが、MacBook Proの13インチモデルの代わりとして使えるのか、あるいは、少なくともそのすぐ下のクラスに位置するモデルとして、Macとしてのグレードの連続性が保てるのか、といった視点でも見ていくことにしよう。

外観とキーボード

 新しいMacBook Airの外観とキーボードについては、すでに最新Airのファーストインプレッション記事でも、詳しく述べた。今回その記事のために試用した「ゴールド」のAir以外にも、主にパフォーマンス比較用として「スペースグレー」のAirも借用して使ってみることができた。そこで外観についての印象を中心に、もう少し付け加えておこう。

 まず、色によって受ける印象の違いは、かなり大きい。当然と言えば当然ながら、スペースグレーのAirからは、なんとなく「プロ」的な雰囲気が漂う。もし、MacBook Proの13インチモデルから乗り換えたり、Airにもプロ的な雰囲気を求めるのなら、スペースグレーを選ぶのが良いだろう。

ゴールドは、光の具合によってはピンクっぽくも見える

 プロっぽい雰囲気を求めるのではなく、Airならではのカジュアルな雰囲気を求めるなら、やはり前回にも示したゴールドや、Airとしての伝統的なカラーとも言える「シルバー」を選ぶのがいいだろう。もちろん好みの問題だが前回も述べたように、ゴールドはカッパー(銅)と呼んでもおかしくない渋い仕上げになっているし、光の具合によってはピンクっぽくも見えるような味わい深い色で、個人的にはAirの代表色と考えても良いのではないかと思っている。お薦めだ。

 キーボードについても、ファーストインプレッションの記事で述べた通りだが、その際には、どうしても従来のバタフライ式のものと比べての印象が中心となっていた。それだけを読むと、単にバタフライ式よりも良くなったという点だけが強調されるに過ぎない、ということに気付いた。

Magic Keyboardの構造(アップル公式サイトより)

 これは、ストロークの深さや反発力、あるいはキートップの遊びの量などを計測して数値で評価したものではないが、もう少し広い範囲で比べてみると、歴代のMacBookシリーズ、それ以前のPowerBookやiBookシリーズと比較しても、もっとも優れたキーボードになったと言ってもよいのではないかと感じている。確かに、ストローク感は、バタフライ式になる以前のMacBook Proなどと、ほぼ同様と言ってもいい。しかし、指先がキートップに触れてから、実際にキーを押し込んでタイプする間の安定感は、明らかに今回のシザー式に軍配が上がる。擬態語で表現すれば、カシャカシャした感じがまったくなくなっている。また、キーの中心からずれた位置を押した際のキートップの傾きも小さい。言い換えれば、ブレや遊びが少ないのだ。

 私も、世の中のラップトップのキーボードをすべて試したわけではもちろんないが、これまでの経験の範囲で言えば、ここまでしっかりしたキーボードに仕上がっていれば、現在の各メーカーのラップトップやノートブックの中でも、トップクラスのキーボードを備えた、と言ってもよいのではないかと考える。

 なお、前回は触れなかったが、新しいAirの上下左右の方向キー、いわゆる矢印キーが逆T字型の配列になっている。これは、このシザー式のキーボードのひとつの特徴でもある。最初にシザー式のキーボードを採用して、昨年末に発売されたMacBook Proの16インチモデルも、そうだった。もちろん、キーボードの方式と矢印キーの配列には直接関係はなく、シザー式だからできた固有の特徴というわけではない。

 以前のバタフライ式のキーボードの矢印キーの配列はどうだったかというと、その他のキーの奥行きの半分の上下キーを、他のキーと同じサイズの左右方向キーが、両側から挟んでいた形だ。いわばH型配列とでもいったところ。左右キーについては、フルサイズのキートップなので、実は今回の逆T字配列の左右キーよりも押しやすい。

 慣れれば、それはそれで使いにくくはないが、ハーフサイズの上下キーとサイズが合わないので、全体として押しにくいと感じる人がいたのかもしれない。確かに、デスクトップ用の外付けフルキーボードの方向キーは、逆T字型の配列になっている。もちろん、その場合は4方向すべてのキーがフルサイズなので、まったく問題ない。

 新しいシザー式のキーボードの場合、これまでフルサイズだった左右キーをハーフサイズにしてまで、逆T字配列にこだわる必要があったのかどうかは疑問だ。ハーフサイズで逆T字配列の方向キーが、以前のフル/ハーフ混在の矢印キーよりも使いやすいかどうか、一概には言えないからだ。少なくとも、他ではなかなか見分けにくい、新旧のAirを見分ける目印にはなるだろう。

 なお、これはかなり微妙な点となるが、キーボード上部に配置されたファンクションキーのサイズは、一見すると矢印キーと同じサイズに見えるかもしれない。しかし、ファンクションキーは、幅が一般のキーよりもわずかに広く、奥行方向のサイズは、一般のキーの半分よりも、ちょっとだけ大きくなっている。定規でラフに計測した数値で示すと、一般のキーは、幅が約17mm、奥行きは約16.5mmで、ほぼ正方形だ。

 それに対して矢印キーは、幅は約17mmで同じだが、奥行きは約8mmで、やはりハーフサイズと呼ぶのが相応しいサイズになっている。そしてファンクションは、幅が約18mmで、奥行きは約9mmとなっている。

Airのファンクションは大きめで、実際に押してみてもなんとなく安心感がある

 縦横比は2対1で、それ自体ではハーフサイズと言ってもいいかもしれないが、一般のキーのハーフサイズの矢印キーよりも、全体的に大きくなっている。このあたり、実は以前にあったTouchBarなしのMacBook Proの13インチモデルでは、ファンクションキーの奥行きが、上下の矢印キーとほぼ同じで、かなり細く感じられるものだった。その点、Airのファンクションは大きめで、実際に押してみてもなんとなく安心感がある。

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