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世界が激変している2020年、人気メニューの味は変わらず:

いつかあなたと向かい合って、ごろごろ煮込みチキンカレーが食べたい

2020年04月07日 17時30分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

「ごろごろ煮込みチキンカレー」
松屋
590円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/200407.html

2020年、ごろごろ煮込みチキンカレーを家で食べる

 夢を見ました。数年前に亡くなった祖母から電話がかかってきて、「ごはんを作ったから、食べに来ない?」と言うのです。

 しかし、なにぶん新型コロナウイルスの流行が言われていますし、年配の人に感染させるわけにはいきません。「申し訳ないけれど、いろいろ落ち着いてから行くよ、いまは危ないし……」と断ると、電話口から、祖母がすこしだけさびしそうに「そう、わかった。体に気をつけてね」と返事をくれました。

 目が覚めて、なんだか、ずいぶん、しんみりとしてしまいました。

 牛めし、カレー、定食などを販売する「松屋」は、「ごろごろ煮込みチキンカレー」を4月7日から期間限定で発売します。並590円、大盛690円。

 これまでにも登場して好評だった通称“ごろチキ”が復活。特製カレーに鉄板でジューシーに焼き上げたというチキンをプラスした、食べ応え満点をうたうカレーメニューです。みそ汁つきで提供されます。

こちらは2019年に撮影したもの

 生野菜セットはプラス100円。「カレギュウ」(並600円、大盛700円。プレミアム牛めし未販売店舗では、並560円、大盛660円)、「ハンバーグカレー」(並600円、大盛700円)といったバリエーションメニューも用意されています。

 いずれも持ち帰り可能。ただし、持ち帰りにはみそ汁はつきません(別途60円)。

 ごろごろ煮込みチキンカレーの販売期間中は、現在販売中の「創業ビーフカレー」「創業ビーフカレギュウ」「創業ハンバーグビーフカレー」は休止されます。

余計な道草はせず、さくっと購入してすぐに帰宅しました。自宅の台所が味気なくてすいません

 自分はこのカレーに並々ならぬ愛着を抱いておりまして、2018年には「松屋『ごろごろ煮込みチキンカレー』との長いお別れ」と題して丁重に話してみたり、2019年にはせっかくなのでパワポでプレゼンしてみたりと、いろいろな紹介を試みていました。好きなので。

 そして2020年。年始の頃は、4月ともなれば、東京五輪を間近に控え、春の新生活ムードで華やかになっていると思っていたものですが、現実はなかなか、想像もつかないことが起きるものです。KADOKAWAグループも、3月30日から基本的にフル在宅勤務体制に移行せよ、となっています。

 こんなご時世になっていけなければ、夢の中で、祖母と食卓を囲めたかもしれないのですが。

590円のメリットをテイクアウトで利用しよう

 現在、世界中では外出を避け、なるべく家にいようという心がけが徹底されております。自分の場合、病院に行く予定があり、そのあとに松屋でテイクアウトを受け取り、帰宅してしっかり手洗いとうがいをしてから食べました。

いつも店内で食べるので、あまりテイクアウトは利用しません

 相変わらず、ごろごろ煮込みチキンカレーはスパイスが効いていて、しっかりと辛い。そしてチキンが、“ごろごろ”とうたうように、きちんと入っている。590円にして、とてもしっかりしている。コスパにすぐれたスキがないカレーです。

 もちろん、松屋のごろごろ煮込みチキンカレーが、どこよりもうまいカレーだなどと言うつもりはありません。このクオリティのカレーが、全国にチェーン展開している店で食べられるということが肝要なのです。しかも注文したら3分と待たず出てくるのもうれしい。

写真ではわかりにくいですが、チキンのごろごろ感は不変

 とはいっても、これを店頭でガツガツと食べたかった、そして、編集部のみんなで感想を言い合いたかった、というのはあります。

 自宅で仕事をしていると、基本的には孤独です。オンライン会議ツールを利用したり、社内チャットで話し合ったりということもありますが、1人で誰とも向き合うことなく生活を続けています。こうなると、オフィスで編集部員のみなさんと話せたり、上長にすぐに相談できたりといった環境が、いかに大事であるかを思い知らされます。

 最近では、社会とのつながりが、「あつまれ どうぶつの森」でカブ価をチェックするか、「グランブルーファンタジー ヴァーサス」で対戦するぐらいしかありません。ジータ、一気にゲージを6500も持っていくのはやめてほしい。画面端に追い込まないでくれ。

このサイズです。これを食べたかった

 松屋のごろごろ煮込みチキンカレーの味は、2020年も変わりません。だけれども、それを取り巻く状況は変わってしまいました。お気に入りのカフェや居酒屋にも寄れず、実家に帰るのもしばらくは控えないと……と思いつつ、自室でもくもくと松屋のカレーを食べていると、この連載の「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」という名称さえ、なんだか悲しく感じられてきます。

 SNSをのぞいてみると、やれ政府の対応はどうだとか、やれ海外ではこうなのに国内ではどうだとか、多くの人がカリカリしています。このような状況下で、10:0の態度を取り続けるのはむずかしいものです。6:4や、3:7の意見で動いている人たちもいます。不満もあるけれど、しょうがない部分もあるし、うまくいっている対応もありましょう。世界中で、試行錯誤しながら、多くの人たちが最善を尽くそうとしているのです。

 我々も過度に無理はせず、ほどほどに自炊、ときどき外食のテイクアウトに頼る、なんていう塩梅でよいのではないかと。

このように、あなたがたにも今は不安がある。しかし、わたしは再びあなたがたと会うであろう。そして、あなたがたの心は喜びに満たされるであろう。その喜びをあなたがたから取り去る者はいない。(ヨハネによる福音書 16:22)

 そう考えると、590円でサクッと具材大きめのおいしいチキンカレーがテイクアウトできる松屋のメリットを、われわれは大いに享受すべきではないでしょうか。ネット予約の「松弁ネット」もありますので、うまく利用するのもよいでしょう。テイクアウトの機会が増えてくれば、いわゆる“味変”にも挑戦し、楽しみたいところです。

 感染を広げないことを徹底しつつ、いまは辛抱のときです。いつか、取材に出られるようになり、業務に走り回れるようになり、編集部のみなさん、読者のあなたと向かい合って、笑いながら、松屋のカレーについて語れるようになる日が来ることを、待ち望んでいます。


モーダル小嶋

 

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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