週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

NTTデータ「第10回豊洲の港から presents グローバルオープンイノベーションコンテスト」レポート

貸付リスクを生体情報で分析する技術など、世界選りすぐりのベンチャーがプレゼン

2020年03月31日 11時00分更新

「インダストリー4.0の自立型SasSプラットフォーム」を実現するAIを提供
「Unmanned Life」

 エジンバラからはUnmanned LifeのCTO キム クレメント氏が登壇した。Unmanned Lifeは「インダストリー4.0の自立型SasSプラットフォーム」を実現するための人工知能を提供している。

 Unmanned Lifeはさまざまなメーカーの市販のハードウェア、たとえばロボット、ドローン、AGV(Automatic Guided Vehicle)などを、さまざまなネットワーク(Wi-Fiや4G、5G、Edgeなど)を介してプラットフォームで一元管理できるのが特徴だ。

 アメリカや日本に対して想定しているのは、倉庫から組み立てラインまで、屋内ではAGV、建物間はドローンを使い、その他のハードウェアで施設の監視や検査をするといった活用法だという。

エジンバラのUnmanned Life CTO キム クレメント氏

さまざまなハードウェアを一元管理し、スワームロボティクスを実現している

産業用ロボットのプログラミングと作動を簡単なものにするデバイスを提供
「Wandelbots」

 ミュンヘンからはWandelbots Head of Japan&SEA パトリック グロサ氏が登壇した。Wandelbotsは産業用ロボットのプログラミングと作動を簡単なものにするデバイスを提供している。

 近年、ロボットは自動車産業だけでなく、さまざまな産業で使われるようになってきた。ここで問題になるのがコスト。ロボットが高価なのは、プログラミングとソフトウェアが高いためだという。

 Wandelbotsのトレースペンをロボットのアームに付けて、タブレットで操作し、ロボットの動きを記録する。そのデータは別のロボットにコピーすることもできる。プログラミングの必要がないので、開発時間が8分の1になるという。

ミュンヘンのWandelbots Head of Japan & SEA パトリック グロサ氏

ロボットアームにトレースペンを付けて、タブレットで調整するだけで動作を記録できる

コーディング不要の製造業アプリケーションプラットフォームを提供
「Tulip Interfaces」

 ボストンからは、Tulip Interfaces Head of Global Sales and Channelsのマユスー カッツマン氏が登壇した。Tulip Interfacesは製造にかかわる機械、製造工程をリアルタイムで把握できる工場へとデジタルトランスフォーメーションさせる、コーディング不要の製造業アプリケーションプラットフォームを提供している。

 工場などの製造現場には、ひとつとして同じ所はない。採用しているプロセスや使っているソフトウェア、トラッキングの方法などが異なっている。一方、現場で使っているホワイトボードやパワーポイント、ストップウォッチ、紙のマニュアルといったツールがこの環境に追いついていないという。

 製造業は年間2兆ドルを自動化に投資しているが、不良・不具合の7割は人に関するものだそう。そこで、Tulip Interfacesは人の生産性を高めることで、製造現場を支援するアプローチを取っている。プログラムを書くことなく、IoTを活用しながら、データドリブンの情報ツールを提供し、プロセスを可視化することでダウンタイムを削減したり、不良品をトラッキングしたりできるという。

ボストンのTulip Interfaces Head of Global Sales and Channels マユスー カッツマン氏

DMG森精機への導入事例。エンジニアがリアルタイムの情報をディスプレーで確認できるようになっている

あらゆるモノのデジタルデータツインをリアルタイムに共有するエコシステムの実現を支援
「Iotic」

 ロンドンのIoticからはHead of Engagementのアリ ニコル氏が登壇した。Ioticは、あらゆるモノのデジタルデータツインをリアルタイムに共有するエコシステムの実現を支援する企業だ。

 ロールス・ロイスの事例では、エンジンのデジタルツインを作り、それを26ものレガシーなシステムとつないでいる。それぞれのデータポイントのツインを作り、アセットを見られるようにしている。数十億ドルも売り上げるためには、アセットをリアルタイムに見る必要があるためだ。

 ヨーロッパのゼネコンであるbamの事例では、場所のデジタルツインを作った。サプライチェーンの情報を集め、天気や環境保護の情報と集約することで、大きな事象のイベントストリームを作成。アセットをしっかり活用できるようになり、年間100万ポンドものコスト削減が実現したという。

ロンドンのIotic Head of Engagement アリ ニコル氏

ロールス・ロイスの事例。エンジンのデジタルツインをさまざまなシステムから利用できるようなエコシステムを構築した

作業者が点検作業を電子的に記録、管理することができるAIソリューションを提供
「Anomalous」

 エジンバラのAnomalousからはChief Product Officer マット デイビス氏が登壇した。Anomalousは作業者が点検作業を電子的に記録、管理することができるAIソリューションを提供している。

 点検は従来付加価値のないプロセスと見られていたが、ひとつのパーツに抜けていたり、ミスがあったりすると、大惨事になる可能性がある。しかし、人的エラー率は必ず2~3割は発生するという課題がある。

 そこで、Anomalousはコストを下げつつ、より早く、より正確に、安全な検査ができるようにしている。長期的には、パーツの来歴をトラッキングすることもできる。そしてデジタルパスポートを発行し、その情報をデジタルツインにも落とし込み、活用している。

エジンバラのAnomalous Chief Product Officer マット デイビス氏

さまざまなインプットソースでAIによって検査できる

鋭い質問にもノータイムで返答するレベルの高さ

 以上の14社が熱いプレゼンを繰り広げたあと、A会場に場所を移して、表彰式が開催された。最優秀賞を獲得したのはヘルスケア・ライフサイエンス領域のBinah.ai(テルアビブ)。SDGs賞はWingcopter(ミュンヘン)が受賞した。

 領域賞としては、金融・保険・決済領域で、Nauphilus(メキシコシティ)とDigital Fineprint(ロンドン)、オートモーティブ・MaaS領域でDorabot(深セン)、テレコム&IoT領域でIotic(ロンドン)が受賞した。E会場でプレゼンが行われたリアル店舗のデジタル化とデジタルマーケティング領域ではAnagog(テルアビブ)、Disruptiveな社会変革および業際ビジネス領域ではIGOODI(ミラノ)が受賞した。

 グローバルで活躍するスタートアップの本気のピッチには圧倒された。質疑応答でも鋭い質問が飛ぶが、どの登壇者もノータイムで正面から回答するなど、熱量の高さを感じた。受賞した企業は確かに存在感はあったが、そもそも個々に登壇している時点で世界中のピッチコンテストを勝ち抜いているということで、受賞しなかった企業も凄かった。今後、日本の企業とタッグを組んで、新事業を創出し、スケールしていくことを期待したい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう