週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

間違いゼロ!経費精算をクラウド化するMerryBizのサービスがスゴイ

2015年12月15日 17時00分更新

 みなさん、こんにちは。ASCII(週刊アスキー+ASCII.jp)編集部の吉田でございます。さて、残すところ今年もあと半月。大掃除のスケジュールなどを立てている方も多いのではないでしょうか。

 個人事業主の方にとっては、大掃除が終わっても年明けからは3月の確定申告に向けて領収書の整理などを始めなければなりませんね。とはいえ、1年分の領収書をイチイチ入力するのは手間なうえ、単純作業なので苦痛しかありません。実は、この面倒極まりない領収書やレシートのデータ化は、いまならクラウドが解決してくれるのです。今回紹介するのは「MerryBiz」と呼ばれるサービス。実は以前に公開した、IBM Fintech Meetingの記事中で触れたことがあるのですが、ユニークなサービスなので実際にオフィスにお邪魔してサービス内容を詳しく聞いてきました。

MerryBiz
MeryyBizでCEOを務める工藤博樹氏に直接話を聞きました

 MerryBizは、領収書やレシートに記載されている金額などをテキストデータ化するサービス。

MerryBiz
MeryyBizは月額2980円から利用できるレシート・領収書のデータ化サービス

 利用者は、領収書やレシートをまとめて郵送するだけで、1週間以内にすべてがデータ化されるほか、領収書自体もスキャンされて画像データとして受け取れます。もちろん、原本である領収書やレシートは利用者に返却されます。

MerryBiz

 もちろん、ドキュメントスキャナーを購入して領収書を自らスキャンしてOCRでテキスト化という手もあります。しかし、ドキュメントスキャナーは安いものでも2万円ぐらいはしますし、スキャンの手間もかかります。最近のOCRでの文字の読み取りは精度が高いですが完全とは言えません。名刺のスキャンならデータの一部に間違いがあってもスキャンデータを見直せばいいのでそれほど支障はきたしませんが、経理処理では100%の一致が必須です。MerryBizでは、これを月あたり2980円からテキストデータ化してくれるのです。

MerryBiz
MerryBizでは、月平均50仕訳、年間最大600仕訳の「スモール」プランなら月額2980円で利用可能。個人単位で考えるとこのプランで十分ですね

 入力間違いをどうやって根絶しているかというと、一枚の領収書を最低でも二人のスタッフが入力し、入力したデータが一致しないとデータ化が完了しない仕組みになっているとのこと。二人のスタッフのデータが異なる場合は、さらにもう一人のスタッフが同じ領収書のデータ入力するという仕組みです。このダブルチェックシステムによって、データの誤入力を完全に防いでいるそうです。「これから入力する領収書やレシートが、ほかのスタッフが入力済みかどうかはわからないようになっています」とのこと。

MerryBiz
スタッフの入力画面。スキャンされたレシートや領収書が表示され、各項目にテキストを入力していきます

 工藤氏によると、「個人事業主や中小企業のユーザーの場合は週ごとや月ごとに領収書が届くというケースが多いが、毎年1月、2月ごろは確定申告用の領収書やレシートが段ボール箱で届く」とのこと。MerryBizは創業2012年2月のスタートアップ企業で、常駐スタッフの人数は数えるほど。大量に届いた領収書をどうやって処理するのか聞いたところ、「領収書のスキャンはMerryBizのオフィスで実施していますが、データ入力については全国に散らばるパートタイマーのスタッフが担当している」と工藤氏。「受け取った領収書はユーザーに返却する必要があるので、オフィス内で厳重に管理してスキャン後には速やかに返却する」そうです。

MerryBiz
入力されたデータのサンプル。日付と勘定科目、税区分、金額、消費税、摘要などをテキストデータとしてまとめてくれます
MerryBiz
項目の右端をクリックすれば、スキャンされた領収書やレシートを参照できます

 「創業当時はスタッフを集めるのに苦労しましたが、現在では東日本大震災の復興の目的もあり、福島在住のスタッフなどを中心に専業スタッフが全国で増えている」と工藤氏。パートタイマーのスタッフは時間や処理量などのノルマはなく、PCさえあれば空き時間に仕事を進められるのが好評のようです。スタッフのログイン時間を見てみると深夜で作業されている方も多いそうで、「作業したぶんだけ報酬になるというシステムなので、子育てしながら仕事をされている人も多い」とのことでした。

 入力された領収書のデータは、CSV(カンマ区切りテキスト)形式で書き出せるのはもちろん、freee、弥生会計、MFクラウド会計(Money Forward)などにそのまま取り込むことも可能です。

MerryBiz
一般的なCSVだけでなく、各種クラウド会計ソフトに対応した形式でもダウンロード可能です
MerryBiz
一括ダウンロードも可能です

 調査会社のデジタルインファクトが2015年8月に公開した「第二回 クラウド型会計ソフトの利用動向調査」では、会計ソフトの利用率は全体の31.3%で、クラウド会計はその中の3.1%。Excelなどの表計算ソフトを利用しているユーザーが22.5%でした。そして残りの46.2%は、パッケージ版の会計ソフトもクラウド会計サービスも表計算ソフトも使っていないユーザー、つまり会計事務所に丸投げしているであろう層です。 

MerryBiz
会計ソフトの利用率(デジタルインファクトのウェブサイトから引用)

 MerryBizは、クラウド会計はもちろん通常のCSVでの書き出しも可能なので、汎用的に使える点で注目ですね。もちろん、会計事務所に丸投げしている場合でも、会計事務所側はなんからのソフトを利用しているケースが多いので、経費データがデジタルで記録されていれば効率化できることは間違いありません。

 税制改正により、スキャンしたレシートや領収書を原本として経理処理に使えるようになるのですが、電子署名やタイムスタンプの証明が必要など、使用条件が結構厳しくあまり実用的ではありません。このあたりがもう少し緩和されれば、MerryBizのサービスの重要性がさらに増すと思われます。

■関連サイト
MerryBiz
第二回 クラウド型会計ソフトの利用動向調査(デジタルインファクト)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります