米国出張の時差ボケがようやく治ってきた8月末、今度はIFAが開催されるベルリンへ向けて移動を始めました。今夜はノルウェーのオスロに滞在しています。
8月最後の日曜日、短い夏が終わり秋の気配が漂ってきたオスロ中心部。今週はいよいよベルリンでIFA開幕だ。 |
9月からは国内外で、年末商戦を見据えた新製品の発表ラッシュが始まります。この秋のモバイルトレンドはどのあたりにあるのか、予想してみたいと思います。
Galaxy Note5は本当に日本で出ないのか
サムスンは8月13日、ニューヨークでGalaxy Note5とGalaxy S6 edge+を発表しました。この発表会場において、「日本での発売予定はない」とのコメントがあったことで、日本のGalaxy Noteユーザーに動揺が広がっているようです。
Galaxy Note5とGalaxy S6 edge+は日本では「検討中」の状態としている。 |
一方、サムスン電子ジャパンは国内発売について「検討中」としており、土壇場になって発売に転じる可能性も残っている印象です。ただ、現時点でリーク情報などが出ていないということから、発売は厳しい状況とみられます。
キャリアからの発売がないとしても、SIMフリーで売るという選択肢はないのでしょうか。かつて日本でスマホの普及を牽引してきたGalaxyシリーズも、国内ではGalaxy S4がドコモの”ツートップ”として売れた後、徐々に勢いが落ちているように感じます。
鮮やかなAMOLED画面と戻るボタンが右側にあるGalaxyシリーズは、好き嫌いがはっきり分かれる端末といえます。ただ、Galaxyシリーズに慣れたユーザーにとって、乗り換え先は高価なGalaxy S6シリーズしかなく、もう少し選択肢を提供してほしいところです。
海外で展開するミドルレンジのGalaxy Aシリーズを含め、そろそろサムスンはSIMフリー市場に全面的に打って出るタイミングではないか、と筆者は考えています。
iPhoneがますます強まる状況にどう対抗するか
アップルは9月9日に新製品発表会を開催しており、例年通り、新型iPhoneの発表が期待されています。
ここ最近、国内キャリアは新端末の発表にあまり労力を割かなくなっており、秋冬では「iPhoneが売れれば、それでいいのではないか」という空気が広がっているように感じます。逆にこれまでほぼiPhone一辺倒だったソフトバンクが、Androidの比重を高めているのが目立つほどです。
ソフトバンクはスマホの例としてAndroidらしき端末を挙げ、孫社長もiPhoneだけでなくスマホ全般を指すよう言葉を選んだ話し方をするなど、Androidへの比重を高めている。 |
日本のスマホユーザーは、防水やおサイフ、フルセグといった機能を求めているものと、一般には理解されています。ただ、iPhoneはその大きな例外で、キャリアが販売面に注力しており安く運用できること、困ったことがあっても解決しやすいこと、気に入ったアクセサリーを見つけやすいことが理由として挙げられます。
世界的にはiPhoneは一種の高級ブランド品であり、シェアとしては低迷している市場も多い中で、日本では他のスマホよりトータルで見たときの運用コストが低い状況にあります。
日本では小中学生が持っていても不思議ではなくなったiPhoneだが、海外ではブランド品と化しており庶民には手が届かない国も多い。 |
こうした特異な状況において、特に国内の端末メーカーはどのように対抗していけばよいのでしょうか。iPhoneに対して各社さまざまな差別化を試みてはいるものの、キャリアがそれらを”一括0円”などで売ってしまうと、あまり意味をなしません。
SIMフリー市場は“格安スマホ”との名前が先行し、価格競争は激しく、海外メーカーの参入も相次いでいます。こうなると、もはや“ガラホ”やシニア向け、子供向け、タフネスなど、iPhoneが明らかにカバーできていない分野に特化するくらいしか、打つ手がないのではないか、とも思えてきます。
こうした中で、この秋には新型iPhoneがついにSIMロック解除に対応する見込みです。ドコモ以外のキャリアのiPhoneでも、SIMロックを解除することでドコモ系のMVNOを使える可能性が出てきます。これがSIMフリー市場にどう影響するのか、この秋の注目ポイントになるでしょう。
法人向けに期待の高まるWindows 10スマホ
Windows 10については、PC版のリリース後、モバイル版の開発ペースが上がっており、リリースに向けて着実に進んでいることがうかがえます。
ニューヨーク滞在中にも、Windows 10 Mobileの新たなプレビュー版が登場した。以前は基本的な挙動がおかしいところもあったが、実用性は上がっている印象だ。 |
Windows 10 Mobileを期待する法人ユーザーは多い、と認識する端末メーカーは多いようです。法人ユーザーがスマホに求める機能として、VPNによる業務用Webシステムへのアクセスや、Microsoft Office、リモートを含むデバイス管理があります。これらはiPhoneやAndroidでも実現しつつありますが、WindowsならPCと同じように管理できるという優位性があります。
特に最近は、従業員向けに配布した端末にマルウエアなどが混入することで、情報流出に至るケースが増えているとされています。Windows 10 Mobileは当面、対応アプリが少ない状況が続くとみられていますが、これはリスクを下げるのでむしろ好都合と考える法人ユーザーもあるようです。
8月28日には、ダイワボウ情報システムがWindowsモバイルデバイスの法人向け展開において日本マイクロソフトとの協業を発表しており、Windows 10 Mobileを国内展開する体制が整いつつあるのも期待が高まるところです。
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