先週は“Mobile World Congerss 上海 2015”の取材で中国・上海に行ってきました。各国へ行けば必ず現地のプリペイドSIMを買う筆者ですが、今回はあえて買いませんでした。それは香港キャリアの中国対応プリペイドSIMを持っていったからです。
↑SIMを買うなら“上海不夜城”。 |
上海駅のそばに“不夜城”というビルがあります。ここは以前から“スマホビル”として有名で、フロアー内は新品や中古品までスマホだらけという夢のような場所でした。ですが、いまは大手メーカーのスマホが並ぶくらいと、以前ほどの面白さはなくなってしまいました。ただし、プリペイドSIM販売屋は健在。キャリアの店よりも手続きは簡単で、すぐに購入できます。
↑英語や丁寧な対応は期待しない。 |
ちなみに上海駅の地下コンコースにもSIM屋がずらりと並んでいます。ここも含めてこの手のお店では英語はほとんど通じないのであしからず。店員さんの対応もぶっきらぼうですが、要するに「面倒な客はほかへ行って」ということ。客が店を選ぶように、店も客を選ぶわけです。この手のお店で買い物するときは、店員さんがフレンドリーなお店に当たったらラッキー、ほかより多少高くてもそのお店を使うのがベター。「1円でも安く」なんて何の自慢にもなりません(笑)。“入手すること”。これが最優先、最重要事項です。
↑不夜城へ侵入、SIM屋を目指す。 |
不夜城に入ると数字がたくさん並んだ看板を掲げている店がありますが、それがプリペイドSIM屋。電話番号を掲示しているんですね。なお、実際は番号を選ぶと良番は高いですし、壁にある番号はたいてい売り切れ。プリペイドSIM買うのであれば番号など気にする必要はなく、とにかく使えるSIMを買う。そうするのがいいでしょう。
↑中国のプリペイドSIMは月額制。 |
プリペイドSIMと聞くと「使ったぶんだけ残高から引かれる」イメージですが、中国では今はほとんどが月額制になっています。たとえば、今回見かけた中国電信のスマホ用プリペイドSIMは、1ヵ月49元(約1000円)で2GBのデータ通信と通話が使えます。販売価格は100元で、100元ぶんチャージされていました。つまり、このまま2ヵ月使えるわけです。2ヵ月後はお金を入れなければSIMは一時停止、お金を49元以上チャージすれば再度1ヵ月延長して使えます。ということで、年に数回中国に行くとしても、毎月の基本料金分を入れておかないとSIMが使えなくなってしまうわけです。ちなみに、左のSIMは19元(約400円)/月ですがデータは3Gのみと使い勝手はイマイチ。
↑データSIMは“季節ごとが期間”? |
一方、データ専用SIMなら一定期間ごとに1GBや3GBなどのデータ通信利用ぶんが含まれています“月”とあれば1ヵ月有効、“季”とあれば3ヵ月、“半年”はそのまま6ヵ月、“年”は1年有効。年に何度か中国へ行く、データ通信しかしない、というのならデータ専用のプリペイドSIMのほうが使いやすいでしょう。
データ専用SIMは、中国語で“インターネット”は“上網”と書くので、それを中国語読みした“シャン・ワン・カード”のように言えばなんとなく通じます。だってここ、SIM屋ですからね。発音(四声)が多少違ってもなんとなく通じるもの。値段などは電卓片手にがんばって聞いてみましょう。
↑通信料は確かに安い。情報は自分で事前入手。 |
こちらは中国聯通の4GプリペイドSIM。16元/月(約320円)で月150MBの4Gデータ通信と60分の通話込みです。これなら維持するのもラクかもしれませんね。各キャリアの通信方式などはあらかじめ自分で調べておくこと。「TD-LTEの周波数がうんたらなんたら」なんて聞いてもお店の人はやさしく教えてはくれませんから。
↑しかし、TwitterやFacebookが使えないのよ。 |
中国聯通なら3Gは“W-CDMA B1”なので最悪一般的なスマホでも通信できます。ということで、SIMを購入してスマホに入れればAPNの設定も不要ですぐに通信できるケースがほとんど。ところがさっそく「SIM買った!」などとつぶやこうとしても、TwitterもFacebookもつながりません。そう、ここは中国。金の盾(グレートファイヤーウォール)の影響で海外のソーシャルネットワークサービスGoogleの各種サービスなどはそのままでは使えず、VPNの利用が必須となってしまうのです。
↑逃げ道は香港の中国対応プリペイドSIM。 |
このように地元のSIMは値段は安いものの、買う時の言葉も大変、買ってからも大変というのが中国なんですね。面倒な人は日本のスマホでそのままローミングしちゃうのも手です。中国国内ではローミング扱いだと金盾に引っかからずにソーシャルネットワークサービスも使えます。でも、ガンガン使うと1日3000円ほどかかるのはちょっと痛いところ。そこで考えたいのが香港キャリアのプリペイドSIMです。
↑香港SIMならつぶやきし放題。 |
香港は中国から見ると海外扱いなので、香港のSIMを使えば中国内でもつぶやきし放題。最近のオススメは中国移動の香港の子会社、中国移動香港が出している中国向けプリペイドSIMAmazonでも買えるので中国へ渡航する前にあらかじめ日本で入手しておくことが可能です。こちらの『4G/3G 中国・香港10日間1.5GBデータプリペイドSIM』はデータ専用タイプ。スマホやPC、タブレットからネットへアクセスするのに便利です。SIMは最初に1週間1.5GBが使える状態になっています。それが終わったあとは、48香港ドル/日(約770円)で毎日定額利用可能。
↑中国の電話番号もついてるデュアルナンバーSIM。 |
こちらの『4G/3G 香港/中国デュアルナンバープリペイドSIM』は香港と中国、ふたつの電話番号が入っています。中国国内でローカルの人と電話のやり取りをするのに便利。デュアルナンバーの維持費に6香港ドル/月(約100円)がかかりますが、データ通信は同様に48香港ドル/日で定額利用が可能です(こちらのSIMは1GB以降速度制限あり)。なお、パッケージがよく似た製品で中国で利用できないものもあるので注意。
↑数日なら香港SIMがおトクかも。 |
中国のプリペイドSIMは格安ですがVPNの利用が必須になります。一方、日本からのローミングは最大約3000円/日と高価。そう考えると香港のプリペイドSIMでの約770円/日の定額利用は十分リーズナブルと言えそうです。4〜5日程度の滞在でも5000円以下でおさまりますから、中国旅行や出張が多い人もこれらの香港プリペイドSIMを使うのが便利でしょうね。
↑TD-LTE対応端末の準備が必要。 |
なお、キャリア“中国移動”は中国大陸でTD-LTE、TD-SCDMA、GSMのサービスを展開しています。中国で快適に通信したい場合はTD-LTE対応スマホを用意する必要があるので注意してください。TD-LTE非対応でFDD-LTEしか対応していない端末だと、3GのW-CDMAのみでTD-SCDMAがなし、そうなると中国国内では2GのGSMしか使えなくなってしまいます。最近のiPhoneやGalaxyなどはTD-LTEにも対応していますが、中国移動香港のSIMを使う場合は端末の通信方式を確認しておく必要があります。
↑中国での買い物は“値段”よりも“人”。 |
初めて中国へ行くと、店の人にいきなりぞんざいな扱いを受けて驚くかもしれません。ですが、前述したように店も客を選びます。この不夜城でも同じフロアのSIM屋の値段はどこもほとんど変わりません。店選びのポイントはちゃんと対応してくれる店になるわけです。筆者がよくいく店も、おばちゃんが「日本からよく来たねえ」といつも優しくしてくれるのでリピーターになってしまいました。ぶっきらぼうなおっちゃんが「日本から来たのか。何日だ。じゃあこれがいいぞ」と教えてくれたりと、意外な出会いを楽しむのも醍醐味のひとつ。まずは香港のプリペイドSIMを買って現地を徘徊しつつ、不夜城のような店でSIM購入を楽しんでみるというのが、モバイラーならではの上海の楽しみ方かもしれません。
山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局
●関連サイト
・4G/3G 香港/中国データ専用プリペイドSIM
・4G/3G 香港/中国デュアルナンバー プリペイドSIM
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