マイクロソフトは7月13日、米フロリダ州・オーランドで開催中の年次イベント“Worldwide Partner Conference 2015”(WPC2015)の基調講演において、Windows 10を始めとする同社の最新情報を公開しました。
基調講演には、米マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏が登壇。「マイクロソフトには確固たる野望がある」と語り、その分野として「パーソナル・コンピューティング」、「生産性とビジネスプロセスの変革」、「インテリジェントクラウドの構築」の3点を挙げました。
サティア・ナデラ氏が挙げた3つの“野望”は、これまで“Build”や“Ignite”などのイベントで繰り返し語っており、目新しさはない。だが、マイクロソフトは7月から新たな会計年度を迎えたこともあり、引き続きこの3点に重点を置いていくという確認の意味もある。 |
ビッグデータの民主化を進める『Cortana Analytics Suite』
最初の発表としてナデラ氏は、「ビッグデータを民主化する」新たなクラウドサービスとして『Cortana Analytics Suite』を発表しました。これはマシンラーニングや画像認識、顔認識、音声認識といったマイクロソフトがAzure上に構築している高度な分析エンジン群を組み合わせ、サービスとして提供しようというものです。
マシンラーニングなどの分析システムを月額料金で提供する『Cortana Analytics Suite』。 |
また、名前の通りマイクロソフトの音声認識アシスタントである“Cortana”を統合しており、自然言語に対応した問いかけにより、誰もがアクセスできるようになるとのこと。
具体的な用途としては、リアルタイム・レコメンデーションや、顧客の離反予測、医療分野での予測分析などを挙げています。サービスは2015年の秋から、月額料金のサブスクリプションで提供する予定としています。
Windows 10のデモには“Build 10176”も使用
Windows 10については、新たに“Windows and Devices Group”を統括する立場になったテリー・マイヤーソン氏が登壇。RTMについてこそ言及しなかったものの、最新のInsider Previewを用いてWindows 10の主要な機能を披露しました。
テリー・マイヤーソン氏は、Windows Phone 7の開発を主導後、Windows OS全体を統括する立場になり、現在ではOS部門とSurfaceなどのデバイス部門を統合した”Windows and Devices Group”を率いている。 |
ブライアン・ローパー氏は、Windows製品の”Executive Demo Lead”という肩書き。製品デモのプロフェッショナルといえる。基調講演では、午前中でテンションの低い会場を盛り上げながら、Windows 10の新機能を紹介した。 |
最初に紹介した新機能は、デスクトップとスタートメニュー。「Windows 7愛好家にも安心して使ってもらえる」と紹介、会場では大きな拍手が。 |
多くのデモではInsider Previewの最新版ビルド“10166”が使われていたが、一部では内部ビルドとみられる“10176”の数字も確認できた。 |
COMPUTEX TAIPEIでも登壇したグループ・プログラムマネージャーのロアンヌ・ソーン氏は、セキュリティの機能をデモ。Windows 10を利用した東芝製のPOSシステムを悪意のあるUSBメモリーで“攻撃”したが、破れないことを示した。 |
HoloLensのデモも披露。3Dモデリングツールとして有名なオートデスクの『Maya』と連携し、レンダリングしたバイクの外装を立体的なホログラムで表示。さらに実際のバイクに“かぶせて”デザインを確認するなど、新たな映像体験ができることを示した。 |
Windows 10のための新Lumiaも登場予定
マイヤーソン氏は最後に、Lumiaシリーズの新機種についても言及しました。「先週、Lumiaの製品ラインアップを絞り込むことを発表した」と語り、ノキアからの従業員を中心に7800人を削減するという“大リストラ”についても触れました。
このマイクロソフトの発表に対し、「MSはスマホ市場から撤退する」とか、「Windows Phoneを作らないのではないか」といった見方がネット上で広まっていたことは周知の通りです。
これに対してマイヤーソン氏は、「はっきりさせておきたいのは、Windows 10のためにデザインした、プレミアムな新しいLumiaがまもなく登場するだろう」と述べ、Lumiaシリーズの新機種を発表する予定があることを示唆しました。
また、“new Lumias”と複数形を用いていることから、複数の新機種が登場することを示唆しているともいえます。
PCやタブレットの新製品は発表されなかったものの、9月にドイツ・ベルリンで開催されるIFA 2015の基調講演には、マイクロソフトでOEM部門を統括するニック・パーカー氏の登壇が予定されています。この基調講演や展示会場などで、年末商戦に向けたWindows 10世代のPCが続々と登場することになりそうです。
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります