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中国の有名ゲーム機メーカー小覇王がつくったスマホがギリギリアウトすぎる

2015年06月18日 07時00分更新

 中国で超有名なゲームマシンメーカー“小覇王”をご存知でしょうか? 10年くらい前に香港あたりに行くと、ファミコンもどきのカートリッジにゲームが200個入っているような謎ゲーム機が売られていましたが、それを出していた大手メーカーです。最近は学習タブレットを出すなど真面目なメーカーに脱皮を図っていて、スマホ市場にも参入を始めました。ところがそのスマホ、やはりもともとが怪しいゲーム機をつくっていたメーカーだからなのか、突っ込みどころの多い製品がそろっているんです。たぶん「これならギリギリセーフ」と思って彼らがつくっている、小覇王の最新スマホをいくつか見てみましょう。

小覇王
↑5億人が知っている小覇王。

 中国では1990年前後にファミコンモドキが大ブーム。「ゲーム機といえば小覇王」と誰もが口をそろえるほど、超メジャーなゲームマシンだったのです。カセットひとつにゲームが200個入っているなんてものもあり、小覇王なしでは中国のゲーム史は語れないかもしれません。

 まあ、筆者はそちら方面は詳しくないので話をスマホに振りましょう。同社がスマホ事業に参入したのは2012年と最近のこと。圧倒的なブランド力を持ってはいるものの、独自の製品を生み出す力まではなかったようです。

小覇王
↑2015年の最新ラインアップを見てみよう。

 小覇王のスマホはこれまで10数機種が発売されましたが、2015年に入手できるのはその半分程度、5〜6機種のようです。製品名には中国語のニックネームを付けたものもあります。しかし、よく見てみると本体デザインはどことなく見たことがあるものばかり。

小覇王
↑『S3ハッカー』というカッコイイ名前に意味はなし。

 まずは『小覇王S3』。これ、正式名はハッカー版というバリエーションモデルらしいのですが、オリジナルが別にあるわけではなさそうです。突っ込みどころとしてはSのロゴがギャラクシー。そして本体ロゴはさまざまなメーカーのデザインをミックスしたかのよう。

小覇王
↑LTE対応なのに3G表示、カメラはシャオミか。

 通信方式はTD-LTE、TD-SCDMA、GSMというチャイナ仕様。ところが、画面には“中国移動3G”と4G機なのに3Gの表示。この端末が出てきたころはまだ中国でもLTEがあまりメジャーではなかったのかもしれませんが、これでは製品名と合わせて3Gのみ対応の古いモデルと思われてしまいそう。また背面のカメラ周りはシャオミっぽくも見えます。

小覇王
↑名前をでっかくした『大覇王』。

 続いてこちらは小覇王ではなく『大覇王』。5.5インチ狭額ディスプレー搭載の大画面モデルなので大きい名前を付けたのでしょう。とはいえ、解像度は540×960ドットと低く、CPUもクアッドコア1.5GHzでミドルレンジクラスの製品です。さすがに3Gオンリーではなく、これもLTEに対応しています。壁紙は中国の歴史ある絵画のようで、同社が得意とするゲームキャラっぽい絵柄。このあたりからもゲーム機メーカーの片鱗が見え隠れしています。

小覇王
↑バイオリンをひけるような薄さ?

 本体はアルミ合金製で強度があり、7.3ミリと言う薄さながらもしっかりとした造りとのこと。その薄さをアピールするためにバイオリンを弾いているイメージイラストを広告に使っていますが、これを見て「すごい」と思う人はいないような気がします。しかも、7.3ミリの厚みはひとつ前で紹介したモデル、小覇王S3も同じなんです。画面が大きい以外に売りどころがないのでこんなアピールをしているのかもしれません。

小覇王
↑最新モデルをインスパイアしたS6。

 続けてこちらはだいぶ新しいモデルの『小覇王S6』。同社にもSシリーズがあるんですね。ただし、“4”と“5”は欠番ですけど。5インチHDディスプレーにLTE対応、本体は6.9ミリと頑張って薄くしています。

小覇王
↑その画面はもしかしてファーウェイ……?

 小覇王のスマートフォンはMediaTekのチップセットを搭載している関係からか、基本機能はほぼ同じ。写真のように画面の上に手のひらをかざすことで画面を移動したり、アルファベットの頭文字を指先で書くことで指定アプリを起動することができます。しかし、テーマはファーウェイの『Ascend Mate7』にクリソツ。あちらは6インチ、こちらは5インチですが無理やり画面をはめ込んだかのようです。なお、手のひらの写真は別撮りで合成されているってあたりは見なかったことにしておきましょう。

小覇王
↑“6”なんてもう古い、小覇王は先に“7”を投入!

 中国メーカースマホに似たデザインの製品が続きましたが、こちらの『小覇王x7』はお待ちかねの“アレ”です。中国語で「あなたは私の小さいリンゴ」と書いてあるように、デザインはiPhoneを十二分にインスパイアしていますね。ディスプレーは4.5インチで、たしかにiPhone 6より“小さいリンゴ”になっています。

小覇王
↑ちゃんと実機写真を出そうよ。

 実機のイメージは端末2台を並べています。でも、同じサイズの2台をあたかも違うサイズのように並べているこのアングルは、iPhone 6とiPhone 6 Plusの広報写真をインスパイアしているのかも?しかも、オリジナルを引き延ばしているようでホームボタンも含め画像全体がぼやけています。やりたいことはわかりますが、無理に似せないで実機写真をそのまま掲載したほうが製品のアピールになるはずなのに……。

小覇王
↑“ミニ・スイーツ”という名の女子スマホもあり。

 最後はこちら『小覇王・小甜甜』。直訳すれば“ミニ・スイーツ”でしょうか? 何がスイーツなのかは不明ですが、どうやらコンパクトでボディー側面がパステルカラー、女性向けなので甘い名前をつけたってことのようです。カラバリはピンクやライトブルーなど。4.7インチディスプレーの解像度は他機種同様に540×960ドット。どうやら小覇王はこの解像度の液晶パネルに特化することで端末のコストを下げ、またシステム設計を楽にしているのかも。

小覇王
↑かわいいんだけど、こんなの小覇王じゃない。

 本体デザインはやはりどことなくどこかのメーカーっぽいのですが、側面のカラーリングが甘いイメージを出していてなんとなく欲しくなりませんか?でも、小覇王って本来怪しい謎ゲーム機を出していたメーカーです。こんなかわいいスマホを出してくるなんて、守りに入ろうとしているのでしょうか?もっと怪しいスマホの開発に注力してほしいものです。

小覇王
↑ゲーム機とスマホは違うことを認識してほしい。

 ゲーム機でひと旗あげた会社だけに、どうやらスマホの効果的なネーミングや広告展開は苦手なようです。『小覇王・初代S3』はなぜか女子高生の武器(弓矢)がスマホになっているというもの。ゲーム機ならありですがスマホではちょっと意味がわかりません。これでスマートフォンにオリジナルゲームでも入っていれば納得できるんですがその様子も一切なし。まあ、こんな広告出しているうちは小覇王も元気があるのかもしれませんね。端末ラインアップはミッドレンジ中心ですが、もしかしたら変態系など面白いスマホを出してくるかもしれません。小覇王の今後に期待したいです。

山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局

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