最近は中国各メーカーも大規模イベントを行なうようになりました。5月28日にはレノボが北京で“Lenovo Tech World”を開催し、スマホやPC、IoT関連の新製品やコンセプトモデルを発表。筆者も取材で現地を訪れています。
↑北京にもテキトーな製品が集まるスマホビルがある。 |
せっかく北京に来たのだからスマホの1台でも買いたいもの。北京には“中国最大規模の電脳街”、“北京の秋葉原”とも言われる中関村という場所があるのでそこに行くのが良いでしょう。ところが、今回泊まったホテルは中関村とは正反対の方向、片道1時間弱かかります。ならば、ということで北京南部にあるちょっと寂れた携帯ビルへ行ってみることにしました。
↑店内はイメージ写真でどうぞ(これはモザイク)。 |
この一帯には携帯ショップがいくつかありますが、場所が場所だけに今や風前の灯となった“山寨機”(さんさいき)もまだ多く売られています。山寨機ってのはコピーケータイとか言われますが、それはごく一部。日本でいえば技適の通っていない、未認可の端末のことを言います。なので、残念ながらビルの中は撮影ができないので、以下はイメージ写真でその様子をお届けしましょう。
↑iPhoneコピーなんていまさら流行らない。 |
ビル内で目立つのはやはりスマホです。試しにどこかのお店のショーケースを見てみましょう。置いてあるメーカーは、GoFly(捷語)、Gmi(聚米)、Mile(米楽)、Meimi、Hkmiなどなど。いずれも中国ではメジャーで、なんてわけはありません。どいつもこいつも名も無いメーカーが勝手につくった山寨スマホ。“米”が多いのはシャオミっぽいのをつくったつもりなわけで、今やコピーの対象はシャオミなのがトレンド。なお、値段は3Gモデルで5000円くらいからですが、ちょっとお金出せばまともなメーカーのスマホが買えちゃうのでオススメはしません。
↑シャオミはありすぎて面白くない。 |
中国と言えばシャオミが大きな話題ですが、そのシャオミのスマホはどこの店でも取り扱っています。そうそう誰ですか、ドヤ顔で「シャオミはオンラインでしか売ってない」とか言っているのは? こうして非正規に流れているシャオミのスマホは、中国のどの携帯ビルに行っても見かけます。なお、シャオミのパッケージは無印良品のようなクラフト紙のデザインが目印ですよ。
↑整然と積まれる大量入荷中のシャオミ。 |
店内を回っていたら大きい段ボール箱を数箱乗せた台車がやってきて、とある店の前に止まりました。その箱から出てきたのは全部シャオミ。その数ざっと300台。これどっからどう仕入れてるんでしょうねえ?
↑ちゃんとしてないモノのほうが多い。 |
一応iPhoneやらサムスンやらレノボなどの正規品を売っている店もあるのですが、圧倒的に多いのは無名メーカーの製品。また大手メーカー品を箱から出して並べている店の品物は、新古品や中古だったりします。とはいえこれらのまともな製品の値段はそれなりに高く、格安の掘り出し物が見つかるわけではありません。
↑まだまだ売ってる山寨ケータイ。 |
さて、中国でも香港に接した深センあたりじゃ誰もがもはやスマホを買う状況。ところが北京ではさらに奥地の人たちがまだフィーチャーフォンを買っているようで、山寨ケータイを売っている店もちらほら見かけます。でも新品なのに箱から出され、ビニール袋に入れられて無造作に積み上げられているなど、薄利多売の消耗品のような売り方がされています。安いものなら2000円以下、GSMの山寨ケータイはもう使い捨てできる値段で売られているのです。
↑水に入れると浸水するケータイ。 |
山寨機メーカーは少しでも売ろうといろいろな工夫をしています。こちらは防水ケータイですね。でもまともな防水加工はされておらず、これを持ってお風呂に入ったらすぐに故障して使えなくなります。店の人の言うことは信じないほうがいいでしょう。水に浸けて浸水しちゃっても「入れ方が悪い」など逆に怒られてしまうのがオチです。
↑ちょっとダメっぽいけど悪くない端末。 |
山寨機でもメジャーなカテゴリの一つが“キャラクターケータイ”。アメリカの“ねずみさん”とか、日本の“ネコさん”を勝手にコピーしたキャラクターのケータイがよく売られています。しかし、今回見つけたのはなかなか微妙と言うか絶妙なもの。上に見えるのはあのシャオミのキャラクター米兎(ミィトゥ)ちゃんのケータイ。この子のモバイルバッテリーを以前買いましたが、それをそのままケータイにしちゃったようです。もちろん非公式の製品。
↑もうひとつのアカンやつは結構いいでき。 |
米兎ケータイの下にある小さいミニカー。これ、超小型車として有名なメーカーの自動車をミニチュア化してケータイにしたもの。この手の製品は山寨機に多いのですが、これはなかなか出来が良くて思わずお店の人に「正規品なの?」と聞いてしまったくらい。なお、お店の人の回答は「フフフ」でした(笑)
↑このまま闇に葬られてしまうのは勿体ないレベル。 |
手のひらにのるちっちゃいこのミニカー、サイドミラーが付いていたり造形は結構細かくこのまま机の上に飾っておきたくなるできです。ヘッドライトは電源ON/OFF時や着信時に光るようで結構手が込んでいます。製造したメーカーはもしかしたらミニカーを手掛けている会社なのかもしれません。
↑このサイズでデュアルSIM(ただし、2G)。 |
窓ガラス部分を外してバッテリーを取り出してみると、なんとマイクロSIMが利用可能、しかもデュアルSIM仕様です。ただ2G+2Gなので海外でしか使えませんが、海外旅行時に使うのも面白いかもしれませんね。さすがにこのサイズにSIMを2枚はスペースがギリギリなのか、メモリカードは入りません。しかも、カメラも無し。
↑通話用に楽しい端末。 |
ま、これはもう通話専用と割り切って使うのがいいでしょうね。メニュー表示も英語切り替えできず中国語のみです。なおこの裏側の携帯電話部分はその小型車のブランドが入っているのでモザイクをかけておきました。こんなことしなければ堂々と販売できるだろうに、山寨メーカーってのは余計なことやっちゃうんですよ。
↑“LEDライト”ケータイは初めて見た。 |
こちらのケータイは収納式のアームが本体の横についています……。これ、恐らくLEDライトがアームに内蔵されているんでしょうね。インパクトは弱いながらも、変態認定できる端末でしょう。でも、夜にベッドに入って読書するときに便利なのかもしれませんよ。その左にあるのは定番商品ともいえる、レトロな昔のモトローラケータイを模した製品です。
↑まだまだ変態な端末が見つかる中国。 |
スマホはさすがにどの製品も同じような外観の製品ばかりですが、聞いたことも無いメーカーの製品を見つける楽しさがありました。そして山寨ケータイはまだまだ面白い製品も出てきているんですよ。中国マイナーメーカーたちにはこの怪しい勢いでこれからも変態な製品を作り続けてほしいものです。
山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります