週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

バーチャル昆虫採集におしゃべりするセンサーたち新作IoT機器をミラノで発見

2015年05月07日 07時00分更新

 毎年4月中旬はイタリア・ミラノ市内がデザイン関連イベント一色に染まります。インテリアや家具の展示会“ミラノサローネ”、市内各地で開催される“フォーリサローネ”などを総称して“ミラノデザインウィーク”と呼ばれるこの時期、世界中から優れたデザイン製品が集まるのです。あのApple Watchもミラノで1日だけ展示されました

ミラノ IoT
↑日本からも優れたデザイン製品が集結。

 そのミラノで実は日本の企業やデザイナーも大きな存在感を表していたのです。東京のクリエイティブなデザインを世界へ発信するイベント“TOKYO DESIGN WEEK in Milano 2015”が開催。その中にはモバイルに関連した製品も多く、センサーを応用したIoT(Internet Of Things、モノのインターネット)機器の展示もありました。その中で見つけたちょっと面白そうな製品を今回はご紹介します。

ミラノ IoT
↑バーチャルな昆虫採集ができるPixeing。

 アイロンのような器具を使う『Pixeing』はShiftbrainとUnibaが出展。これは子供のころの昆虫採集の楽しさをスマホで再び楽しもうというコンセプトの製品です。今や街中に昆虫が飛んでいることもほとんどありませんよね。Pixeingは“バーチャル捕虫器”に光や加速度のセンサーが内蔵されており、これを振り回すことでその場の環境に応じたバーチャルな昆虫(というか生物)を採集、スマホに集めておくことができます。

ミラノ IoT
↑空中で動かしたり、壁に当ててみたり。

 使い方は昆虫を網で採集するように、捕虫器を空中で振り回したりあるいは壁に押し付けてみます。その時の環境に適合したバーチャルな昆虫がいれば、無事捕獲完了。スマホに取り込まれます。

ミラノ IoT
↑種類は無限大なバーチャル昆虫。

 取り込まれたバーチャルな昆虫たちは、実際の虫の形をしているのではなく円や線で構成され、それが複数くっついたり動いたりと独特の形状をしています。スマホに取り込んだあとはその昆虫の名前や生態も即座に表示されるので、次々とほかの虫も捕らえたい気分になれます。しかも、同じ虫を再度捕まえるには同じ周辺環境でなくてはならず、なかなか難しいのも面白いところ。製品化されれば“子供版イングレス”のように、子供たちがスマホ片手に街中に疑似昆虫採集に出かける姿があちこちで見られるようになるかもしれません。

ミラノ IoT
↑早くもIoTの次を見据えた“Jot”が登場。

 Henkaが展示していたのはIoTではなくJoT製品。JoTとは“Jabber of Things”の略で、直訳すれば“モノが直接おしゃべりをする”。IoT機器はセンサーを内蔵してスマホなどに情報を流しますが、JoTではモノが直接情報を発信するとのこと。ということで展示されていた製品は、これらそれぞれの立方体にセンサーやスピーカーが内蔵されています。

ミラノ IoT
↑周りの状況に応じて音を出す。

 試しにひとつの立方体を本の上に置いたところ、本の表紙を認識して何やら小さな音を発しました。IoT製品ならそれを情報として受け取るのですが、JoTではそのオブジェクトが直接情報を出すわけです。用途の応用はすぐには思い浮かびませんが、その場で必要な情報は音で聞き、蓄積データはスマホに保存しておく、といった組み合わせで何か面白い展開があるかもしれません。

ミラノ IoT
↑会話しながら植物を育てらえる『Pixi』。

 アーティクノロジー研究所の『Pixi』は植物とコミュニケーションが取れるIoTデバイス。すでに昨年東京で開催された“TOKYO DESIGN WEEK 2014”にも出展されたもので、製品化・実用性ともかなり高いもの。小さい家の形をした“Pixiセンサー”が周囲の明るさ、湿度、土壌水分を感知。スマホに通知してくれます。

ミラノ IoT
↑植物キャラを育てるような感覚になる。

 温度や水分の数値を通知するだけならほかにも製品があるかもしれません。このPixiは測定データを直接表示するのではなく、スマホアプリ内のキャラクターがつぶやいてくれるのです。たとえば環境がよければ「気持ちいい」、暗い夜間は寝ているので「Zzz」など、あたかも植物と会話しているような感覚になるわけです。もちろん数値データもアプリ内でしっかり管理。日本らしい発想のIoT機器だけに早期の製品化を望みたいものです。

ミラノ IoT
↑スタイリッシュなモバイルバッテリー。

 HYT-DESIGNがデザインしたUrban Utilityのモバイルバッテリーも展示されていました。今や誰もがモバイルバッテリーを使う時代ですが、スマホをカッコイイケースに入れているにも関わらず、バッテリーが安っぽいものではバランスが取れないというもの。たとえば『ゼッペリン』は先端部をダイヤカットしたアルミボディー。アルマイト仕上げされた落ち着きある色合いです。中身の電池は交換も可能、また電池残量をLEDライトの色点滅で知らせるなど実用性もしっかり考えられた製品です。

ミラノ IoT
↑スマホの次はバッテリーにもこだわりたい。

 こちらはシンプルな形状が美しい“SQUARE”、“ROUND”シリーズ。同容量の市販の製品に比べると価格は割高ですが、質感やデザインは比べものにならないほどこれらのほうが上品かつ持つ喜びを味わえます。

 

ミラノ IoT
↑心の揺らぎをワイヤーフレームで表示。

 こちらはスマートグラスでもおなじみのJINS MEME。ブース内にちらりと見えるワイヤーフレームの形状は同社のメガネをかけると表示される心の揺らぎとのこと。日本の最新テクノロジーと“禅”の心を融合させたかのようなこの“MIND Universe”は西洋人を中心に大人気で終日行列が絶えませんでした。

ミラノ IoT

 海外のIT系の展示会やイベントでは日本企業が目立たないというケースが増えているのですが、デザインの分野では独自性を打ち出し世界と互角のレベルで競い合っているのです。センサーの小型化や省電力化などIoT関連技術はこれからもっと進化するでしょう。2016年のミラノデザインウィークでは、モバイルに関連した製品がさらに見られるようになっているかもしれません。

山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります