※この写真はイメージです。今回の事件とはメーカー、機種が異なります。 |
22日午前10時20分ごろ、首相官邸屋上にドローン(マルチコプター)が落ちているのを官邸職員が見つけ、その機体に液体の入った容器が取り付けられており、液体からは放射線が検出されたことから、第一報以降、各メディアのニュースで深刻な話題として取り上げられています。
今回の事件について考察する前に自分の立場を明確にしておきますが、私はドローンのホビーユーザーです。週アスPLUSでも下記のように何度かドローンの記事を書いています。
・ドローン自身を撮影するのにピッタリな動画撮影メガネを使ってみた
・本格ドローン『Bebop Drone』日本発売前に空撮映像を撮ってみた
・自撮り棒vs.ドローン! セルフィーするならどっちがイイ?
個人的には自由にドローンを楽しめなくなるような法規制は望んでいません。ただ客観的には10万円を超えるような大型ドローンについては、なんらかの法規制が必要だと考えています。
というのもドローンが優れている点でもあるのですが、あまりにもカンタンに飛ばすことができてしまうんですね。シングルローターのいわゆる一般的なラジコンヘリコプターであれば操縦にある程度の技術が必要なので、操縦に習熟するまでの間になにが危険なのか学んだり、周囲の熟練者に教えてもらうことができます。
しかしドローンの多くはコントローラーから手を離せばそこで静止し、また前後左右、回転、上昇下降操作も、それぞれレバー1本を倒すだけ。ドローンは、離陸して5分もすればある程度自由に飛ばすことができるのです。
ただ自由に操作できる一方、機体が非常に軽く作られており、風などの影響を強く受けます。私は風が少しでもあるときはドローンを屋外で飛ばしませんが、どのくらいの風から危険なのか実体験として把握していない人が、10万円を超えるような大型ドローンをいきなり都心の公園などで飛ばすのは非常に危険だと考えます。
10万円を超える大型ドローンは、軽量といっても約1.3キロほどの重さがあるものもあります。たとえばそれが航空法で許されている250メートルの高さから人に落下したり、もしくは時速60キロで走行している車の前にふいに飛び出したりしたら、怪我では終わらないような大事故となる可能性があります。そのような懸念から大型ドローンについては、一定の講習を必要とする免許制、業務用だけでなくホビーユーザーを対象にした損害保険などの法整備が必要でしょう。
ですが、私が必要だと感じている法整備はここまでで、それ以上は柔軟に対応していただきたいと考えています。ニュースでは「5000円程度のドローンこそ気づきにくいから危険だ」というような極端なコメントを耳にしましたが、手のひらサイズのドローンは自重を持ち上げるだけで精一杯ですし、風の影響もより強く受けるので屋外で思ったとおりに飛ばすことは非常に困難です。今回の事件のように、テロ行為を誇示するような用途には使えません。
なお飛行する場所や高度については、まず規制ありきで拙速に制限をかけないでほしいと望んでいます。今回たしかに事件は起きましたが、意図はなんであれ特定の目的のために行なった犯罪行為であり、ドローンはあくまでも道具として使われただけです。ドローンがなければほかの飛行物体をその道具として利用したでしょう。
日本ではこれまでドローンによる大きな事件・事故はほとんど起きていませんでした。これは日本人の安全・遵法意識の高さと、ドローン自体の安全性を証明するものです。今回のような事件が起きた以上、一定の法整備は必要とされるでしょうが、ドローンにはまた大きな可能性があるのですから、“ドローン=危険”というような短絡的なイメージで狙い撃ちはしないでいただきたいと願います。
最後に、ホビーユーザーのひとりとしては、これからもドローンの飛行、ドローンによる撮影を楽しめるように、これまで以上に周囲に配慮し、気持ちを引き締めてフライトに臨みたいと思います。
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