3月31日の発表後、次世代のWindowsタブレットとして注目を集めているマイクロソフトの『Surface 3』。筆者の第一印象をレポートしたばかりですが、さらに米マイクロソフトのSurfaceチームがRedditで質疑応答に応じるなど、追加の情報が出てきました。
↑性能や価格を含め、いろいろと話題の広がるSurface 3。日本国内での発表・販売がいつになるのかも気になるところだ。 |
今回は、Redditの回答や米マイクロソフト広報による補足情報を中心に、Surface 3をさらに掘り下げてみたいと思います。
■Surface 3は新学期商戦を意識した低価格タブレット
Surfaceチームは、開発の際に重視した点として“価格やサイズを低く抑えること”を挙げています。
たとえばキックスタンドは無段階調整から3段階に簡略化されていますが、その3つの角度とは、初代SurfaceとSurface 2の角度に加え、Surface Pro 3で評判の良かった角度を採用しており、ツボを抑えたコストダウンを図っていることがわかります。
↑スタンドの簡略化によりコストやサイズを低く抑えたSurface 3。望遠レンズのステップズームのように、特定の角度に固定しやすいといったメリットもある。 |
また、5月という発売時期が、「次期OS『Windows 10』登場前の中途半端な時期では?」との指摘に対しては、学生向けの需要を意識したと回答しています。海外では9月から始まる新学期・新年度に向けての新学期商戦が始まり、低価格タブレットの需要が急増するためです。
ペンを別売りとした理由としても、本体価格を抑えること以外にもメリットがあり、新たに加わった複数のカラーを自分で選択してほしい、とコメント。たしかに学生なら、大人に比べてペンの色にこだわる人も多いはずです。
↑Surface Pro 3に同梱のペンはシルバーのみだったが、今回からブラック、ダークブルー、レッドが加わる。米国では5月5日発売、49.99ドル(約6000円)と高いのが難点。 |
■Surface 3はAtomタブレットとして最高クラスの性能か?
Surface 3において筆者が最も不安に感じていたのは、パフォーマンスです。AtomとeMMCでは、多くの安価なWindowsタブレットと同程度の性能しか出ないのではないかと思っていました。
しかしSurfaceチームは、Surface 3のストレージについて、「Surface Pro 3の50%の速度が出る」とコメントしています。もしシーケンシャルの読み書きで毎秒200MB程度の性能が出るとすれば、Surface 3のeMMCはAtom x7がサポートする“eMMC 4.51”を採用している可能性があります。
すでに米国のMicrosoft Storeに展示されているSurface 3を触ったユーザーの反応を見ても、「Atomタブレットとは思えないぐらいレスポンスが良い」との声が多い点が気になるところです。正確なところは発売された製品を実際に確認する必要があるものの、期待が高まります。
↑Atom搭載Windowsタブレットのイメージを覆すほど、サクサクしたタブレットになる可能性が出てきた。早く実機に触ってみたいところ。 |
また、Surfaceチームは3:2という画面のアスペクト比について「これが未来だよ」と断言しています。フルHDなどで一般的な16:9に対するメリットとして、ノートPCとして使うときには縦の解像度、紙のノートを置き換える際には横の解像度が広くなることを挙げています。
↑ノートPCとしてもデジタルノートとしても、3:2の画面サイズはWindowsタブレットに最適という。他社のタブレットが追従すれば、新たなトレンドになりそう。 |
■国内版Surface 3は6万円を切るのが理想
ところで、国内版の発表にあたって気になるのがSurface 3の価格です。これまでSurface Pro 3では、Officeの価格を考慮すれば、本体価格に1ドル=100円程度という、2014年前半の為替レートを用いたとしか思えない魅力的な価格設定になっていました。これはタイプカバーなどの周辺機器についても同様です。
この為替レートを使うことができれば、Surface 3にOffice PremiumやOffice Home and Business 2013を同梱しつつ、64GBモデルで6万円を切ることも夢ではありません。
ただ、2015年になって発売された『ワイヤレスディスプレイアダプター』は、米国での59.95ドルに対して日本版は6980円(税抜)と、単純計算で1ドル=116円程度のレートが採用されています。Surface 3世代でこのレートを採用するとなれば、Office込みで6~7万円となることは避けられないでしょう。
もうひとつの問題は、Core i3版のSurface Pro 3が9万1800円という価格で売られているという点です。米国の価格設定を見てみると、Surface 3の価格はその65~75%となることが望ましいため、64GB版は5万9800円、128GB版は6万9800円程度が“上限”となります。あるいは、Surface Pro 3にも最新の為替レートを適用することで値上げし、バランスを取るという考え方もあるでしょう。
果たして日本マイクロソフトがどういった戦略で販売を試みるのか、いまから楽しみになってきました。昨年のSurface Pro 3では、5月20日に米国で発表された後、約2週間で日本でも発表されたという経緯があります。
夏のボーナス商戦に向け、遅くとも5月中の発表を期待したいところです。
↑Surfaceチームは、時期や地域は明言していないものの“SIMフリー版Surface 3”についても進めているという。これまで国内のWindowsタブレットは法人向けのキャリアモデルが中心だったが、そろそろ個人向け展開にも期待したい。 |
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