日本マイクロソフトは2月3日会見を開き、2015年7月1日より新社長に平野拓也氏が就任することを発表した。樋口泰行現社長は7月1日より代表執行役会長へと退く。
↑7月1日より日本マイクロソフトの新社長へと任命された平野拓也氏。日本育ちで物腰は非常にやわらか。 |
平野氏は、2005年にマイクロソフト(現日本マイクロソフト)に入社し、翌年から、エンタープライズサービス担当の執行役、執行役常務、およびエンタープライズビジネスの執行役常務などを歴任。米マイクロソフト 東ヨーロッパ地域を担当した後、2014年7月に日本マイクロソフトへ戻り、マーケティング&オペレーションズ担当の執行役専務を務めた。2015年3月2日には代表執行役 副社長に昇格した。
樋口氏はアップルコンピュータやコンパック、日本HPなどを経て2007年にマイクロソフトに入社、代表執行役に就任し、翌年には取締役 代表執行役 社長兼マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデントに就任し、今月いっぱいで社長就任からちょうど7年となる。
↑左から新会長となる樋口泰行氏、新社長となる平野拓也氏、マイクロソフト インターナショナルプレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏。 |
会見で樋口氏は、昨年、マイクロソフトのCEOがサティア・ナデラ氏に代わってからというもの、急ピッチで変革が進めてられているとし、「日本マイクロソフトも、新しいフレッシュなリーダーシップで更に変革を加速していく」タイミングが来たと、今回の新社長の発表について説明した。また、4月までの準備期間は「お客様やパートナー様にご迷惑をおかけしないよう、シームレスな交代を実現」するためのものであり、それこそひとつの大きな会社の使命であるとした。
この引き継ぎに関しては、樋口氏の中で長い時間をかけ綿密に計画していたことであり、指名された平野氏のことは、長い年月、じっくり成長を見続けており、新しい日本マイクロソフトのリーダーに最もふさわしい人材であると確信したため、今回、たすきをつなぐことを決意したという。また、人格、能力、熱意に加え、グローバル経験の豊富としても申し分ないリーダーであると紹介した。
以下、平野氏の社長就任を受けての登壇内容となる。
平野氏「ただいま、クルトワ、及び樋口のほうからご紹介ありました通り、7月1日をもちまして、日本マイクロソフトの代表執行役 社長に就任する運びとなりました。考えてみますと、樋口が日本マイクロソフトの社長に着任してから、法人、コンシューマーの事業、そして社員の働きがい、オフィス移転、社名変更、そしてクラウドの推進など、数多くの変更をして参りましたが、皆様のおかげをもちまして、大きく成長することができました。その後に社長を務めるというのは、非常に重責でございまして、大変身が引き締まる思いでございます。
初めての方も多数いらっしゃると思いますので、少しだけ自己紹介をさせていただきますと、まず、よく質問を受けるのが、“ちょっと外見と名前があいませんね”というところがありますが(笑)、これは父が日本人で、母がアメリカ人ということでございまして、生まれは北海道の道産子でございます。
2005年8月にマイクロソフトに入社いたしまして、マーケティング、エンタープライズサービス、エンタープライズビジネス、そういったものを日本で担当させていただきました。樋口は、マイクロソフト入社当時から、“日本に根付き、日本に信頼される会社”という非常に強い思いをもっておりましたので、私どももそれを反映させるべく、微力ながらも、パートナー様そしてお客様と、密に働くということに注力して参りました。
当時を思い出しますと、お客様に満足していただけるために、いい製品ということのみならず、適切なコミュニケーションとタイムリーな対応をしなくてはいけないと、いうことに注力、そして思い出が多くあります。また、日本の思いを“本社に響く”カタチで、本社に届けるという重要性ということを当時の印象としてももっておりまして、本日同席しているクルトワと樋口と共に強くして、進めておりました。」
平野氏「2011年、CEE(セントラル イースタン ヨーロッパ)……バルト海とかマルタ島ですとか、バルカン半島、アドリア海、そしてカザフスタン、強いてはモンゴルまでという25ヵ国全部を責任もちなさいという使命をいただきまして、これまで日本の単一民族の国の仕事のしかたから、異なる環境の中でお仕事をさせていただき、知見を深めることができました。そして去年の7月に日本に戻ったわけでございます。
今後7月1日よりということでまた、今後いろいろと考え、戦略などはその(就任)時にお伝えできればいいと思いますが、まずは、これまで樋口が掲げてまいりました“日本に根付き、信頼される会社”というところはしっかりと踏襲していきたいというふうに考えております。また、いっぽうで、米国本社のほうでは、サティア新社長が着任して約1年たちますが、その間に数多くの変革、そして新しい方向性を出して、またその経過が少しずつ見えているところでございます。」
↑“モバイル・ファースト”、“クラウド・ファースト”を掲げるサティア・ナデラ氏(写真中央)。就任からの約1年間は、その影響力の強さを感じさせた1年でもあった。 |
平野氏「その中で、日本マイクロソフトの思いと致しましては、“使いたくなる製品”そして“お客様から愛される会社”、そして“先手を打っていく会社”というところで、臆することなく変革を進めていきたいなというふうに考えております。社会はモビリティとクラウドの世界へ、急ピッチにシフトしてございます。デバイスや場所にとらわれない働きかた、そしてライフスタイルというのが強く求められているのではないかというふうに考えておりますので、今後はさらにクラウドを中心にして、ワクワクするような提案をいろいろな分野で、積極的に進めていきたいなと。また、これは社員に対しても同じでありまして、やりがいのある、チャレンジャー精神に飛んだ職場をつくっていきたいというふうに考えております。
より具体的なビジョンや経営方針というのは、これから7月に向けて策定して参ります。就任時にまた改めてお話する機会を設けたいと思っておりますので、その際また、発表させていただきます。今後引き続き、みなさま、よろしくお願いいたします。これをもって挨拶と代えさせていただきます。ありがとうございます。」
マイクロソフト インターナショナル プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏も樋口氏も、平野氏のグローバルでの経歴を重要視しており、日本の日本マイクロソフトが世界と交渉できる能力を必要としていることが伺えた。
樋口氏が日本マイクロソフトをアジアNo.1の地位へと押し上げ、平野氏がその土台を活かし、“Winodwsファースト”を掲げながら、世界での発言力を高めていく。2015年に入り、本社での新しい動きが加速していくなか、7月までの4ヵ月間という準備期間で、どのような新しい日本マイクロソフトの道を示してくれるのか。大いに期待したい。
■関連サイト
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