週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

日本マイクロソフト新年度のキーワードは“変革”、CortanaやHoloLensの日本投入時期は?

2015年07月03日 06時00分更新

 7月2日、日本マイクロソフトは2015年7月から始まった新しい会計年度”FY2016”について、経営方針の説明会を開催しました。毎年恒例のこの説明会には、7月から新社長に就任した平野拓也氏が登壇。会長職に移る樋口泰行前社長を含む、新しい経営陣の顔ぶれを紹介しました。

日本マイクロソフトの新しいスローガンは“変革”
日本マイクロソフトの代表執行役 社長に就任した平野拓也氏。「見た目は外国人だが、北海道生まれ」というのは定番のネタになっている。ネイティブな日本語を操る上に、米国の大学を卒業、欧米での職歴も長く、英語も堪能なのだとか。
日本マイクロソフトの新しいスローガンは“変革”
新たな経営体制も発表した。7月にできた新しいチームではなく、3月の発表時点から平野氏の主導で準備を進めてきたチームとのこと。

■Surface 3は「想定を超える初動」

 平野氏が2016会計年度の経営方針を説明するにあたって強調したキーワードが、”変革”です。「10年前にマイクロソフトに入社してから、スマホやクラウドが大きく普及した。マイクロソフト自身も、サティア・ナデラCEOのもとで大きな変革を遂げている。日本において、どのように変革を推進していくかが重要だ」と語ります。

 2015年6月までの1年間については、「Windows XPと消費税増税という特需があり、その後の反動が予想されていたが、それを乗り越える業績を達成できた。自信を深めることができたと思う」(平野氏)と振り返っています。

 PCの売上にはその”反動”の影響があるとしつつも、「タブレットは最初のニーズが一巡し、Surfaceに象徴される2-in-1の需要が高まっている」と分析。2014年のSurface Pro 3では、「前モデルのPro 2に比べ、コンシューマー向けは25倍、ビジネス向けは7倍もの引き合いがあった」とのこと。

 2015年6月に発売したばかりのSurface 3についても、具体的な数字は挙げなかったものの、「想定を超える初動があった」(平野氏)としています。

地球上のすべての人に、より多くの達成を

 マイクロソフト全体の新たなミッションとしては、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにすること」と紹介しました。

日本マイクロソフトの新しいスローガンは“変革”
新たなマイクロソフトのミッションと、その日本語訳が公開された。このフレーズはサティア・ナデラ氏が基調講演などで繰り返し語ってきたものでもある。

 具体的には、「PCやテクノロジーではなく、人を中心に考える。デジタルライフを満喫する個人が、そのままデジタルワークもする。その逆もある。生産性を高め、もっといろいろなことができるよう追求していくのが、我々の使命だ」(平野氏)と説明します。

 その上で、マイクロソフトの強みとして平野氏はクラウドを挙げます。「今後、膨大な数のコネクテッドデバイスが登場する。しかしそれらのデバイスは、安心して使えるクラウドにつながり、マシンラーニングや人工知能などのインテリジェンスを組み合わせることで初めて、力を発揮できる」と指摘。Windowsをさまざまなデバイスに拡大していくだけでなく、それを支えるクラウドの重要性を語りました。

Microsoft BandやHoloLensを「できるだけ早く日本に」

 7月29日より無償アップグレードが始まるWindows 10については、「最近はWindowsにとらわれない戦略と言いながらも、やはり今年はWindows 10。無償でアップグレードし、革新的なコンピューティング体験をしていただきたい」(平野氏)と語りました。

 新世代のPCについては、「多くのOEMがデバイスを開発している。7月29日にはまず既存PCのアップグレードが始まるが、夏から年末にかけてエキサイティングなデバイスが順次出てくるはずだ」(平野氏)と見通しを語りました。

 Windows Phoneについても言及。「マウスコンピューターとfreetelから発表があった。これまでになかったデバイスメーカーからも、問い合わせを受けている。具体的なことはこれ以上言えないが、いろいろなデバイスにおいて楽しみな展開が出てくるだろう」(平野氏)と期待感を語りました。

 まだ国内展開の予定が見えていないCortana、Skype Translator、Microsoft Band、HoloLensといった製品やサービスについても、「できるだけ早く日本に持ってこれるよう、本社と連携している」(平野氏)と説明しました。

日本マイクロソフトの新しいスローガンは“変革”
Cortana、Skype Translatorの日本語対応も米国本社と密に連携しており、「具体的な時期は言えないが、できるだけ速く持ってきたい」との説明。

 なお、日本マイクロソフトでは”テレワーク”など新しいワークスタイルを自ら実践していく中で、大画面端末『Surface Hub』を25台、社内に導入したとのこと。今後、日本マイクロソフト本社を訪れる機会があれば、その存在を確認したいところです。

日本マイクロソフトの”会長”は何をする?

 平野氏に社長職を引き継いだ樋口泰行氏は、新たに代表執行役 会長という役職に就任しています。

 樋口氏は「会長が何をするのか、説明する会社はあまりない」とジョークを飛ばしつつも、「外資系の日本法人で会長職を置くところは珍しい。これまでは社内と社外の両方に目を配ることが難しかったが、今後は他の企業や政府関係のリレーションシップを強化していきたい」と説明。社内の経営を中心に手がける平野氏との役割分担を明らかにしました。

日本マイクロソフトの新しいスローガンは“変革”
会長職に移る樋口前社長は、若干肩の荷が降りたのか、リラックスした話しぶりだった。ちなみに平野氏は英語が堪能と強調されがちだが、樋口氏も海外メディアからのインタビューを直接英語で受け答えしていたことも。

 最後に平野氏は、新体制のもとで日本マイクロソフトはどう変わるかという質問に対し、「日本市場のニーズを、どうやって米国本社に理解してもらうかが重要。これまで以上に本社へのアピールを進めていきたい」と回答。グローバルの中でも特殊といわれる日本市場をどのように説明していくか、平野氏の手腕が問われることになりそうです。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう