週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

Windows情報局ななふぉ出張所

国内発表相次ぐWindows Phoneに復活の夜明けは来るのか?

2015年03月03日 07時00分更新

 これまで3年半ほど音沙汰のなかった国内向けのWindows Phone端末が、続々と発表されています。沈黙を破ったマウスコンピューターに続き、京セラがスペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress 2015へのプロトタイプ端末の展示を発表。freetelは2015年夏までの発売を宣言するなど、急激な盛り上がりを見せています。

WinowsPhoneの夜明け
WinowsPhoneの夜明け
↑2月に入り、マウスコンピューター、京セラ、freetelなどが相次いでWindows Phoneを発表した。特にfreetelは今夏までの発売を予告しており、確実に入手できそう。MWC2015における出展にも注目だ。

 果たして国内のモバイル市場において、Windows Phoneが再び盛り上がることはあるのでしょうか。

■下火になってから“復活”するOSは多くない

 相次ぐ国内メーカーのWindows Phone発表を見て筆者が感じているのは、「いったん下火になってからカムバックするOSも珍しい」という印象です。

 以前には、ソフトバンクの孫正義社長が、「一度傍流(ぼうりゅう)になったOSが舞い戻ってくることはほとんどない」との見方を披露したことに象徴されるように、これまでの歴史を振り返っても、勢いに乗ることができなかったOSは、そのままフェードアウトしていくのが通例でした。

 しかしWindows Phoneは、マイクロソフトのWindowsという世界規模の基盤が下支えとなっています。かつては別々のOSだった両者も、Windows Phone 8から8.1へ進化する上で徐々に融合を進めており、Windows 10において収束するというロードマップが見えてきました。

 もちろん、端末さえ出れば売れる、という状況でないことは明らかです。米国ではノキアやHTC、サムスン、地元メーカーを含むさまざまなWindows Phone端末が発売され、アプリやサービスの対応がもっとも充実していたにも関わらず、登場から数年が経過してもなかなかシェアが大きく上向く気配はありません。

WinowsPhoneの夜明け
↑Windows Phone端末やアプリ、サービスが最も充実している米国でシェアが低迷している以上、国内向けの端末が出たからといって、すぐに売れる可能性は低いといえる。ただ、日本市場では例外的にヒットするものもあるため、米国で売れないから日本でも売れない、とは言い切れない面も。

 その一方で、日本市場は世界の中でも特殊なことで知られています。世界では売れていないWindowsタブレットのシェアが高いことも、その特殊性を際立たせています。この勢いに乗れば、グローバルで売れていないWindows Phoneが日本でだけ売れる、という可能性もあるのです。

■アプリやサービスの日本対応は追いつくか

 現実的には、日本でWindows Phoneが売れるようになるためには課題が山積みという状況です。

 ここ数年、Windows Phoneの新機種がなかったこともあり、国内のスマートフォン向けサービスは、ほぼiPhone、Android対応のみに限られています。Webブラウザーを用いるものであれば使える可能性はあるものの、国内で知名度の高いアプリやゲームのWindows Phone対応は遅れています。

 マイクロソフトが、日本向けにどう動くかも気になるところです。現時点で日本マイクロソフトは、「国内メーカーからWindows Phoneが発売されたとして、特別に新たな対応を行う予定はない。これまで通りグローバルにおいて、日本市場への対応を進めていく」と姿勢を変えていません。

 また、実際にスマートフォン向けのアプリやサービスを提供している事業者にとっても、Windows Phoneが発売されたからといって、即座に対応を検討するとは言いがたい状況です。前モデルのIS12Tでは、その後数年間に渡って後継機が途絶えてしまったという”前科”があるため、慎重になるのは当然といえます。

 このような膠着状態を打開するには、どうすればよいのでしょうか。まずは、市場シェアなどに関係なくWindows Phoneアプリを作りたいという、熱意を持った開発者を確保するから始めることになるでしょう。

■企業ユーザーの関心はあるも、導入には慎重か

 一方で、Windows Phoneの国内需要があるといわれてきたのが企業ユーザーです。たしかに、既存のWindows PCの管理インフラを利用することができるという点で、親和性が高いのはポイントのひとつといえます。そういった企業内のIT管理者からも、Windows Phoneへの期待の声を聞くことはよくあります。

 ただ、実際にWindows Phoneを社内に導入するかといえば、それは別問題です。アプリ開発者同様、IS12Tの後継機が出なかったことで、今後も継続的にWindows Phone端末は調達できるのか、IT管理者としても疑心暗鬼にならざるを得ません。

 また、最近では会社から支給されるデバイスより、従業員が個人的に持っているデバイスのほうが高性能ということも少なくありません。最新のハイエンドスマホを使い慣れた、“目の肥えた”従業員にも満足してもらえるような端末がなければ、モチベーションが下がることになりかねません。

 そういう意味では、京セラのWindows Phone 8.1端末が高耐久モデルとなっている点はおもしろいところです。パナソニックの業務用端末『FZ-E1』のように、特定用途にジャストフィットするようなモデルならば、汎用的なスマートフォンでは対応できない需要に応えられる可能性があります。

■Windows 10の開発進捗にも期待

 現在、MWCのためバルセロナに滞在している筆者も、『Lumia 630』をWindows 10 Technical Previewにアップデートすることができました。基本的な使用感はWindows Phone 8.1と変わっていないものの、これまでどんどん縦に長くなっていた設定画面がカテゴリごとに整理されるなど、PC版Windows 10との親和性が上がっているのが嬉しい点です。

WinowsPhoneの夜明け
↑Windows 10のTechnical PreviewをインストールしたLumia 630。Windows Phoneの日本語環境として、いわゆる”中華フォント”に久しぶりに戻ってしまった感はあり、本当に2015年内に完成するのか不安になってくるものの、最初のプレビュー版としては許容範囲だろう。

 まずは、最初に日本で発売されるWindows Phone 8.1端末はどのモデルになるのか、注目したいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります