サントリー“BOSS”シリーズのCM出演など、メディア露出が増加しているPepperくん。先日、2月27日に300台限定の販売が始まることが発表されましたが、残念ながらこちらは開発者優先となります。一般向け発売は今夏ごろの見込みですが、世間の注目度がよりいっそう高まっているのは間違いありません。
Pepperくんといえば、表情と声から人間の感情を推定する感情認識機能、センサーからの情報を元にした自律行動、19万8000円という安価な本体価格(別途、月額料金は必要)などが特徴ですが、外部デベロッパーが開発した“ロボアプリ”をアプリストアからダウンロードしてインストール可能な仕組みも見逃せないポイントです。ソフトバンクもロボアプリのラインアップ充実には力を入れており、ロボアプリのコンテスト“Pepper app challenge 2015”を開催。2月22日には、その決勝大会が開催されました。
Pepper app challenge 2015には約100作品の応募があったとのことで、決勝大会には予選を突破した10作品が出場。最優秀賞を目指して、デモ審査と一発勝負のプレゼン審査に臨みました。審査員は安生真氏(Google Developer Expert)や山海嘉之氏(CYBERDYNE(株) 代表取締役社長/CEO)、中野俊成氏(よしもとロボット研究所 チーフプランナー)、大和信夫氏(ヴイストン株式会社 代表取締役)などそうそうたる7名。週アスPLUSでもおなじみの池澤あやかさん(女優、プログラマー)もそのひとりです。
ということで、最優秀賞をはじめとする受賞作品の内容をご紹介していきます。
●ベストテクノロジー賞
●ベストエンタテインメント賞
Team SabiDon
『SabiDon with pepper』
Pepperくんが司会者となり、楽曲のサビなどの一部分を聴いて楽曲名やアーティスト名を当てる音楽クイズを出題するアプリ。誰もがシンプルに遊べるゲームとしての楽しさと、その裏にある高度な仕組みが評価されてのダブル受賞となりました。回答者は早押しで回答権を得るのですが、Pepperくんの手の甲に内蔵されたタッチセンサーを触れるというやり方がユニークなところ。音声認識の精度を上げるための工夫もされています。出題楽曲のデータは音楽配信サイトの試聴機能から引っ張ってきているとのことで、正式に提携すれば楽曲購入機能も加えられそうです。
●ベストユーザーインタフェース賞
IMJ すまのべ!
『Pepperセルフィ』
Pepperくんがセルフィ風に記念撮影をしてくれるアプリ。スマホから操作可能なオリンパス『OLYMPUS AIR A01』をPepperの手のひらに固定して撮影に利用。撮影写真は別に用意されたプリンターでQRコードを印刷し、それを読み込めばサーバーからダウンロードできる仕組みです。ロボ感のない自然な会話にするために声のトーンや訛り、間の調整などがされている点と、タッチ操作のボタンとして機能しながらもユーザーに発話をうながす意味合いも持たせた“ふきだしボタンUI”が高く評価されての受賞となりました。
●ベストクリエイティビティ賞
マッキー小澤
『ペッパーのクロースアップマジックへの挑戦』
Pepperくんに“クロースアップマジック”(少人数の観客に対して至近距離で演じられるマジック)をさせるアプリ。手に持ったスポンジボールが現われたり消えたりする動きをディスプレーと手の動きで表現。Pepperくんがマジックを会得するまでの心の葛藤などをストーリー仕立てで描いており、Pepperくんにしっかりと個性を持たせた点が評価されました。自身も鮮やかなお手並みのマジックを披露した開発者のマッキー小澤さんのキャラがユニークで、会場がもっとも沸いたプレゼンでした。
●ベストビジネスモデル賞
イサナドットネット(株)
『Pepper受付スマホ通知アプリ』
オフィスの受付に設置したPepperくんが来客対応してくれ、面会予約のQRコードを見せると担当者のスマホにプッシュ通知でお知らせしてくれるアプリ。ヒト型ロボットであるPepperくんが対応することで、ゲストが親しみを感じられるのがメリット。既存の受付システムへの導入も容易で、今後、ビジネスになる可能性が最も高いアプリという評価になりました。審査員のスプツニ子!氏(アーティスト)は「外国人ウケがいいのでは?東京オリンピックに向けても期待できそう」とコメントしていました。
●最優秀賞
●ベストソーシャルイノベーション賞
プロジェクトチーム・ディメンティア
『ニンニンPepper』
認知症という社会課題にPepperくんがどう貢献できるのかというテーマに取り組んだアプリが見事最優秀賞を獲得し、ベストソーシャルイノベーション賞もダブル受賞。認知症の高齢者に対して、朝の呼びかけのほか、孫の写真をきっかけにしてコミュニケーションを図ることで、Pepperくんが認知症の患者とその家族を明るくするサポートロボットの役割を果たすことを目指しています。将来的には、認知症の患者やその家族、医療現場などのハブとなることも視野に入れているそうで、審査員の山海氏は「社会の課題にチャレンジし、新しいロボットの使い方を模索している点がすばらしい」とコメント。現状のPepperでできることにはまだ限界があるため、現時点では実用面の用途を考えるよりもメンタル面のサポートを重視している印象を受けました。
コンテストの最後に「Pepperはアプリしだいでいろんな役割を果たすことができるため、無限の可能性を持っています。今年の夏までに、ぜひ一般向けのロボアプリを開発していただきたい」と開発者に対してメッセージを送ったソフトバンクロボティクスの冨澤文秀代表取締役社長。Pepperくんを導入する法人とロボアプリのデベロッパーをつなぐ仕組みをソフトバンクロボティクスが用意する予定であることと、年内にもう一度このコンテストを開催する予定があることを明らかにし、開発者への期待感を示していました。
●関連サイト
Pepper app challenge 2015
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1,690円
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1,520円
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1,620円
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3,888円
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1,640円
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2,411円
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