国内のテクノロジー系ベンチャー企業50社を選出する監査法人トーマツとデロイトによるFast50。その“グローバルカンファレンス2015 For Fast50 Winners”が2015年2月9日に行なわれた。“ベンチャー企業にはグローバルでの躍進を、大企業には更なるイノベーションを!”をテーマに、ベンチャー企業50社を選出して、大企業とのコラボレーションなどの促進を図っている。
基調講演にはデロイトトーマツコンサルティングの水上晃シニアマネージャーが登壇。“2014年 Fast500の傾向から見る今後の期待分野”という題で講演を行ない、2015年に成長が期待される、ベンチャーが注力すべき分野について解説された。
Fast500とはFast50を発展させ、大陸地域ごとに成長ベンチャーを選出したもの。日本はアジアパシフィック地域のFast500に属している。北米1位に選ばれたのがスマートデバイスの中のセキュリティー。管理ソリューションをグローバルで展開している“Mobileirio社”だ。IoTで今後モバイルに限らず、ネットに接続されるデバイスは飛躍的に増えていく。そのセキュリティーに注目が集まっている。
アジアパシフィック地域の1位はすでにベンチャーの領域を超えているが、カカオトークの“Daum Kakao社”。受賞企業の傾向として、年間売上高1000万ドル未満の企業が30%増加し、2年前から倍の規模になっている。これはベンチャーのすそ野が広がりを見せていると分析。ただアジアパシフィックを見ても日本は数も少なく下位に位置しており、インド、台湾の半分だ。台湾の規模が大きいため、日本でも同様の盛り上がり実現に期待を込めていた。日本で特に多いのはスマートデバイスのアプリ。事業を始めやすいが、今後は大きな投資が必要な分野へのチャレンジングなベンチャーが増えてほしいと水上氏。
その理由はスマートデバイスの次の時代が始まっているからだ。昨今注目を集めるキーワード"IoT"は、3年以上前からある言葉だ。革新的な電気自動車をつくるテスラモーターズが、ネットとセンサーを使った新しい発想で車産業に殴り込みをかけたように、モノとインターネットで新しい産業を生み出し、ベンチャーが既存の業界を変える革新的なものが出る時期に来ている。
また企業ごとの縦割り組織は崩され、通信会社がロボットを売り、ハイテク産業で野菜が生産される時代。日本企業も、自社の産業を超えて売上を生み出す必要がある。そのためには、大企業とベンチャーとのマッチングこそがイノベーションを生み、日本企業が世界で戦うための方法と水上氏は結論した。
■関連サイト
日本テクノロジー Fast50 受賞企業
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります