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戦場はスマホからテレビへ!OS戦争となったスマートテレビの現状:CES2015

2015年01月08日 06時00分更新

 米ラスベガスで開催中のCES2015では、各家電メーカーが最新モデルのテレビを発表しています。今年のトレンドは4Kや8Kといった高解像度化やカーブディスプレーなどがありますが、さらに注目されているのが、これまでスマホやタブレットで採用されていたOSをテレビに搭載した“スマートテレビ”です。

 スマートテレビに採用されているOSは、AndroidやFirefox OS、Tizenなど。特にFirefox OSやTizenはスマホやタブレットで“第3のOS”としてスポットが当たっていたOS。スマホやタブレットでのOSの覇権争いが、テレビにまで広がった状況となっています。そこで、各社のスマートテレビをチェックしてきました。

●Android(ソニー・シャープ)

 ソニーとシャープが採用しているのが、Googleがテレビ用に開発した“Android TV”。インターフェースこそテレビ用に専用のデザインとなっていますが、Playストアが利用でき、スマホやタブレット用のアプリやゲームもそのまま使えるのがポイントです。

スマートテレビの現状
↑ソニーは『BRAVIA X9000C/X9100Cシリーズ』でAndroid TVを採用。
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↑シャープは『AQUOS UH/UBシリーズ』でAndroid TVを動作させています。

 ソニーとシャープは同じAndroid TVということで、基本的なインターフェースは同じ。縦スクロールで“Input”や“Apps”、“Game”といったジャンルを切り替え、横スクロールでそれぞれのジャンルに登録されているアプリやコンテンツにフォーカスする操作方法です。

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↑両社ともリモコンにはタッチパッドを搭載し、このタッチパッドでアイコンのフォーカスを移動させたりします。

 リモコンには“ホーム”や“戻る”といった、Androidスマホではおなじみのボタンも用意されています。そのため、Androidスマホに近い操作方法になっているので、これまでAndroidスマホを使っていたユーザーならすんなりと使いこなせそうです。

スマートテレビの現状
↑ソニーのリモコンはボタンが少なくシンプルなデザイン。
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↑シャープのリモコンには再生ボタンなども用意されています。

 ソニーは説明員によるデモだけでしたが、シャープでは来場者が実際にリモコンを試せました。筆者も試してみましたが、アイコンのスクロールや画面の切り替えなどはスムーズ。このまま製品化しても問題のない仕上がりになっていました。

 テキスト入力のデモはありませんでしたが、そのかわり両社で音声入力のデモが行なわれていました。それぞれリモコンにマイクが搭載されているので、動画やアプリが、音声入力で検索できます。

スマートテレビの現状
↑マイクボタンを押すと音声入力モードになり、リモコンに話しかけると、文字が入力される仕組み。

 Android TVは、Playストアが利用できるので、現在スマホやタブレットで提供している動画サービスや音楽配信サービス、電子書籍ゲームが基本的にはそのまま利用できるとのこと。Android TVが発売された直後でも、利用できるコンテンツが多いというのはアドバンテージになりそうです。

スマートテレビの現状
↑Bluetoothで接続したコントローラーを使って、Androidのゲームアプリをプレイ。

 スマホやタブレットからは、“Google Cast”が利用可能。これは“Chromecast”と同じで、対応アプリから動画などをテレビ画面で表示可能。いったんテレビで再生しはじめれば、スマホやタブレットは画面を切り替えて別のアプリが操作できます。

スマートテレビの現状
↑YouTubeなど対応アプリなら、専用のボタンをタップするだけで、テレビでの再生がスタート。


●Firefox OS(パナソニック)

 パナソニックはFirefox OSを搭載した『TC-65CX850U』を使って、同社のブースにてデモを行なっていました。残念ながら説明員の操作のみで、来場者が操作することはできませんでした。リモコンの撮影も禁止で、さらなる作り込みが必要といった雰囲気。

 インターフェースはアイコンが配置できるホーム画面があり、そこにインストールしたアプリやコンテンツなどを登録していく方式。テレビのチャンネルもアイコンとして登録できるので、自分がよく使うサービスやチャンネルに素早くアクセスできるようになっています。

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↑Firefox OSらしい丸いアイコンを使ったホーム画面。
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↑“Apps”から登録されているアプリやコンテンツへとアクセス。


●Tizen(サムスン)

 サムスンは、プレスカンファレンスにて同社が中心となって推進している“Tizen”をスマートテレビのOSとして採用することを発表。ブースではテスト機を使って、Tizen搭載テレビのデモを行なっていました。

スマートテレビの現状
↑Tizen搭載テレビのメニュー画面。チャンネルの切り替えなどは従来のデザインに近いのでわかりやすい。
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↑上下左右にアイコンが表示され、音量操作などの基本操作が行なえる。

 Tizen搭載テレビでは、リモコンをスティックのように振ってポインターを動かしてアイコンなどにフォーカスを当てるモーションコントロール機能を装備。テレビ用のリモコンでの操作は説明員のみで実際には触れなかったのですが、Wiiリモコンでの操作に近い感じでした。

スマートテレビの現状
↑方向ボタンやポインター用のボタンもあり、こちらで操作することもできます。
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↑アプリやサービスの選択は、視聴中のコンテンツの邪魔にならないように画面の下部に表示。

 スマホやタブレットからの連携は、専用のアプリを使用。ビデオ配信サービスをスマホで選んで、テレビ画面へ映し出すといった使い方ができます。

スマートテレビの現状
↑ビデオ配信サービスのアプリから、Tizen搭載テレビへと出力。アプリはAndroid版とiOS版が用意されているとのこと。
スマートテレビの現状
↑スマホのゲーム画面もテレビに出力可能。これは『Gear S』をコントローラーとして使用した体感ゲームのデモ。

 さらにゲームでは、『PlayStation Now』にも対応しています。DUALSHOCK 4コントローラーを用意すれば、Tizen搭載テレビだけで、PS3のゲームがプレイ可能となります。

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↑PlayStation Nowのデモ。ソニーのテレビではなく、サムスンのテレビでプレステが遊べてます。


●WebOS(LGエレクトロニクス)

 スマートテレビのOSに“WebOS”を採用し、開発を進めていたLGエレクトロニクス。現地では最新バージョンの“WebOS2.0”を搭載したテスト機でデモが行なわれていました。

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↑画面の下部にコンテンツが並ぶWebOSのメニュー画面。

 画面の操作方法はポインターを動かして、アイコンやメニューをフォーカスするTizenと同じ形式。リモコンにはポインターを操作する方向ボタンのほか、ウェブブラウジングなどで使いやすいホイールボタンも用意されています。

スマートテレビの現状
↑チャンネルボタンなどもあり、従来のテレビリモコンに近い。

 WebOS搭載テレビ自体はすでに発売されているので、メニューの選択や画面の切り替えなどはスムーズに動作し問題ないレベル。このあたりは、スマートテレビへの取り組みが早かった同社の強みですね。

 スマホやタブレットからは、専用のアプリからテレビ画面へ出力可能。SDKも公開されているので、コンテンツプロバイダーによる対応アプリの開発もできます。

 そのほかWebOSは、家電同士を連携させるスマートホームの“Allseen Alliance”にも対応しているのがポイント。Allseen Allianceの対応機器なら、LGエレクトロニクス製以外の製品も、テレビからコントロールしたり情報をチェックしたりできます。

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↑テレビ画面に連携可能な家電がアイコンで表示されており、エアコンのオン・オフや、ロボット掃除機のスタートといった操作が可能。
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↑連携機器の消費電力を一覧で表示する機能。

 以上が主要メーカーのスマートテレビの現状となります。それぞれ特徴や完成度は違いますが、テレビ番組を表示するだけにとどまらず、テレビを使って様々なコンテンツやサービスをスムーズに楽しめるようになっているのがポイントです。

 今回紹介した製品は今年リリース予定のものばかりなので、テレビの進化に期待しましょう!

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