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巨大家電ショーCES2015前夜祭は右も左もIoT、PC1台もなし:CES2015

2015年01月05日 20時00分更新

 現地時間1月6~9日にアメリカのネバダ州ラスベガスで世界最大級のIT&家電ショー“2015  International CES”(以下、CES2015)が始まります。
 本開催に先立つ1月4日、CESの前夜祭に相当する“CES Unveiled”が開催。これをもって、CESの”実質開幕”となり、以降さまざまなカンファレンスを通じて新製品情報が飛び交うなか、CES2015が本開催というのが例年の流れです。

CES 2015 IoT

 Unveiledは、本格展示が始まる前に世界各国から集まるプレスに製品を見せられる場。つまり出展社にとってはオイシイ反面、CES本出展にプラスされる形で決して安くない出展コストもかかります。ここ数年、Unveiledの目玉は、多くの新機種を展示していたレノボでした。

 しかし、今年、その主役となったのは「IoT」(Internet of Things)と最近呼ばれるようになったネット接続型のセンサーデバイスや、スマホなどで家電をコントロールする「スマートホーム」系の機器たち。なんとPCの出展は1台もなし(!)という状況。※なお、レノボはCES本編には出展していてプレスリリースで新製品を発表済み

 もちろん、CES本編では今年の注目ジャンルの1つとされる自動車関連の大きな発表が期待されますし、レノボほかPCやタブレットメーカーの新製品発表もあるようです。とはいえ、中小規模のIoTメーカーが多数出展してきているのは、今年のトレンドを反映してると見るべきところです。

 それでは取材陣の目に付いたUnveiled会場の各ブースの内容を見ていきましょう。

●Cerevo

 日本国内のハードウェア系スタートアップの先駆け的存在であるCerevoは、スマホ連携スポーツ製品シリーズ“XON”(エクスオン)の第1弾としてスノーボードでの滑りの分析、演出を行なう『SNOW-1』発表。予想実売価格は400~600ドル(約4万8000円~7万2000円)で、年内発売予定です。

CES 2015 IoT

 SNOW-1は、3軸加速度センサーに加え、荷重センサーがそれぞれの足の下に4ヵ所、板の上に“曲げセンサー”が板上に2ヵ所取り付けられており、荷重のかけ具合、重心位置などを計測。Bluetooth4.0で接続したスマホやタブレットなどで後から分析もしくはリアルタイムに観測できます。また、動きに合わせて点灯するLEDがつまさき部分についているため、滑りをキレイに演出することも可能です。

 ブーススタッフ曰く、スキーではなくスノボセンサーにしたのは、岩佐氏自身も含めて社内にスノボ好きのメンバーが多かったことに加え、GoProなどアクションカメラで撮影するスポーツを起点に考えると自転車系は競合が非常に多いという事情もあるとのこと。「グローバルニッチ」を標榜するハードウェアスタートアップとしての目の付け所がスノボだった、ということでしょう。

巨大家電ショーCES2015前夜祭は右も左もIoTとスマートホーム、PC1台もなし:CES2015
↑DMM.make AKIBAのテレビCMでビートたけしとの共演も果たしたCerevoの岩佐琢磨CEO。
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↑SNOW-1、LED点灯時。
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↑iPadで荷重などを表示している。ほぼリアルタイムで反映される。

●D-Link

 各種ネットワーク製品を取り扱うD-Linkは大きめのボディー&スタイリッシュな6×6通信対応の『AC3200 Ultra Wi-Fi Router DIR-890L/R』を発表。米国時間1月5日から発売で299ドル(約3万6000円)。

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 見かけのインパクトも大きいですが、IEEE802.11a/g/n/ac、2.4GHz帯×1+5GHz帯×2のトライバンドに対応。発信具合を自動調節し電波を届きやすくする“AC SmartBeam”(ビームフォーミング)も利用できます。単なる高性能ルーターとしても注目ですが、今後IoT製品など家の中の様々な機器をワイヤレスでつなげる際はこのような家中に電波が届きやすい製品が必要になるかもしれません。

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●XYZプリンティング

 3Dプリンターを手がけるXYZプリンティングは料理のできる3Dプリンター『3D Food Printer』を参考出展。発売時期は年内を予定しており、価格は未定とのこと。

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 3D Food Printerで実際につくれるものは、現状でチョコレートによるデコレーションと、クッキー、ピザの3種類。残念ながら試食はできませんでしたが、会場では食パンの上にチョコレートで文字を描くデモを行なっており、甘いがブースを包んでいました。

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↑“XYZ”の形に焼かれたクッキー。
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↑“I Love You”と描かれたチョコレートデコレーション。

●マイクロソフト

 大手企業による出展は少なかったもののマイクロソフトは、Surfaceの実用例を紹介。アメリカンフットボールのリーグ『NFL』で実際に使われているオリジナルプロテクターをつけたSurface Pro2とそのアプリが紹介されていて、説明員によるとNFLの全チームがSurfaceとアプリを使って戦略立てや選手への指示を行なっているのこと。

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●DJI

 ドローンを手がけるDJIは『Inspire1』に搭載されたカメラを取り外し手持ちのカメラとして扱える『Inspire1 Camera Mount』を発表。2014年第2四半期に発売予定で、日本での展開も検討中。価格は未定です。

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 「ドローン搭載のカメラをわざわざ手元に?」と最初は疑問符が頭に浮かんだ製品ではありますが、カメラレンズをさまざまな方向に向けることで多様なアングルの写真が撮れたり、ドローンで培われたトラッキング技術を生かした撮影も可能で、まさにイベント会場での実況などに便利そうでした。

●Digi-Pas

 スマートロック製品を扱うDigi-Pasは2014年11月に発表したスマホ連携のスマートロック“eGeeTouch”のSmart Luggage Lockを展示。CES2015のイノベーションアワードにも選ばれました。

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 Smart Luggage Lockはスーツケースに取り付けるタイプのカギで、スマホのNFCや専用のNFCタグをかざすことでロックを解除できます。“TSA”に対応しているモデルもであり、米国入国時でも安心です。

●netatmo

 家庭向け屋内センサーなどを取り扱うnetatmoは顔認識みまもりカメラ『WELCOME』を展示。3~5月に発売予定で、価格は未定です。

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 WELCOMEは筒状のボディーをもったカメラで、家の玄関先などに置いておき家族や来訪者などの写真を自動で撮影します。顔認識機能をもっているため、家族など登録してあるユーザーが通過するとスマホなどに通知します。たとえば、仕事で忙しい両親が小さな子どもの帰宅状況などを確認するのにピッタリです。

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↑スマホアプリのUI。通過して撮影された顔がタイムライン上に表示されています。
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↑顔を登録する際には、名前と通知の有無などを設定可能。また通知する時間帯も別途指定できます。

●Parrot

 DJI同様、ドローンなどでも有名なParrot。同社が参考出展したのは『Parrot RNB6』という、いわゆるカーナビ系の車載機器。最大の特徴はアップルの『CarPlay』とGoogleの『Android Auto』両対応ということ。

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 すでに車メーカーをはじめ、車載システムを製造・販売する老舗企業もCarPlayやAndroid Autoの採用を発表し始めていますが、Apple CarPlayやAndroid Autoの登場は、地図やそれに関連したアプリ設計などを自前で用意する必要がなくなることを意味します。そのため、Parrotのような今までカーナビをつくってこなかったけれど、デザインやアイデアに強みをもつメーカーも次々と参入してきそうです。

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●Roost

 Roostは火災報知器向けスマート電池『Roost Smart Battery』を展示。家の火災報知器のバッテリーをRoostにつけかえると、煙発生の通知をスマホなどに送れるようになります。価格は30~40ドル(約3600~4800円)で、現在予約受付中で、2015年第2四半期に発売予定。スマホはAndroid4.2以降またはiOS6.0以降に対応。9Vのバッテリーを使う火災報知器に対応し、バッテリー持続時間は約5年としています。

CES 2015 IoT
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●goTenna

 米国のスタートアップ企業goTennaは、既発表で社名と同名のコミュニケーション機器を展示。こちらもCES2015のイノベーションアワードを受賞した製品で、2本1組で149.99ドル(約1万8000円)で予約受付中です。

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 goTennaを接続したスマホは、もう一方のgoTennaにつながったスマホに対して専用アプリで直接テキストや位置情報を送信できます。最大通信距離は81キロメートルほどで、緊急時は付近のgoTennaユーザー全員への信号発信なども可能。圏外になってしまう山奥などでのコミュニケーションに最適のようです。

●360cam

 キックスターターで大人気でしたが、発売が遅れているフルHD撮影対応全方位カメラ『360cam』の実機も展示。独特な電球型の形状と防水性能が特徴で現在も注文を受け付けています。価格は499ドル、約6万円です。

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●The CGC Team

 同じくキックスターターで120万ドル(約1億4400万)超もの資金を調達したLimaの実機も展示。Lima自体はUSBとEthernetを備えた小型の機械ですが、ネットワークとUSBストレージ機器をつなげることで、カンタンにパーソナルクラウドを構築できます。バージョン管理や共有作業なども可能です。

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●Narrative Service

 今年発売予定のウェアラブルカメラ『Narrative Clip 2』の実機もいち早く展示。価格は199ドル(約2万4000円)。初代のモデルはキックスターターで約55万ドル(約660万円)も集めた注目機種でしたが、カメラが800万画素、撮影した写真の転送もWiFi・Bluetoothでの転送が可能になっているなど着実に進化をとげているようです。

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●Withings

 スマート体重計や活動量計などを展開するWithingsは低価格なスマートウォッチ『ACTIVE POP』を発表。価格は149.95ドル(約1万8000円)で、米ベストバイなどで2015年3月に発売予定です。

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 多くのスマートウォッチと違いACTIVE POPは通常の腕時計らしい“針の文字盤”を採用しているのが特徴です。スマホと連携することで、ウォーキングや水泳などの活動量は時計の針とは別の0~100%を指し示す針で確認でき、そのぶん約8ヵ月の長寿命を実現しています。

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●iSetWatch

 仏のベンチャー企業が生み出した『iSetWatch』も初展示。青緑ELを搭載したスマートウォッチですが、テニスに特化しているのが特徴です。

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 画面上には審判や別の係がスマホで入力したスコアが表示されるため、プレイヤーは常に手元で現在の試合の様子を確認できるというものです。画面とBluetooth4.0のおかげもあり、バッテリー寿命は最長で2年間。129ドル(約2万6000円)で今年4月に世界各国で発売予定です。

●Vigilant

 米国のベンチャーVigilantは発表済みのBluetooth対応糖尿病対策キット『Bee』の実機を展示。BeeはPocketバージョンが69.99ドル(約8400円)で予約受付中(1月15日出荷予定)です。

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 Beeはインスリンの摂取タイミングや血糖値情報を取得し、スマホで管理できます。健康ジャンルで言うと活動量計などが多々ありますが、このような医療系にもスマートデバイスが活用されるようになったのは驚きです。


 そのほかにも赤ん坊にシールを貼り付け24時間ぶんの体温情報を取得できるものや、キックスターターで取り扱われている女性向けフィットネスリストバンド、腕力などを鍛えられ消費カロリーを計測できる椅子など、多様な製品が出展されていました。

CES 2015 IoT
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 1月5日(日本時間6日)からソニーやASUSなどのプレスイベント、LGやサムスンなどの基調講演もあることから、PCやスマホなどの新製品も期待できますが、今年のCESはUnvailedで公開されたこれらのような細かな製品&ソリューションが中心となりそうです。

 週アスPLUSでは、速報や詳報をいち早くお伝えしていくので、引き続きぜひチェックしてみてください。

●関連サイト
CES公式サイト(英文)

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