Ingress(イングレス)の公式イベント“#Darsana XM Anomaly: Primary Site, Tokyo, JP”(以下、ダルシャナ)が、2014年12月13日に開催された。
今回のイベントは、事前の参加登録だけでも5000人を超え、これまでに開催されたXM Anomalyの中でも過去最大となる規模だ。昨年末よりエージェントとして活動してきたアカザーと私Gも、今回のダルシャナに参加すべく、メイン会場の日比谷公園大音楽堂を訪れた。
↑#Darsana XM Anomaly: Primary Site, Tokyo, JPの公式サイト。Ingress史上最大の激戦が繰り広げられた。 |
XM Anomaly(XM アノマリー)とは、Ingressが世界各地で開催している公式イベントの名称。細かなルールは毎回変更されるが、イベント中にある計測時間の際に、指定のポータルを占拠したり、コントロールフィールドを構築していたりすることでポイントを稼ぎ、その合計で勝敗を争う。
ダルシャナでは東京がメイン会場に選ばれ、Enlightened(エンライテンド:緑チーム)、Resistance(レジスタンス:青チーム)、両陣営合わせて5000人以上のエージェントが参加。
■史上最大の戦いを前に仲間と再会
受け付け開始時間に会場へ到着した私とアカザーだが、すでに日比谷公園大音楽堂は、両陣営のエージェントで埋め尽くされている。どうやら、開始時間より前に相当数のエージェントが集まっていたため、受け付け時間を繰り上げて開始したらしい。
↑日比谷公園大音楽堂に詰めかけた両陣営のエージェント。受け付けの開始時間には、収容人数約3000の会場が、ほぼ埋まっている状況に。 |
エージェントで溢れ返る会場の中、私は知人のエージェントH氏と接触する。H氏とは、5月に宮城県石巻市で開催された“Ingress Meetup in Ishinomaki”で共に戦った戦友だ。
その後、H氏は11月に京都で開催されたイベント“First Saturday”では運営も務めるほどの凄腕エージェントに成長。今回、我々は彼のチームに参加してともに闘う手筈になっているのだ。
エージェントH氏と近況報告をしていると、ステージ上にNiantec Labs(ナイアンテック ラボ)の川島優志氏が登壇。イベントの開会セレモニーがはじまる。途中、イングレスの生みの親であるジョン・ハンケ氏も登場し、会場内が一気にヒートアップ。
開会の挨拶の最後には、会場に集まったエージェント全員で記念撮影をして、いよいよXM アノマリーが開始。
↑開会セレモニーでジョン・ハンケ氏は「このダルシャナは、イングレス史上最も大きなイベントになりました。参加したエージェントは日本で言う草刈り、水抜き楽しんでください(笑)」とエージェント達に語りかけていた。 |
開会式の後、さっそくエージェントH氏のチームに合流。チームメンバーの自己紹介とブリーフィングを兼ねて昼食を摂る。エージェントH氏が所属するのは20人前後のチームで、首都圏のみならず、東北や関西、果ては海外から東京を訪れて参加しているメンバーもいる。
そのほとんどがイベントの当日にはじめて会う者ばかり。とはいえ、参加者のほとんどがL8以上のエージェントで、猛者のそろった傭兵部隊といった雰囲気。滞りなくブリーフィングが終わると、そのまま作戦エリアに向かう。
■その時、日本全土が緑に染まる
我々のチームが担当したエリアは、ゾーンAの新橋~東京タワー周辺にかけての地域。第1回目の計測、クラスター1では西新橋エリアで、全員一緒に目標のポータルに向かう。
↑クラスター1の作戦エリアに向かうチームのメンバー。移動手段は、もちろん徒歩。途中、明らかにダルシャナに参加しているとみられるいくつもの一団とすれ違う。 |
XM アノマリーでは、対象となるポータルが数日前に発表され、両陣営とも事前に作戦を練って臨むことが多い。今回のダルシャナでも、エージェントH氏のようなチームリーダー同士が事前に作戦を考え、当日は練り上げた作戦をもとに各チームが行動をするのだ。
↑クラスター1の目標ポータル付近に到着。すでに敵であるレジスタンスのメンバーが到着しており、多数のエージェントたちが計測開始を待っている。 |
↑我々のチームもポータルの周辺にエージェントを配置。まもなく、はじまろうとしている闘いに備える。 |
クラスター1の開始時間が迫り、エージェントH氏がカウントダウンをはじめる。集まっているエージェントの表情に緊張感がみなぎる。時刻が14時を刻み、エージェントH氏から「開始!」の掛け声が飛ぶ。
スキャナを確認すると、ポータルは自陣営の緑色に染まっている。となれば、ポータルを死守するのみ! ポータル画面を開き、素早く“DEPLOY”をタップして、L8レゾネーターを設置する。
↑クラスター1がスタート! チームメンバーと一緒にレゾネーターを挿しまくるアカザー。 |
↑溶けるように破壊されるレゾネーターを補充する“ワンコレゾ”状態に。 |
戦いは熾烈を極め、スキャナにデータが反映されるときには、すでにレゾネーターの耐久値は半分程度。再度、データが更新されるときには、レゾネーターは消失。“L8レゾネーターが”だ。もはや、L8にこだわっている余裕はない。レベルにこだわらず、設置できるレゾネーターを間髪入れずに挿しまくる。
10分間の計測時間が過ぎ、エージェントH氏から「終了!」の声が届く。途中、何度かニュートラルになったり、敵にポータルを確保される瞬間もあったが、ほとんどの時間帯は、我々のチームが確保していた。我々の勝利といって過言ではない結果に、私とH氏はガッチリ握手を交わす。
そこではじめて、スキャナ画面の異変に気づく。スキャナに映るエリア一帯が、グリーン一色に塗りつぶされているのだ。そこへ、驚くべき情報が飛び込んできた。
エンライテンド陣営が“日本全土緑化作戦”を発動し、巨大なコントロールフィールド(CF)を構築したというのだ。石巻市で開催したイベントの際も、同様の作戦が展開されていたことを思い出しつつ、インテルマップをチェックしていた仲間から届いた画像を目にして驚愕する。
北海道の襟裳岬付近からいくつかのポータルを経由して中国にリンクが伸び、その両端からグアム付近のポータルにリンクがつながり、超巨大CFが日本列島ほとんどをカバーしているのだ。石巻のときよりも、はるかにデカイ。
↑“日本全土緑化作戦”により、日本列島のほとんどがエンライテンドのCFに覆われる。これによりCF内のエンライテンド(緑チーム)の得点は40%アップとなる。この状態はクラスター4まで維持され、勝敗の行方を大きく左右した。 |
緑化作戦の成功で士気が上がる我々のチームは、クラスター2の増上寺エリアでもクラスター1と同様、瞬間的にポータルを奪われることはあったが、ほとんどの時間帯を自陣で確保したまま計測を終え、敵チームを撃破。
↑クラスター2の作戦エリアである増上寺に到着。目標のポータルを探すチームメンバー。奥には東京タワーが見える。 |
↑エージェントH氏がBluetoothのヘッドセットを着用し、ハングアウトでほかのエリアで活動中のチームと連絡を取る。逐次状況を確認しメンバーに指示を飛ばす。大規模な戦闘では情報戦が勝敗の鍵を握るのだ! |
↑クラスター2の目標ポータルを発見。記念としてポータルキーを取得するため、ハックするメンバーたち。 |
↑ダルシャナを共に闘った戦友たち。クラスター2もポータルを守り抜き、クラスター3でも勝利を誓う。 |
■かつて凌ぎを削った強敵との再会!
意気揚々とクラスター3の作戦エリア、東京タワー周辺に移動する。途中、L8レゾネーターが底を尽きつつあった私は、大阪から参加している同じチームのエージェントゴルゴ氏から補給を受ける。仲間の存在に感謝しつつ、次のエリアで必勝を誓うが……。
↑調子に乗ってL8レゾネーターを使いまくり、クラスター2が終了した時点で、L8レゾネーターが底尽きかけるエージェントG。チームの仲間、エージェントゴルゴ氏から補給を受ける。感謝! |
クラスター3の目標ポータルに到着したところで、エージェントH氏が「えぇっ! まさか! 次は厳しい闘いになるなぁ」と素っ頓狂な声を上げる。エージェントH氏の視線を辿ると、見覚えのあるエージェントが数名、こちらに近寄ってくる。
相手の顔をマジマジと見て、ようやく記憶がつながる。石巻のイベントに参加していたレジスタンスの腕利きエージェント達だ! XM アマノリーの闘い方を熟知した強敵であり、その実力はエージェントH氏も認める手練れである。
激戦の予感にピリピリする私とアカザーだが、エージェントH氏と敵エージェントは和やかに雑談をはじめる。クラスター3開始前のわずかな時間だが、石巻の思い出話に花が咲く。
そう、敵のエージェントといえどコミュニケーションをとり、同じゲームを楽しむ仲間として交流するのもイングレスの遊び方のひとつなのだ。
↑5月に宮城県石巻市で開催された“Ingress Meetup in Ishinomaki”に参加していたレジスタントのエージェント達と再会。石巻でのエピソードを肴に盛り上がる。 |
↑再会したエージェントは、おもに東北で活動しているメンバー。1人は石巻で開催したイベントの際、記念に制作されたTシャツを着て参加していた。 |
やがてクラスター3の開始時間が迫り、お互いの健闘を誓い合い、離れていくレジスタンスのエージェント達。周辺が静まりかえり、エージェントH氏がカウントダウンをはじめ、クラスター3に突入する。
計測がはじまると「耐久値の減りがさっきより速い!」「シールドがもたない!!」と悲鳴のような報告が飛び交う。確かに、クラスター2までは“溶ける”ようだったレゾネーターが数瞬で消し飛び、まるで“蒸発”するかのような勢いだ。さすがに今回の相手は手強い!
必死でレゾネーターを挿しまくる私とアカザー。長いようで短い10分が過ぎ、クラスター3が終了。その瞬間、チームメンバーから安堵のような歓声が上がる。僅差で、我々のチームが激戦を征したのだ。
仲間と一緒に、勝利の喜びを分かち合う。この日、はじめて組んだチームとは思えないほどの一体感。チームでなければ味わえない楽しさを堪能する。
■そしてアフターパーティへ~戦いの後はノーサイド
ここで、私とアカザーはクラスター4の闘いを仲間に託し、ひとあし先にアフターパーティの会場であるベルサール渋谷へ向かう。
会場では、有志が独自に制作したイングレスグッズの即売会が準備中。缶バッジやキーホルダー、同人誌などエージェントの物欲を刺激するグッズが目白押しだ。
個人で作ったとは思えない出来のグッズに見入るっていると、ジョン・ハンケ氏が即売会場に表れる。陳列されているグッズを眺めながら制作者と語り合う姿は気さくで、開発者というより一緒にイングレスを盛り上げる仲間といった雰囲気だ。
↑即売会場で、Niantec Labsの川島優志氏を発見。じつはグッズの即売会を開催するのは、ダルシャナが初だという。 |
↑川島氏に続いて、ジョン・ハンケ氏も登場。制作者と話しながら店舗を巡る。ジョン・ハンケ氏がパソコンの壁紙にしているという噂のイラストを描いたユーザーも出店していた。 |
即売会場をひとしきりチェックしたのち、パーティ会場に移動。ステージに立った川島優志氏の軽妙なトークで、各賞の発表が和やかに進む。
すべての賞が発表されたあとに、ジョン・ハンケ氏がステージに登場。いよいよダルシャナの結果が発表される瞬間が訪れた。
結果は、日本全土緑化計画が功を奏して、エンライテンドの勝利。エンライテンドのエージェントから歓声が沸きあがる。
↑ダルシャナに参加し、アフターパーティに参加していたL16エージェントたち。いずれ劣らぬ、凄腕のエージェントたちだ。 |
↑ローソン賞として“からあげクン1年分”を提供。Weeklyの記録で、もっともUnique Portal Visitedが多かったエージェントに贈られた。受賞したエージェントは、摂取したカロリーはイングレスをプレイして消費するとコメントしていた(笑)。 |
↑CHEEROとINGRESSがコラボしたモバイルバッテリー『CHEERO×INGRESS MOBILE BATTERY 12000mAH』も発表。発売は2015年1月末予定だ。 |
パーティが終わったあと、一緒に戦ったエージェントH氏のチームのメンバーと再度合流し、勝利の感動を分かち合う。
アカザーは敵として闘ったレジスタンスのエージェントからも声を掛けられ、意気投合して話し込んでいる。イングレスについて熱く語り合い、そのまま一緒に飲みに行ってしまいそうな勢いだ(笑)。
かろうじて、編集部へ帰投することを思いださせると、口惜しそうに別れを告げるアカザー。もはや、任務(仕事)ということをすっかり忘れている。
たかがゲームにいい大人達がこれほどまでに熱くなり、そして最後には敵味方問わずに笑顔で盛り上がれる。これこそがイングレスの魅力・・・・・・いや、人類が発見した新エネルギー“XM”(エキゾチックマター)の本当の効果なのだと思う。
↑最後はアフターパーティに参加したエージェント全員で記念撮影。3000人以上収容できる会場だが壁際まで満員状態。イングレスの人気がうかがえる。 |
さて、5000人以上ものエージェントが参加し、イングレス史上に残る激戦が繰り広げられたダルシャナが終わったからといって、エージェントはゆっくりしてはいられない。
2015年3月に開催されるXM アノマリーでは、こんどは京都がプライマリサイトに認定されたのだ。次回は古都を舞台に、エージェントがしのぎを削ることになる。エージェント各員は、実力を磨き次のXM アノマリーに備えるのだ。
【数量限定】 SENNHEISER MOMENTUM On-Ear Ingress Enlightened ヘッドフォンをアスキーストアで購入
【数量限定】 SENNHEISER MOMENTUM On-Ear Ingress Resistance ヘッドフォンをアスキーストアで購入
●関連サイト
・Niantec Project
・観光情報サイト「ここはヨコスカ」Ingress特設ページ
・横須賀海軍カレー本舗
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