「Kwik」(クイック)は、1行もコードを書かずにアプリを開発できる「Adobe Photoshop CC」に対応したプラグイン。Photoshop上でKwikを使って作成したプロジェクトをマルチプラットフォーム対応のアプリ開発環境「Corona SDK」に書き出すことで、コードを自動生成してiOS/Android/Kindle Fire端末向けのアプリを生成する仕組みだ。
Photoshopと聞くと、価格が高くてアプリを開発するにはハードルが高く思えるが、クラウドサービス「Adobe Creative Cloud」に登録すれば月額980円で使えるほか、30日間の無償体験版もある。また、Kwikはアプリ画面を6ページまで作成可能な無料版、Corona SDKは「Starter」という無料ライセンスが用意されているので、とりあえずはすべて無料で試せる。アニメーションや音声読み上げ機能を搭載した絵本アプリや物理演算を利用したゲームなどを制作可能で、すでにさまざまなジャンルのアプリが「App Store」で公開されている。
Kwik導入に必要なソフトウェア |
Kwik Photoshop上で作成した画像にパラメーターを設 定し、Corona SDKにコードを自動で書き出す |
PhotoshopCC Kwikをインストールして使う。Creative Cloud は月額980円から利用可能。無償体験版もある |
Extension Manager CC Creative Cloudからダウンロードできる。Photo shopプラグインの新規インストールに使う |
CoronaSDK Kwikを使って作成された画像とプログラムをiOS/ Android/KindleFire端末用のアプリとして書き出 すPhotoshop上で作成した画像にパラメーターを 設定し、Corona SDKにコードを自動で書き出す |
中でもKwikを使ったアプリ制作で人気のあるジャンルが動く電子絵本だ。「Frederick Spider story book for children」は、「Frederick」という名前のクモが主人公の絵本アプリ。メニュー画面ではボタンに画面遷移の機能が使われているほか、英語とフランス語のどちらかを選択可能。ストーリー画面ではテキストの音声読み上げとBGMとしての「音声再生」、Frederickが画面上を動き回る部分では「パスアニメーション」といった機能が使われている。これらの機能はすべてKwikで実装可能だ。
パスアニメーション
音声読み上げ
画面の遷移
このように、Kwikがあればたいていのゲームは作れるといっても過言ではない。例えば、塗り絵やジグソーパズルのようにオブジェクトをドラッグするアプリ、リズム遊びやクイズのように画像をタップするアプリ、開発環境の「Corona SDK」の強みとも言える物理演算を利用する落ちモノゲームなどだ。ただし、自社サーバーと連携してスコアやユーザーのアカウントを管理するソーシャルゲーム、ブラウザーから値を取得、あるいはクラウドサービスのAPIを利用してスコア管理やユーザー行動をトラッキングするようなアプリは制作できない。それでも、プログラミングの知識なくアプリが作れるのは大変魅力的だ。今年の夏はKwikでアプリ開発者レビューを目指してみてはいかがだろう。
Kwikで制作可能なゲーム | Kwikで制作できないゲーム |
塗り絵などの知育ゲーム | ソーシャルゲームなどサーバー連携す るアプリ |
ジグソーパズル | ウェブアプリなどブラウザーから値を 取得するアプリ |
シルエットに図形を合わ せるパズル | クラウド上でスコア管理するアプリ |
リズム遊びゲーム | |
クイズゲーム | |
物理演算ゲーム |
より詳しい内容は、MacPeople9月号(7月29日発売)の第2特集「Photoshopで始めるiOSアプリ開発入門」でチェックしてみてください。本特集ではKwikを使ったアプリ開発の基本を網羅。オリジナルイラストを使った簡単なアニメーションの作成方法も伝授しちゃいますよ。
MacPeople9月号(7月29日発売)の特集はこのほかに、1.4GHzの低価格iMacレビュー&次期モデルスペック予測、夏のモバイル活用術、iTunes Match徹底解剖、アプリ開発者のアイデア発想術など盛りだくさんの内容。ぜひお手に取ってみてくださいね。
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