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サムスンの新SSD『850 PRO』が発表 その実力は?

2014年07月01日 09時01分更新

※2014年9月14日訂正:追加検証の結果、本記事の検証に不備があり、正しい性能が出ていないことが判明しました。関係者並びに読者の皆様にお詫びして訂正いたします。最新の検証結果を掲載いたしましたので、以下の記事をご覧下さい。
『Samsung SSD 850 PRO』発売開始 SATA SSDとしては最速クラス

 PC業界でサムスンといえば、現在コスパ最強クラスの良質なSSDを提供してくれるメーカー。エントリー向けの『840 EVO』は、同ランクの製品より安価で、特にトリプルコアのSSDコントローラーや、TLCのNANDフラッシュメモリーの使い方には一日の長があります。

『Samsung SSD 850 PRO』

Samsung SSD 850 PRO
↑『850 PRO』の外観。形状はおなじみ7mm厚の2.5インチドライブです。『840 PRO』と比較すると、表面のワンポイントカラーがオレンジからダークレッドに変わっていることが分かります。

●3D V-NAND技術を採用し容量と速度、耐久性を向上
 850 PROの新規要素は、NANDフラッシュに32層の“3D V-NAND”を採用したこと。昨年まではデータセンター向けの24層の3D V-NANDを市場に投下していましたが、コンシューマー向けとしては初の採用製品です。V-NANDの“V”はVertical、つまり“垂直”です。V-NANDでは同じ面積にセルをスタックして積むことで高速かつ大容量のSSDを実現できるとのこと。独自の高速化技術“RAPIDモード”にも対応しています。従来の2D型NANDに比べて耐久性も2倍以上。消費電力面でも、未使用時の消費電力を2mWに押さえるというDEVSLPモードに対応しています。

順次書き込み 毎秒550MB
順次読み込み 毎秒520MB(256GB/512GB/1TB)、毎秒470MB(128GB)
4KBランダム読み込み 1万IOPS
4KBランダム書き込み 3万6000IOPS
4KBランダム読み込み 10万IOPS
4KBランダム書き込み 9万IOPS

 

 第一印象は“インターフェースはM.2じゃない”ということ。M.2スロット搭載のマザーボードの割り合いとか、M.2だとメンテナンス性が悪くなるのでエンタープライズ用途のSSDには不向きといったことを考えれば、妥当な仕様といえます。ただし、SATAインターフェースということは、順次読み込み性能は500~550MBあたりで頭打ちにならざるを得ないため、ランダム読み書き性能や耐久性、消費電力、そして価格といった分野での進化に期待したいところです。

 今回の検証環境は以下のシステムで行ないました。『840 PRO』の256GBと同条件で対決させ、性能に変化があるかチェックします。なお、今回は両SSDともデータドライブとして運用しています。

CPU:Core i5-4670K(3.4GHz、最大3.8GHz)、マザーボード:ASRock『Z97 Extreme6』(Intel Z97)、メモリー:Crucial『BLT2K8G3D1608ET3LX0』(PC12800 DDR3L 8GB×2)、グラフィック:CPU内蔵、OS用SSD:インテル『SSDSC2CT240A4K5』(240GB)、電源ユニット:オウルテック『AU-850PRO』(850W、80PLUS GOLD)、OS:Windows8.1 Pro(64ビット)

850 PRO
↑『CrystalDiskInfo』で850 PROの情報をチェックしたところ。これで見る限りは特に変わった機能が付いているようではなさそうです。

 では『CrystalDiskMark』で840 PROと比較してみます。まずは1000MB×5のランダムデータでテストしました。850 PROは赤、840 PROは水色のウインドーで表示させています。

Samsung SSD 850 PRO
↑1000MB×5、ランダムデータの結果
Samsung SSD 850 PRO

 850 PROの順次読み込みは毎秒524.4MB、誤差程度の差ですが840 PROを上回っています。SATAコントローラーがボトルネックになっているので、これ以上の性能は期待できませんね。
 しかしQD32の4KBランダム読み込みの結果は、何度試しても低い結果が出ました。別のベンチでも検証しますが、試作機ならではの不具合と考えたほうがよさそうです。

 100MB×5と4000MB×5のデータも載せておきましょう。順次読み書きはおおむね840 PROと同等かわずかに上、ランダム書き込みは840 PROより6~7%速いということが分かります。

Samsung SSD 850 PRO
↑100MB×5、ランダムデータの結果
Samsung SSD 850 PRO
Samsung SSD 850 PRO
↑4000MB×5、ランダムデータの結果
Samsung SSD 850 PRO
Samsung SSD 850 PRO
↑1000MB×5、ゼロフィルデータの結果
Samsung SSD 850 PRO

 次に『AS SSD Benchmark』の最新版でもテストしました。圧縮率は関係ないことが分かったので、通常とファイルコピーのベンチ機能だけを使います。

Samsung SSD 850 PRO
↑AS SSD Benchmarkのテスト結果。赤が850 PROなのは上と同じ。
Samsung SSD 850 PRO

 このテストでは“4K-64Thrd”の読み込み性能が極端に悪い(毎秒1.26MB)と出ていますが、これは“QD64のランダム4KBの読み込み”を意味します。実際この4K-64Thrdのテストでは、テスト中にSSDがシステムから一瞬消える(IRSTで“切断された”という警告が出ます)不具合がみられました。
 CrystalDiskMarkの結果も考え合わせると、今回テストした個体もしくはファームウェアが不具合があるようです。しっかりした製品版が手にはいっったら、改めてチェックしたいところですね。

まとめ:SATAの壁は破れなかっただけに、付加機能が気になる
 テスト個体に不具合があったため、少々スッキリとしない感じでしたが、順次読み書き性能だけ注目すれば、前世代より悪くなった、ということはないようです。しかし所詮はSATA接続であるため、SATA SSDの速度の壁は破れませんでした。
 そうなるとサムスンが850 PROに読み書き性能どんな付加価値を付けているかが、850 PROを買うべきか否かのポイントになるでしょう。

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