週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

電子回路、ビリヤードにも革新を MSイノベーションアワード2014が決定

2014年06月04日 07時00分更新

 ソフトウェアによるイノベーションをキーワードに革新的なアイデア、プロダクトを表彰するアワード“Microsoft Innovation Award 2014”のファイナルプレゼンテーションと受賞式が5月30日に行なわれた。スタートアップを支援する“Microsoft Ventures”によるイベントで、5月29日、30日に行なわれたマクロソフトの開発者イベント“de:code”内での開催だった。

 審査委員長はマイクロソフト ディベロップメントの加治佐俊一代表取締役社長、進行はMicrosoft Ventures Tokyoの砂金信一郎代表で進められた。当日は6チームでの最終プレゼン後に、最優秀賞を決定。6チーム中5チームが特定のハードウェア連携するもので、スタートアップの波がIoT(Internet of Things)に向かっていると感じさせた。6チームどれもが優秀なプロダクトで将来性をあるものだった。

Microsoft Innovation Award 2014

 最優秀賞には、市販のインクジェットプリンターで電子回路の基板をプリントできる“AgIC”が受賞した。通常のインクの代わりに伝導性のインクを使用するというもの、3Dプリンターなどでものづくりは誰でも簡単にできるようになったが、依然として電子回路は難しく敷居が下がっていない。AgICを利用すれば試作機の電子回路作成が、より簡単にできるようになる。

Microsoft Innovation Award 2014

 そのほか教育にも力を入れていて、ベネッセとの共同開発で“伝導性ペン”を作成。これもプリンターと同じ仕組みで、伝導性のインクで紙に描くだけ、実際にプレゼンでも即席で電子回路を作成するデモを行なった。子供向けのワークショップや、今まで電子回路をやったことがない人にも、ものづくりができるようになる。加治佐氏も授賞理由に「IoTのすそ野を広げていく基盤になりそうな可能性を感じた」とあげ、期待を込めていた。

Microsoft Innovation Award 2014

 受賞式のプレゼンで一番、観客を盛り上げたプロダクトに送られるオーディエンス賞には、“OpenPool”が受賞。ビリヤード台にプロジェクションマッピングをするエンターテインメント色の強いプロダクトだ。ビリヤード台の上方にキネクトを、穴にはセンサーを設置、球の移動を感知、またビリヤードの球どうしがぶつかる音を感知して球や台に対してエフェクトを付ける。今年のサウスバイサウスウェストにも出展し話題になった。ビリヤード台で子供たちが球を転がしぶつけ合う様子が楽しそうで印象的だった。

Microsoft Innovation Award 2014

 受賞は逃したが、クルマのセンサーデータを集積、解析する“カートモクラウド”は新しいプラットフォームとして成長しそうなプロダクトに感じた。クルマの中は駆動系、環境系など大量のセンサーがあるものの、そのほとんどはブラックボックスになっていて車種によっても異なる。それをカートモはわかりやすいデータに変換、クルマのあらゆるデータをクラウドに上げて、PC、スマホから利用でき、クラウドと車を結び付けるというもの。

Microsoft Innovation Award 2014

 クルマのさまざまなセンサーデータは、たくさんの利用価値があるとし、現在、APIを公開してアイデアソンやハッカソンを開催している。行き先を決めずにその日に最適なドライブコースを決めるものや、メンテナンス情報を表示するものなど、アイデアは無数。現在、賞金100万円のカートモアプリコンテストも開催中だ。6月23日までエントリー募集を受け付けているので、クルマという今まで気軽に連携できなかった領域にチャレンジするのもおもしろいのではないだろうか。

Microsoft Innovation Award 2014

●最優秀賞
『AgIC』(AgIC)

●オーディエンス賞
『OpenPool』(ラボプロダクション)

●優秀賞
『mimi』(フェアリーデバイセズ)
『Kinect for Windowsによる手話認識』(みずほ情報総研/千葉大学)
『見守り OWL System』(コムツァイト)
『CarTomo』(カートモ)

■関連サイト
Microsoft Ventures

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります