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日本企業の活路は東南アジアにあり——Startup Asia Tokyo 2014基調講演

2014年09月03日 22時00分更新

 アジア最大級のスタートアップカンファレンス“Startup Asia Tokyo 2014”が2014年9月3日、4日に渋谷ヒカリエで開催。成功企業の講演からパネルディスカッション、投資家用のブースなどアジアを拠点とするスタートアップが集まっている。シンガポールなどアジア各地に拠点を持ち、スタートアップの情報を配信するサイト“TECH IN ASIA”が主催する。

Startup Asia Tokyo 2014

 3日のキーノートでは、米国の投資会社Fenox Venture Capitalのアニス・ウッザマン共同代表パートナー兼CEOが登壇し、“東南アジアはなぜ次なるホットな市場なのか?”と急成長する東南アジア市場に日本企業やスタートアップがどう参入していけばいいか、東南アジア市場の将来性や優位性と合わせて語られた。

 世界の輸出シェアでは日本は急激に下がり、好調だった家電も大手は横ばいとすでに多く語られていることではある。さらに日米の時価総額上位30社と創業時期を図式化したデータでは米国は新興企業がバランス良く誕生しているものの、日本は第2次世界大戦前後に集中している。最近ではソフトバンクや楽天と新しい企業は生まれているものの、米国ではマイクロソフトにグーグル、アップルと誕生している。日本では新しい企業、ブランドが生まれていない。どうすれば、日本から新しいトップ企業が生まれるのか。

Startup Asia Tokyo 2014

 そこで参入すべき大きな市場というのが東南アジア。ベンチャーキャピタルとして注目するのが、人口とインターネット成長率、東南アジアは人口が6.3億人、ネット人口は1.9億ユーザーを擁する大きな市場だ。日本の人口は1億2000万人、ネット人口は5000万人。東南アジア最大の国インドネシアの人口は2億6000万人、ネット人口は2016年に1億人に到達すると予測されている。

 またそのほかの巨大市場、中国、インド、米国と比較しても経済成長率が安定している。中国はネットに対してサービスの遮断など政治リスクが、インドはインフラの整備不足、米国はすでに競争が激しすぎる市場と東南アジアの優位性を示していた。

Startup Asia Tokyo 2014
Startup Asia Tokyo 2014

 では、その市場にどう進出すればいいのか。それはパートナーシップがキーになってくるという。ソフトバンクは現地の事業会社でベンチャーキャピタル“indosat”と50億円のファンドを作成。現地のスタートアップへ投資を行なっている。インドネシアはまだクレジットカードの普及率が低く、スマホサービスへの支払い方法が乏しい。そこでLINEは、PCゲームでクーポンを発行し課金を行なっている“KERON”と組み、クーポンでLINEコインを引き換えられる支払いプロセスを作成した。そのほかにもペイパル、テンセントも現地の企業と組んでビジネスを簡単にしようとしている。

Startup Asia Tokyo 2014
Startup Asia Tokyo 2014

 投資会社Fenoxも東南アジアへの進出に現地とのパートナーシップを組んでいる。まず、現地の60社のベンチャーキャピタルを調べて、最終的に3社とオフィシャルの契約を果たした。現地の情報を得るため、シンガポールのメディア“TECH IN ASIA”に投資。またインキュベーション施設を運営する“Joyful Frog Digital Incubator”と段階ごとにパートナーシップを組んでいき、2014年8月には地域最大の通信会社“Telkom Indonesia”と提携し、事業のを拡大を狙っている。

Startup Asia Tokyo 2014

 また多くの現地と提携し事業会社を設立した場合など、日本では現地に駐在員を送り要職に置くケースが多いが、現地出身者をしっかりと雇うことも重要。東南アジアの場合、母国語以外に英語が話せ、現地のコミュニティーにも溶け込んでいる。現地の優秀な人材に、権限を与えて展開するとうまくいきやすいという。東南アジアは進出へのハードルも低く、日本が行かなければならない無視できない地域だ、とセッションを締めた。

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