『b』の音楽ブランドをAppleが買収
以前から何度もウワサに上っていた、AppleによるBeats Electronicsの買収。Beats Electronicsと言えば「beats by dr.dre」のブランドで知られる、いま絶好調のオーディオメーカーです。「b」というロゴ入った同社のヘッドホン、最近ではよく見かけますよね。
しかも、Beatsの創始者の一人であるドクター・ドレー(Dr. Dre)が先日、「俺っち億万長者になっちゃったYo!」なんて自作ビデオをネットに流したりしたものだから、こりゃ確定だなと。恐らく正式発表はWWDCのキーノート(現地時間6月2日)だな、なんて思っていた矢先の、Appleからの正式リリース。キタコレ。でもなんでいま発表?
上は、ウェブメディアのBusiness Wireに掲載された写真。左から、Beats創始者のジミー・アイオビン、Appleのティム・クックCEO、ドクター・ドレー、Appleのエディ・キュー──の4名。
BeatsとAppleの幹部陣が並ぶ写真ですが、注目に値するのは右端のエディ・キュー(ソフトウェア担当上級副社長)。彼はiTunesの立ち上げをはじめ、最近ではiCloud、地図アプリ、Siriの開発を指揮してきたと言われる人物。Beatsの買収が単なるヘッドホンブランドの買収ではなく、むしろクラウドを含むソフトウェア面を重視したものであることがうかがえます。
Beats買収の裏にあるAppleの目論見とは
Beatsといえば、やはり真っ先に思いつくのは「b」印のヘッドホン/イヤホンでしょう。これまで、Appleが買収した企業のブランドを製品名として残したことはほとんどありません。しかし、これだけビッグネームのブランドを、買収したからといって単なるリンゴマークにしてしまうのはあまりにもったいない。
そう考えると、ハードウェアに関してはBeatsのブランドを残すかもしれません。直接のApple製品としてではなく、ハードウェア部門だけ分社化して「b」印のヘッドホン/イヤホンはそのまま維持されることも考えられます。
続いてコレ。実は、Appleがいちばん欲しかったのはこのパートかもしれません。Beatsは定額音楽配信サービスの「Beats Music」を抱えています。このサービスがユニークなのは、自分の状況に応じた選曲をしてくれる機能が付いている点。この機能がiTunes Radioに統合されれば、「音楽のパーソナライズ」機能がより強化されることになります。このあたりの機能の統廃合をエディ・キューが担当するのではないでしょうか。
そしてもうひとつ、ヘッドホン以外にも「BEATSSTUDIO」というプロジェクトで、Beatsはパソコンや車載オーディオの音響性能強化を計画しています。Macの内蔵スピーカーがさらに高音質になることもあり得ますし、車載オーディオといえば、自然と連想するのが「CarPlay」との連携です。
というわけで、Beatsの買収自体は想定通りではありますが、Appleの音楽ビジネスのテコ入れという意味では、相当に心強いパートナーシップであることは間違いありません。
ただ、あと数日でWWDCなのになんでいま発表? という疑問は残ります。先日のMacBook Airのアップデートといい、今回は事前発表多すぎです。WWDCではOS XとiOSの話に完全にフォーカスするつもりなのでしょうか? いずれにしろ、WWDCの基調講演は期待大です。ワクテカして待ちましょう。
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