こんばんは、MacPeopleの吉田でございます。1984年1月24日に初代Macintoshが誕生して2014年で30周年。MacPeople編集部では短期集中連載として、初代Macから最新のMac Proまでに盛り込まれたテクノロジーについてひも解いていきます。今回からはこれまで取り上げてこなかったノート型マシンを紹介します。
ノート型マシンとして18回目に紹介するのは、MacBook Airシリーズです。説明するまでもなくアップルのノートマシンで最も売れ筋のモデルですね。ここ数年、街中のカフェでMacBook Airを開き、どや顔でコーヒーを飲むというスタイルもすっかり定着しました。
実は、このAir。初代のころはそれほどのヒット作ではありませんでした。薄くて軽いデザインは素晴らしかったのですが、MacBook Proに比べてCPU/GPU性能が低いにもかかわらず、ハードウェア構成によっては本体価格は高価になるなど、一般ユーザーが食指を動かすほどの魅力はありませんでした。個人的には、度肝を抜くデザインながら商業的には失敗したPower Mac G4 Cubeのような存在になってしまうのかなぁと危惧していました。Cubeも、高くて性能がイマイチだったので。
しかし、アップルは私の予想を見事に超えてくれました。性能はそこそこで低価格という路線に方針転換したことで、爆発的なヒットにつながったといえます。しかもカスタマイズ次第では、メインのノートマシンとして使えるポテンシャルも備えていました。これにより、Airはローエンドからミッドレンジを幅広くカバーするノートマシンとなり、現在に至っています。
MacBook Airシリーズ
(Original/Late 2008/Mid 2009/Late 2010/Mid 2011/Mid 2012/Mid 2013)
MacBook Airは、2008年1月に発表された。最初はMacBookとしてはやや変則的なモデルに見えたが、実はほかの一般的なモデルに比べて数多くの先進的な特徴を備えていたことは、あとから少しずつに認識されることになった。
初代MacBook Air。大ヒットとはならなかったが、その薄さは驚愕だった |
現行デザインのMacBook Air。現在では、ThunderboltとUSB 3.0を搭載するなど拡張性も十分でその人気を不動のものとした |
機能、操作性を犠牲にせずに小型軽量化
MacBook Airの「Air」は、空気のように軽いという意味に加えて、「無線」であることも意味している。つまり、小型軽量のボディーを採用し、インターフェースポート類を可能な限り省きながら、必要なコネクティビティーは無線通信によって確保するというものだ。無線通信機能としては、従来のMacBookが備えていたAirMac Extremeや、強化されたBluetooth、さらに初代モデルでは専用の赤外線リモコン「Apple Remote」を使って、OS X付属のアプリ「Front Row」などを操作できる赤外線センサーも備えていた。さらに本体の消費電力をできるだけ少なくすることでバッテリーによる駆動時間を延ばし、電源アダプターを接続しなくても長時間使えるという意味も「無線」の中には込められていたはずだ。
初代のAirには13.3インチの液晶モニターを内蔵するモデルのみが用意されていた。当初の解像度は、当時のMacBookの13インチモデルと同じで1280×800ドット。GPUは米インテル社のチップセット内蔵の「Intel GMA X3100」だった。その後のモデルでは米エヌビディア社製のGeForce 9400Mや同320Mといったチップセット内蔵GPUを採用する。そして、2011年6月に発売されたモデルからは、再び「Intel HD Graphics」シリーズに戻っている。
MacBook Airに11インチモデルが追加されたのは、歴史としてはかなり後のことで、2010年10月発売のモデルからだった。その間に、CPUなどのアップデートを2世代を挟んでいる。この11.6インチの液晶パネルの解像度は1366×768ドットで、横方向は初代の13インチモデルをしのいでいる。ただし、縦横比が16対9となったため、縦方向の解像度は768ドットと少なめだ。一方、同時に登場した新13インチモデルの液晶パネルは、物理的なサイズは同じでも、解像度は1440×900ドットに拡張された。縦横比は従来と同じ16対10だ。この解像度は、当時のMacBook Proの15インチモデルと同じで、サイズのわりに表示可能な情報量は多かった。
Airではキーボードにも妥協せず、11インチモデルであってもピッチは標準の19mmを維持していた。まだ独立したボタンは備えていたものの、トラックパッドはマルチタッチに対応していて、スワイプ/ピンチ/回転といったジェスチャーによる操作に対応していた。
初代MacBook Airのポートはカバーに覆われており、その中にUSB 2.0とMicro-DVI、ヘッドホンの各ポートが備わっていた。Thunderbolt登場以前ということもあり、拡張性は非常に低かった |
現行デザインのMacBook Airは、正面に向かって右側面に、Thunderbolt、USB 3.0の各ポートを備える。13インチモデルでは、写真のようにSDXCカードスロットも用意されており拡張性は十分 |
省くための高機能、高性能化
Airを小型、軽量化するには、それまでは必要、あるいは不可欠と思われていた装備をいかにして省くかに注力して開発されていたはずだ。当時最も目立ったのは、光学式ドライブをすっぱりと削除したことだった。そのころは、まだOSはDVD-RO Mで供給されており、新しくOSをインストールするには、なんらかの外付けのドライブが必要だったので、オプションでUSB接続のドライブは用意されていた。しかしアップルは、独立した外付けドライブがなくても、ほかのMacの光学式ドライブをネットワーク経由でAirから利用可能にする「リモートディスク」機能を開発した。
これは現在ではすべてのMacで利用可能になっている「CDまたはDVD共有」機能に通じるものだ。このリモート機能は、OS自体をインストールする際には使えない。そこでアップルは、OSをUSBメモリーとしても供給したほか、ネットワーク経由でアップルのサーバーから直接インストールできるようにした。これは「復旧ディスク」という特別なパーティションを起動ディスク内に設け、そこから最小限のOSを起動してディスクを準備したり、ネットワークからインストーラーをダウンロードしたりする機能だ。
初代MacBook Airの側面。エッジ部分を極薄にしたくさび形のでデザインを採用した |
現行のMacBook Airの側面。このデザインがすでに4年以上使い続けられている |
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さて、好評発売中のMacPeople 4月号では、Macintosh30周年特集第2弾として、Macintosh PortableやPowerBookなど歴代ノート型Macをたっぷり紹介しています。そのほか、2014年知っておきたい最新テクノロジー解説、Googleサービス使いこなし術、MacやiPhone/iOSのトラブル解決技など、じっくり楽しんでいただけること間違いなしです。
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また、MacPeople 3月号では、Macintosh 30周年を記念した特集記事を組んでいます。初代Macintoshのさまざな写真はもちろん、SE、SE/30、Color ClassicなどのコンパクトMac、Macintosh IIやIIci、IIsi、IIfx、LC475などのセパレート型Macの驚愕のテクノロジーをひも解いていきます。もちろん、68K MacだけでなくPowerPC搭載のiMacやPower Mac、インテルCPU搭載マシンを含む一体型、デスクトップ型すべてです。そして第2特集では、最新のMac Proを詳しく紹介。この2つの特集記事だけで80ページ以上ありますよ!
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