こんばんは、MacPeopleの吉田でございます。1984年1月24日に初代Macintoshが誕生して2014年で30周年。MacPeople編集部では短期集中連載として、初代Macから最新のMac Proまでに盛り込まれたテクノロジーについてひも解いていきます。今回からはこれまで取り上げてこなかったノート型マシンを紹介します。
ノート型マシンとして15回目に紹介するのは、アルミニウムのPowerBook G4です。PowerBookにPowerPC G5を搭載することができず、PowerPC G4のクロック周波数の向上も小刻みになっていたころに登場しました。前モデルのPowerBook G4チタニウムの直線的なデザインを継承しつつも、液晶パネルの背面は四辺がカーブを描く柔らかなイメージとなりました。
現在、13インチモデルのMacBook ProやMacBook Pro Retinaは、Proという名称を与えられていますが、GPUはCPU内蔵です。MacBook以降のマシンは、Proとノーマルの境界があいまいになっていますが、PowerBook G4の12インチモデルは独立GPUも内蔵した正真正銘のProモデルでした。
PowerBook G4 Aluminiumシリーズ
(12-inch/17-inch/12-inch DVI/15-inch FW800/17-inch 1.33GHz/12-inch 1.33GHz/15-inch 1.5/1.33GHz/17-inch 1.5GHz/12-inch 1.5GHz/15-inch 1.67/1.5GHz/17-inch 1.67GHz/Double Layer Super Drive)
iBookの登場によって、PowerBookは低価格モデルを考慮せず、ハイエンド側に注力できるようになった。その結果として現れたのが、3種類のモニターサイズを備えるアルミニウム製のPowerBookだった。これが15年近く続いたPowerBookシリーズの最後のモデルとなる。
12インチのPowerBook G4。独立GPUを搭載したハイパフォーマンスモデルだったが、初期モデルはパームレストがかなり高温になるという問題があった |
外装の材質とデザインを変更した新世代G4
PowerBook G4は、CPUはPowerPC G4のまま、新たにアルミニウム製のボディーを採用して生まれ変わった。2003年の1月に登場したこの新しいG4には、12.1インチと17インチの液晶モニターを内蔵した2タイプがあった。実はこの時点では、チタニウム製のPowerBook G4も現行モデルとして生き残っていた。それも合わせてPowerBookは3種類のモニターサイズを揃えたラインアップとなった。過去にもモニターサイズのバリエーションを持ったPowerBookはあったが、それらは本体の大きさは同じで、液晶パネル周辺のベゼルの幅を変えることで、大きなボディーに小さなモニターをはめ込んでいた。
今回の3種類のバリエーションは、それとは違って、ボディーサイズごとまったく異なるものだった。キーボードのサイズはすべて共通で、19mmの標準的なピッチを維持していた。12インチでも17インチでも、文字入力の操作性はまったく変わるところがなかったのだ。17インチモデルでは、キーボード両脇に細かい穴を開け、スピーカーのグリルとして機能させていた。これは現在の15インチMacBook Proにも受け継がれている配置と構成だ。初代アルミニウム製PowerBookが搭載するCPUは、12インチモデルが867MHz、17インチモデルが1GHzで動作するPowerPC G4で、この点ではチタニウム製PowerBookから進化していなかった。
一方、GPUには大きな変更が加えられていた。それは単にGPUのグレードや世代の更新に留まらず、GPUのメーカーそのものを、それまでの加ATIテクノロジーズ社製から米エヌビディア社製に変更したのだ。12インチモデルでは「GeForce 4 Go 420」、17インチモデルは「GeForce 4 Go 440」を採用。独立したビデオメモリーとして、それぞれ32/64MBを装備していた。
17インチモデルの液晶面に向かって左側面。電源/イーサネット/USB/音声入出力の各ポートとPCカードスロットを備える |
チタニウムボディーの15インチとアルミニウムボディーの17インチモデルを重ねたところ |
15インチモデルも遅れて登場
アルミニウム製PowerBookは、2003年9月には、さっそく最初のアップデートを果たした。その際には、先行していた12/17インチの両モデルに加えて、15インチモデルもラインアップに加わった。当然ながら、これを機に同じモニターサイズ、解像度のチタニウム製PowerBookは現役を退いた。この結果、3種類のモニターサイズのPowerBookが、基本的に同じボディーデザイン、構造を持ったモデルとして揃うことになった。
各サイズのモニターの解像度は当然ながら、縦横比もまったく異なっていた。12インチモデルはiBook同様の1024×768ドットで、縦横比は昔ながらの4対3だった。15インチはチタニウム製G4と同じ1280×854ドットでほぼ3対2、17インチは1440×900ドットで16対10だった。なお、15/17インチモデルのモニターの解像度は、2005年10月に登場した最終モデルでは、1440×960ドットと1680×1050ドットに拡張された。
最後までモニター仕様が進化しなかった12インチモデルは、ほかの面でも何かと異端児的な扱いを受けていた。例えて言うなら「豪華な外装の軽自動車」的な存在だ。さらに15/17インチモデルがFireWire 400に加えて同800も備えていたのに対し、12インチモデルは最後まで同400のみの搭載だった。なお、高解像度のモニターを装備した17インチモデルは、屋外への持ち運びには不便だったが、デスクトップマシンの代わりに導入するユーザーも多かった。
後期PowerBook G4の本命である15インチモデルは、意外にも12/17インチに遅れてリリースされた |
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さて、好評発売中のMacPeople 4月号では、Macintosh30周年特集第2弾として、Macintosh PortableやPowerBookなど歴代ノート型Macをたっぷり紹介しています。そのほか、2014年知っておきたい最新テクノロジー解説、Googleサービス使いこなし術、MacやiPhone/iOSのトラブル解決技など、じっくり楽しんでいただけること間違いなしです。
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また、MacPeople 3月号では、Macintosh 30周年を記念した特集記事を組んでいます。初代Macintoshのさまざな写真はもちろん、SE、SE/30、Color ClassicなどのコンパクトMac、Macintosh IIやIIci、IIsi、IIfx、LC475などのセパレート型Macの驚愕のテクノロジーをひも解いていきます。もちろん、68K MacだけでなくPowerPC搭載のiMacやPower Mac、インテルCPU搭載マシンを含む一体型、デスクトップ型すべてです。そして第2特集では、最新のMac Proを詳しく紹介。この2つの特集記事だけで80ページ以上ありますよ!
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