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確定申告の季節!OS X Mavericksで電子申告のe-Taxにチャレンジ|Mac

2014年03月07日 19時30分更新

 フリーランスの人々にとってはボーナスとも言える、「確定申告」の時期が今年もやってきました! レシートを地道にまとめる作業が必要ですが、支払いすぎた税金が戻ってくる「還付金」を考えればここが頑張りどころ。まあ、すぐに2014年ぶんの市県民税で取られちゃうんですが……。

 この確定申告、よほど几帳面な人以外は総じて「面倒」なはず。特に3月中旬の〆切間際の税務署の混み具合なんて、思い出すだけで憂鬱になりますよね。

 でも、世の中には「電子申告」なんて便利なシステムがあります。正式名称は「国税電子申告・納税システム」、略称は「e-Tax」。ひとことで言えば、インターネットを介して確定申告の書類を提出できるというもの。実物の提出が義務づけられている書類は、あとから郵送でOKです。

 ただし、最新のOS X 10.9 Mavericksでの確定申告/電子申告はまだ「非対応」。「もう10.9にアップデートしちゃったよ……」という人のために、今回は10.9で電子申告するための環境構築方法をご紹介します。

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国税庁のウェブサイトを見ると対応OSはOS X 10.8まで。それでもひと昔前に比べれば、Macが無視されないだけマシ。去年も一昨年も推奨環境になくてもちゃんと使えました

電子申告に必要なもの

 電子申告に必要なのはこの3つです。

(1)e-Taxが使えるパソコン
(2)住民基本台帳カード
(3)ICカードリーダー

(1)e-Taxが使えるパソコン
 e-TaxのMacでの推奨環境は、3月上旬現在でOS X 10.6~10.8、Safari 5.1~6.0、Adobe Reader X~XI。最新のOS X 10.9 Mavericksは含まれていません。そもそも国税庁の「確定申告書等作成コーナー」自体もまだ非対応。

 ここからは自己責任になってしまいますが、これまでのOSのアップデート時も非対応でも使えたので、とりあえずチャレンジしてみました。

Macの推奨環境
OSの
バージョン
ウェブ
ブラウザー
PDF閲覧ソフト 使用可能な電子証明書
Java VMのバージョン
10.6 Safari 5.1
(32ビット)
Adobe Reader
X/XI
公的個人認証サービスに
基づく電子証明書
Java for Mac OS X 10.6
10.7 Safari 6.0
(64ビット)
Adobe Reader
X/XI
公的個人認証サービスに
基づく電子証明書
Oracle Java 7
10.8 Safari 6.0
(64ビット)
Adobe Reader
X/XI
公的個人認証サービスに
基づく電子証明書
Oracle Java 7


(2)住民基本台帳カード
 住民基本台帳カードは、運転免許証やパスポートなど公的機関が身分を証明するものがあれば、役所で申請するだけですぐに作れます。筆者の自治体では、発行手数料が1000円、でき上がるまで30分程度でした。このカードのICチップにe-Taxに必要な電子証明書が組み込まれています。

 いわば、どこの誰かを国が正式に認めるためのカードですね。利用にあたっては、後述するICカードリーダーを使って物理的にカードを読み取る必要があります。

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 注意したいのが、電子証明書の有効期間が3年というところ。3年経ったら更新手続きが必要なんです。まだまだ先と思うなかれ、3年後の申告時に「期限が切れてた!」なんてことのないように、申告前には必ず更新しましょう。後述するICカードリーダーで、有効期限も確認可能です。

(3)ICカードリーダー
 カードリーダーは、NTTコミュニケーションズ(株)やソニー(株)などから発売されています。「Mac対応」と書かれているものならば利用可能です。ただし、まだほとんどがOS X 10.9非対応。

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接触型のICカードリーダー「SCR3310-NTTCom」。販売されている製品の中では安価な部類です。ドライバーも無料配布されており、10.8までは対応済み

 今回の検証には、手元にあった接触型カードリーダーの「SCR3310-NTTCom」を使いました。対応OSはOS X 10.8までとなっていますが、ドライバーをインストールしてみたところ、OS X 10.9でも認識しました。ドライバーのバージョンは10.8用の「Ver.5.0.26」です。あくまでも自己責任ですが。

SCR3310-NTTCom
価格:2000円前後
開発元:NTTコミュニケーションズ(株)(外部サイト

 いよいよ、OS X 10.9で電子申告するために必要なソフトウェアなどを整えていきます。

Mavericksに足りないソフトウェアは3つ

 OS X 10.9 Mavericksでの電子申告で引っかかるのは、前述したICカードリーダーの利用に関して。カードリーダーを使うためのアプリとICカードを読み込む仕組みが10.9には標準で備わっていないので、セットアップが必要です。具体的には、

(1)Java実行環境の「Java 7」
(2)ICカードを読み込むための「Smart Card Services」
(3)公的個人認証サービスアプリ「JPKI利用者ソフト」

を準備します。

(1)Java実行環境の「Java 7」
 JavaはMavericksには標準ではインストールされていません。ただし、米オラクル社のサイト(外部サイト)にMavericks用の実行環境がしっかり用意されているので、インストーラーに従うだけでOKです。なお、環境によってはe-Tax関連のアプリがJavaのセキュリティーに引っかかって動作しないこともあるようです。その場合は、「システム環境設定」の「Java」で、セキュリティー設定を変更しておきましょう。

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Javaの実行環境は米オラクル社のサイトから無料でダウンロード可能です。今回は最新版の「Java Version 7 Update 51」で検証しました
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インストールが終わると「システム環境設定」に「Java」が追加されます。アプリの動作に支障があるときは、「セキュリティ」の項目の優先度を「中」に切り替えてみてください

(2)ICカードを読み込むための「Smart Card Services」
 実はOS X 10.6までは標準でサポートしていたのですが、10.7以降はプリインストールされなくなってしまいました。でもAppleも関わっている「Mac OS Forge」というサイトでちゃんと公開されています(外部サイト)。もちろん、OS X 10.9 Mavericksにも対応済み。これをインストールするだけです。

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バックグラウンドで動作する「Smart Card Services」。インストールすることでICカードが読み込めるようになります

(3)公的個人認証サービスアプリ「JPKI利用者ソフト」
 続いて、ICカードリーダーで個人認証データを読み出すための「公的個人認証サービス」アプリをインストールします。こちらは「公的個人認証サービス」というウェブサイト(外部サイト)に用意されています。ダウンローダーでインストールすると、「ユーティリティ」フォルダーの「公的個人認証サービス」フォルダーに、4つのアプリが作られるはずです。ふう……。

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「公的個人認証サービス」アプリは、「利用者クライアントソフト」という名前で無料で公開されています。執筆時点では「Ver 2.3」です
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「ユーティリティ」フォルダーの「公的個人認証サービス」フォルダーに、4つのアプリがインストールされます

 先に「Java実行環境への登録」というアプリを一度起動してJavaに関係づけてから、「JPKI利用者ソフト」を起動。やっとアプリっぽい画面が出てきました(笑)。

 ここで、ICカードリーダーと住基カードをMacに接続して、「動作確認」ボタンでカードリーダーの動作をチェック。エラーメッセージが出たら、これまでの操作に間違いがないか確認しましょう。エラーがなければ、「自分の証明書」ボタンで役所で登録した自分の情報が閲覧できるはずです。

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「動作確認」では、ICカードリーダーの動作をチェックできます
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 なお、ICカードリーダーと住基カードは、動作確認が終わったらすぐに外しておくこと。ウェブなどにアクセスする際にICカード情報を読み取ろうとしてパスワードが要求される場合があります。筆者はこの意味がわからず、キーチェーンに何度パスワードを入れても先へ進まないのでおかしいなぁと思っていたら、なんとICカードのパスワードが5回間違ったとのことでカードがロック。この場合、役所に行ってロック解除&パスワード初期化申請をしなければなりませんので……。とほほ……。

 あとは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にGO!

最後の関門、ルート証明書の登録作業

 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(外部サイト)から申告書や収支内訳書を作成して送るだけ……。と思ったらまだインストールするものがありました。まあ、ここから先は10.9かどうかにかかわらず必要な作業ですので……。

 「確定申告書等作成コーナー」で「e-Tax」を選ぶと、次の画面に「ルート証明書のダウンロード」というボタンが用意されています。これをダウンロードして「キーチェーン」に読み込み。これがホントに最後です。

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「ルート証明書」は「確定申告書等作成コーナー」のサイトで「e-Tax」を選んだ先にあります
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証明書は4つありますが、すべて「キーチェーンアクセス」でファイルを読み込み「常に信頼」に設定しておきましょう

 最後に、e-Taxで電子申告するための利用者登録が必要です。個人情報を登録して、利用者識別番号をもらいます。

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敷居は高いけれど、楽しめる人なら……

 というわけで、OS X 10.9でのe-Taxは予想以上に苦難の連続でした。最近は、なんとなくダブルクリックのインストールでなんでもできてしまうようになったMacですが、やっぱり非対応のこういう分野を見かけると「またMacだからって非対応かよ! こうなりゃやったろうやないか!」的な気合いが出てくるのは、生まれながらのマカーだからでしょうか。

 2013年ぶんの確定申告の〆切は土日をはさんだ3月17日(月)。電子申告なら3週間程度と処理も早く、還付金が出てくる時間も短縮できます。

 さあて、じゃあそろそろ確定申告書のまとめに取りかかりますか……。え? まだ申告終わってないのかって? だってまだ1週間もありますし、提出は電子申告でパパーっとできちゃいますから!

●関連サイト
・【e‐Tax】国税電子申告・納税システム(外部サイト

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