メモリーが「不揮発性」になる可能性
現行のパソコンやスマホ、タブレットは、大ざっぱにいって3種類のデータ記憶装置を搭載しています。キャッシュ/メインメモリー/ストレージの3種類です(下図)。
キャッシュはCPUに直結され、最も高速に動作しますが容量が小さい。ストレージはハードディスクやSSDといった大型の記憶装置のことで、容量が大きい代わりにデータの読み書きは非常に遅いという特徴があります。そして、CPUとストレージの中間にあり、CPUが処理に使うデータをストレージからあらかじめ読み込んでおき、CPUに渡す役目をするのがメインメモリーです。単にメモリーとも呼ばれます。
キャッシュやメインメモリーは、回路に電源が入っている状態でしかデータを保持できません。この性質を「揮発性」と呼びます。一方、SSDやハードディスクのように、電源を切ってもデータを記憶し続けられる性質を「不揮発性」と呼びます。
これまで、メインメモリーは揮発性なのが当たり前でしたが、実は現在、不揮発性メモリーの開発が進んでいるのです。それが「ReRAM」「PCM」「STT-RAM」といった、「次世代不揮発性メモリー」と呼ばれる規格です(上図)。
いずれも、現在メインメモリーとして使われているDRAMには劣る部分があり、実用化にはもう少し時間がかかりそうです。しかし、もしこれら次世代不揮発性メモリーがDRAMに取って代わることになれば、もはやメインメモリーとストレージの境界はなくなります(上図)。
つまり、これまでストレージデバイスが果たしていた役割をメインメモリーが担えるようになるわけです。これが実現すれば、起動プロセスの時間が大幅に短縮され、パソコンやスマートデバイスの電源を入れたら一瞬で作業可能な状態になります。
また、バッテリー持続時間のさらなる延長や、機器の小型化といったメリットも期待できそうです。そんな時代が、10年以内にやって来るかもしれません。楽しみですね。
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さて、現在発売中のMacPeopleの4月号では、Macintosh30周年特集第2弾として、Macintosh PortableやPowerBookなど、歴代ノート型Macをたっぷり紹介しています。第2特集では、本記事で取り上げたメインメモリーのほか、ThunderboltインターフェースやSSDといった各種ハードウェアの最新テクノロジーを20ページにわたって解説。そのほかにも、Googleサービス使いこなし術、MacやiPhone/iOSのトラブル解決技など、じっくり楽しめる特集をラインアップしています。
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また、好評発売中の3月号では、Macintosh 30周年記念の第1弾として、初代Macintoshから始まる各種デスクトップ型Macの歴史を紐解いていきます。もちろん、68K MacだけでなくPowerPC搭載のiMacやPower Mac、インテルCPU搭載マシンを含む一体型、デスクトップ型すべてです。そして第2特集では、最新のMac Proを詳しく紹介。この2つの特集記事だけで80ページ以上もありますよ! 4月号と併せて、保存版として持っておきたい1冊です。
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