週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ノキアらしさの詰まったWindowsタブレット『Lumia 2520』レビュー

2014年02月18日 19時00分更新

 Windows Phoneでじわじわとシェアを回復させつつあるノキアですが、2014年中にもマイクロソフトに携帯電話部門が買収される予定です。それでもノキアはこの冬に新製品を精力的に投入しています。今回はノキアとして初のWindows RTタブレット、Lumia 2520をご紹介しましょう。

Lumia 2520

↑欧米で販売が始まっているLumia 2520。

 Lumia 2520はOSにWindows RT 8.1を搭載したタブレットです。2013年12月にアメリカで発売が始まり、現在はヨーロッパでも購入が可能になっています。今回入手したのはアメリカのAT&T品。パッケージもAT&Tの他の製品と同じ、オレンジ色を基調としたカラーとなっています。この写真は実は裏側で、表側にはAT&Tのロゴしかないのはちょっと残念。Verizon版などは製品の写真を正面にどーんと掲示しているのですけどね。

Lumia 2520

↑10インチとしては標準的なサイズ。

 Lumia 2520の本体サイズは168x267x8.9mm。重量は約615g。10インチサイズのタブレットとしては標準的な大きさでしょうか。iPad Airと比べると重量感がありますがiPad 2とほぼ同等ですね。

Lumia 2520

↑あっさりとした背面の仕上げ。

 背面はマットな表面仕上げ。NFCを内蔵していますが場所がわかりにくいため、タッチする位置にステッカーが張られていますが不要であればはがしてしまってよいでしょう。また下部にもLTEモデムのIMEI番号が記載されたステッカーが貼られています。カメラは上の隅に小さく目立たぬように配置されています。ツアイスのロゴがいいアクセントになっています。

Lumia 2520

↑現在のカラバリは赤と黒、他の色はまだ出てこない。

 Lumiaシリーズと言えば黄色や青などのカラフルなカラバリが特徴ですが、Lumia 2520は現時点で販売されているのは赤と黒の2色のみ。このうち2色を販売しているのはヨーロッパ。それに対しアメリカではVerizon版が赤のみの販売。このVerizon版はSIMロックは無いのですがVerizonのLTEのみに対応ということで実質的なSIMロックと言えます。一方今回購入したAT&T版はSIMロックモデルですが、AT&TのLTE B4/B7以外にW-CDMAやGSMを搭載。いつかロックが解除できることを考えこちらを購入したのですが、ボディーは黒のみ。華やかな赤いモデルがほしかったのですが泣く泣く断念しました。なお3G/4G機能を使わなければWiFi接続のタブレットとして使うことももちろん可能です。

Lumia 2520

↑本体左右に最小限のインターフェース。

 外部端子類は本体の右側下に電源コネクタ、右上にヘッドフォンジャック、左側にはマイクロHDMIとマイクロUSB3.0(2.0互換)が並びます。

Lumia 2520

↑ACアダプタは専用品。

 充電がマイクロUSBで行えないのがLumia 2520のちょっと残念なポイント。ACアダプタのコネクタは独自のもので過去のノキア製品とも互換はありません。出力は20V、1.5Aということで容量を稼ぐために専用タイプになったと思われます。

Lumia 2520

↑キーボードケースのコネクタも備える。

 本体の上部右上には電源ボタンとボリュームボタン。そして本体下にはキーボードケース用の34品のコネクタを備えます。マイクロソフトのSurfaceシリーズにもこの類のケースは用意されていますが、ピンの数そして本体形状も異なるため流用はできません。

Lumia 2520

↑マイクロSIMトレイは左上に。

 3G/4G機能搭載のLumia 2520、SIMのサイズはマイクロSIMで、カードトレイは本体左上に備わっています。抜き差しはピンを押し込む方式なのは最近のスマートフォンと同等の構造です。なおAT&T品は最初からSIMが入っており、このままオンラインで契約すればすぐにデータ通信も可能になっています。もちろんプリペイド契約も可能です(但しいずれもアメリカ国内のみ)。

Lumia 2520

↑OSはサクッと日本語化。

 電源投入後、セットアップを進めマイクロソフトアカウントの入力などを行えば、すぐに使い始めることが可能です。OSは後から日本語を追加できるので、海外版であってもこのように日本語OSとして利用可能です。

Lumia 2520

↑縦持ちも悪くない。

 片手で持つならば縦向きに持つのがお勧めです。正方形に近い形状のiPadと比べ、Lumia 2520は横に長いので横方向で持つときは両手保持や机の上に置いたほうがよさそう。縦向きならば片手でも楽に持つことができます。

Lumia 2520

↑ソフトキーボードも十分なサイズ。

 今回は外付けのキーボードケースがまだ発売されていなかったため、文字入力はすべてソフトキーボードで行ってみましたが、それぞれのキーのサイズも十分あり押しやすい印象を受けました。このまま膝の上に置いて原稿を書くことも十分可能でしょう。

Lumia 2520

↑週アス本誌より一回り小さいサイズ。

 最近は8インチタブレットの新製品が続々と発売になり、タブレットのメインストリームは8インチになりつつあります。その中で10インチのLumia 2520はサイズが大きいのでは?と思われるかもしれません。でも雑誌と比較すると一回りスリムで小さく、カバンにも十分入れることができる大きさなのです。

Lumia 2520

↑Lumia 2520のアプリ。

 アプリはWindows RT 8.1標準のものに加え、ノキアオリジナルのアプリ『Nokia Camera』、『Nokia MixRadio』、『Nokia Storyteller』、『Nokia Video Director』がプリインストールされています。なおこのスクリーンショットは初期状態に加え、後からアプリを数本筆者のほうで追加した状態になっています(gMapsなど)。

Lumia 2520

↑ノキアのアプリも使いやすい。

 Nokia Storytellerはオリジナルのアルバムなどを作成できますし、Nokia Video Directorはビデオを簡単に編集、シェアが可能。他社のWindows/Windows RTタブレットと差別化するために、ノキアとしてもオリジナルのアプリはかなり力を入れて作ったようです。

Lumia 2520

↑ノキアのラインナップの最上位モデル。

 さて最近のWindows系のタブレットはWindows RTではなくWindowsを搭載するものが増えています。Windows RTではWindowsアプリが利用できないなどの制限もありますが、このLumia 2520は「ノキアのWindows Phoneラインナップの最上位に位置する製品」と考えると、Windows RTの採用も納得できるような気もします。すなわちLumia 2520はWindows製品ではなく“ノキアの製品”なのですね。Windowsタブレットの入門機という位置づけも目指しているかもしれません。もっともそのためにはより低価格な製品の投入が望まれます。

Lumia 2520

↑やっぱり便利な3G/4G内蔵。

Lumia 2520

↑モバイルルーターにも早変わり。

 Lumia 2520らしさの一つが3G/4G機能の搭載です。他社のタブレットではこの通信機能はオプション扱いのケースもありますが、Lumiaの名前のついているLumia 2520はWindows PhoneのLumiaシリーズ同様、3G/4G機能を標準搭載しています。日本だけではなく世界各国でデータ料金の安いMVNOが登場していますし、マイクロソフト買収後も3G/4G機能内蔵のWindows/Windows RTタブレットはぜひ出し続けてほしいものです。

Lumia 2520

↑やはり8インチモデルもぜひ欲しい。

 ノキアらしいWindows RTタブレットともいえるLumia 2520。使い勝手は悪くないのですが、やはり10インチは毎日持ち歩くにはやや大きいところ。ここはぜひ8インチの製品も投入してもらいたいですね。果たしてLumia 2520がノキア最後のタブレットとなるのか、あるいは8インチモデルも出してくるのか、マイクロソフトに買収されるまでのタイムリミットが迫っているだけにその動向が気になるところです。

Lumia 2520

↑オマケ:ノキアはネットブックも出していた。

 実はLumia 2520はノキア最初のWindows製品ではありません。2009年にWindows 7 Starter搭載のネットブック『Nokia Booklet 3G』を発売しています。ネットブックながらも金属調の表面仕上げなど高級感のある意欲的な製品で、もちろん3G機能も搭載。ですが市場への参入が遅れたことや3G搭載で価格が高かったことなどもあり販売は低調だったようです。これに対してLumia 2520は同じノキアのWindows製品ながら、カラフルなボディーやオリジナルアプリの搭載などで他社との差別化が十分できています。複数の製品バリエーションを投入するなどして販売数をぜひ伸ばしてほしいものです。

山根康宏さんのオフィシャルサイト
香港携帯情報局

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります