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「超」整理手帳と4×6インチ粘着思考法 by遠藤諭

2014年01月31日 16時30分更新

 週刊アスキー本誌では、角川アスキー総合研究所・遠藤諭による『神は雲の中にあられる』が好評連載中です。この連載の中で、とくに週アスPLUSの読者の皆様にご覧いただきたい記事を不定期に転載いたします。

神は雲の中にあられる

 もともと“京大式カード”みたいなライフハックなものは信用していなかった。ああいうのは発想力のない奴のやることだと思っていたのだが……。

「超」整理手帳と4×6インチ粘着思考法

 いまから20年近く前に「超」整理手帳というのを企画した。当時、ベストセラーになっていた経済学者の野口悠紀雄さんの『「超」整理法』(中公新書)を読んでいたら、スケジュール管理についてはまだいい方法がないと書いている。そこで、国立の一橋大学にある研究室を訪ねたのだった。「超」整理法が、『新 物理の散歩道』(ロゲルギスト著、ちくま学芸文庫)に出てくる“焼畑方式の図書館”にヒントを得たものなら、「超」整理手帳は、旧国鉄の駅職員が使っていたジャバラ式時刻表の話からはじまったと思う。

 ということで、この季節、手帳をどうしようかと迷っている人もいると思う。本誌の読者なら「紙に手書きなんてやらないよ」という人も多いかもしれないが、文具業界の人に聞くと、手帳やノートの販売は堅調に推移している。私も、Googleカレンダー+Dropbox+Evernoteナシな生活は考えられなくなっているが、まじめに原稿を書くときは“紙に手書き”からはじめる。この業界的には「ウソでしょ?」と言われそうだけど、本当だからしかたがないですよね。

 お手本にしたのは、米国の有名シェフにして料理ライターのアンソニーボーデイン氏である。私は、彼のいかにも料理人的なサービス精神としばしば苦みもある一人称批評文体が好きなのだ。そのアンソニーが、あるときディスカバリーチャンネルの番組の中で原稿を書いていて、ハガキ大のカードをベッドの上に並べながら原稿を書いた。真似してみるとこれが具合がいいのだ。

「超」整理手帳と4×6インチ粘着思考法

 私の場合は、昔から4×6インチの“ポスト・イット”を愛用していているのだが、こいつをノートとして使う。相性がいいのは寝ながらでも使える三菱鉛筆のパワータンク(加圧ボールペン)。これに、頭のはしにイメージしたものを書いていくわけだが、なにしろポスト・イットなので順番は入れ替え自在(京大式カードが順番を入れ替えないのとは対照的)。互いにひっつくのでゴチャゴチャになりにくいし、整理中で行き場の決まっていないカードは、とりあえずペットボトルとかに貼っておくこともできる。そんなことをやりながらキーボードに向かうわけだ。

 「超」整理手帳は、8週間を一覧できるとか、A4用紙を4つに折ってはさみ込めるところに価値があるとすると、何枚でも並べて眺められる4×6インチポスト・イットは、さしずめ画面サイズが変わるスマートデバイス。しかも、マイクロソフトのKinectやインテルのPerCなどNUI(ナチュラルユーザーインターフェイス)が注目されているけど、そんなの目ではない自然さですからね。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員。元『月刊アスキー』編集長。元“東京おとなクラブ”主宰。コミケから出版社取締役まで経験。現在は、ネット時代のライフスタイルに関しての分析・コンサルティングを企業に提供し、高い評価を得ているほか、デジタルやメディアに関するトレンド解説や執筆・講演などで活動。関連する委員会やイベント等での委員・審査員なども務める。著書に『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書)など多数。『週刊アスキー』巻末で“神は雲の中にあられる”を連載中。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

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