キャリア2013年冬モデル発表に見るWindows Phone発売の可能性
2013年10月17日 13時00分更新
2013年冬モデルとなるスマートフォンが各キャリアから発表されたものの、残念ながらWindows Phoneの発表はありませんでした。
ただし、今回の冬モデルでWindows Phoneが発表されないことは、想定の範囲内でした。各社のオフレコ情報を含め、Windows Phoneに関する動きはまったくなかったからです。
それでは2014年以降、各キャリアがWindows Phoneを採用する可能性はどれくらいあるのでしょうか。
■“第3のOS”として名前が挙がってこないWindows Phone
2013年9月20日、ついに日本でも大手3キャリアが横並びでiPhoneを販売することになりました。その結果、今後はiPhone以外の端末やネットワーク、コンテンツやサービスの面で、各キャリアがいかに差別化を図るか、という視点での競争が始まったことになります。
そこで注目されるのがiPhoneやAndroidに続く、“第3のOS”でした。2013年2月のMobile World Congress以降、にわかに盛り上がってきた“Tizen”や“Firefox OS”に、NTTドコモやKDDIも参入を表明しました。しかし2013年冬モデルの時点で、第3のOSを搭載した端末は発表されておらず、現在のステータスは“開発中”となっています。
iPhoneを中心としたソフトバンクは別格としても、NTTドコモとKDDIはいかに魅力的なAndroid端末を揃えるか、そしていかに独自のサービスやユーザーインターフェースにより差別化するかといった観点で冬モデルを発表しました。
問題は、NTTドコモとKDDIの2社が確実に第3のOSへと足場を固めつつあるなかで、Windows Phoneの存在が感じられない点にあります。ソフトバンクモバイルの孫正義社長はWindows Phoneだけでなく、第3のOSについても「あまり興味はない」と回答。「少しはやるかもしれないが、主流になるとは思えない」として、消極的な姿勢を示しています。
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↑ソフトバンクは第3のOSに興味なし。 |
その後に発表会を行なったKDDIやNTTドコモも、Windows Phoneについて「様子見」や「進展なし」と回答しており、「興味がない」に近い状態となっています。
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↑KDDI、NTTドコモもWindows Phoneに関して具体的な動きはないという。
■世界各国でWindows Phoneは売れているものの……
このように各キャリアのWindows Phoneへの関心は低いのが現状ですが、個々の担当者レベルでは、海外のスマートフォン動向をウォッチしている“事情通”も少なくありません。Windows Phoneがヨーロッパやラテンアメリカで着々とシェアを伸ばしていることも、大まかには理解されていると考えてよいでしょう。
しかし、最近の海外におけるWindows Phoneのシェア上昇は、日本にはほとんど関係がない現象であるものと理解されています。というのも、実際、海外で売れているWindows Phoneの大部分は、Lumia 520や620のような低価格端末です。しかもそれらは、先進国のマニアが興味本位で低価格スマホを購入するのとは異なり、実際に所得水準の低い人々が購入しています。
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↑世界で人気の低価格WP8端末『Lumia 520』。 |
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↑『Lumia 625』は大画面でお手頃価格。小型の低価格端末『Lumia 620』も人気だ。 |
MNPやキャッシュバックを利用することで誰もが安価にハイエンド端末を入手できる日本とは異なり、ハイエンド端末を購入できる層は一握りに限られるという国や地域も海外では珍しくありません。もちろん、そういった人々の多くは低価格スマホをフルに活用してアプリやインターネットを最大限に楽しもうと考えており、Windows Phoneにとっても非常に有望な市場のひとつです。
ただ、それら低価格Windows Phoneのライバルは、低価格のAndroidやSymbian端末、フィーチャーフォンです。この場合のフィーチャーフォンとは、日本の“ガラケー”のようにスマートフォンまがいの機能を満載したものではなく、電話とSMSを中心とした原始的な携帯電話のことです。
幸か不幸か、このような低価格端末の市場は現代の日本に存在しません。そのため、Windows Phoneの市場も存在しないというわけです。
■ノキアはハイエンドの新端末を発表するものの……
このような状況で期待したいのが、ハイエンドからローエンドまで幅広い端末をリリースしているノキアです。10月22日にアブダビで開催される発表会では、Windows Phone 8 Update 3搭載の『Lumia 1520』や、Windows RTタブレット『Lumia 2520』が発表されるとの見方が有力です。
しかし現時点でノキアは日本市場から撤退しているうえに、日本へ向けてPR活動を行なう計画も持っていないようです。現在、日本地域を担当する広報担当者は中国にいるものの、ノキアが行なう発表会に日本のメディアが参加するための枠はないと回答しています。
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↑10月22日に発表会を開催するノキアだが、日本からの取材は困難。 |
すでにマイクロソフトはノキアの携帯部門を買収することを表明しており、来年には買収の成立が期待されます。これにより、ノキアのPR活動にも何らかの変化が生じる可能性はあります。しかしマイクロソフトもまた、Surface 2の発表会では発売国からのメディアのみを受け入れており、日本向けのメディア枠は設定されませんでした。
ノキアのWindows Phoneはキャリア関係者の間でも“ファン”が多く、日本でも売れるのではないかという意見もよく聞かれます。しかし肝心のノキアは日本市場への挑戦意欲を失っている状態です。このこともまた、キャリア関係者がWindows Phoneから距離を置く要因となっています。
■Windows Phone 8.1での日本再上陸に期待
いずれにしても、2014年の早い時期に正式発表が期待される“Windows Phone 8.1”までは、各キャリアの様子見は続きそうです。その先駆けとして、Windows Phone 8 Update 3が発表され、いよいよフルHDやクアッドコアCPUを搭載したハイエンド端末が実現可能になります。
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最初で最後のWindows Phone 7.5端末『IS12T』の発売から2年以上が経過し、いよいよ新品の端末在庫も少なくなってきたとのこと。来年こそは、Windows Phone 8.1による日本市場への再上陸に期待したいところです。
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