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Windows情報局ななふぉ出張所

ドコモのiPhone発売でWindows Phone発売の可能性は?

2013年09月18日 17時00分更新

 アップルは9月10日、iPhone5sとiPhone5cを発表しました。発表会のプレゼンテーションではNTTドコモについて言及され、スライドにはロゴも登場。さらにはドコモからのiPhone発売が東京およびクパチーノ発のプレスリリースとして発表されるなど、日本においては予想以上の盛り上がりとなりました。

ドコモのiPhone発売でWindows Phone発売の可能性は?
↑発表されたiPhone5s。
ドコモのiPhone発売でWindows Phone発売の可能性は?

↑プレゼンテーションにはドコモのロゴも登場した(アップルによる発表会の動画より)。

 その一方で気になるのが、ドコモが導入を検討していたというWindows Phoneの行方です。ドコモからのiPhoneの発売が決定した直後から、ネット上では「ドコモからWindows Phoneが出る可能性はなくなったのでは」という不安の声も聞かれます。

 とはいえ、筆者はWindows Phone発売の可能性がゼロになったとは考えておらず、むしろ注目度が高まっていくものと考えています。

■短期的にはWindows Phoneが発売される可能性は低い

 まず、今後しばらくの間、国内キャリアからWindows Phoneが発売される可能性は低いと考えられます。Windows Phone 8世代での端末投入を見送った以上、次に検討するのはWindows Phoneが大きくバージョンアップするタイミングとなるでしょう。つまり、2014年上旬と言われるWindows Phone “8.1”世代です。

 一方で、当面の間、国内キャリア間の競争はiPhoneが中心となることは明らかです。今後はMNPや機種変更を促進するキャンペーンが続々と登場することが予想されます。そして2013年の年末商戦は各社ともに“iPhone+Android数機種”といったポートフォリオで臨むことになるでしょう。

 また、ドコモ版のiPhoneでは“spモードメール”や“dマーケット”などの独自機能について、提供開始が遅れることが発表されています。このことから、しばらくの間は純粋にiPhoneが使いたいユーザーと、ドコモ独自機能による日本的なスマホを使いたいユーザーが棲み分けるという構図になることが予想できます。

 やや不透明になったのは、ドコモとTizenの関係です。10月にはサムスンによる開発者向けカンファレンスが予定されており、Tizen端末の披露が期待されます。冬モデルとして発売はあるのか、それともまだ先なのかはわかりませんが、ドコモが主体的に関与できるプラットフォームとして、長期的な視野で育てていく可能性が残っています。

 このように全体を俯瞰してみると、Windows Phoneが入り込む余地はほとんどないように見えます。

■長期的には差異化が課題に

 しかしiPhone発売の興奮が冷め、各キャリアが横並びに近い料金プランでiPhoneを販売し続ければ、困った問題が起こります。それは、自キャリアを他社からどのように差異化するのかという問題です。

ドコモのiPhone発売でWindows Phone発売の可能性は?
ドコモのiPhone発売でWindows Phone発売の可能性は?
ドコモのiPhone発売でWindows Phone発売の可能性は?

 2012年には、米国でも似たような状況が発生していました。AT&T、Verizon、Sprintという3大キャリア(のちにT-Mobile USも)がiPhoneを販売することになり、どの店舗を訪れても似たようなディスプレイでiPhoneが並んでいたのです。

 他キャリアとの差異化を図るAT&Tは、これに対してLumia 900の投入を決定。以前からWindows Phone 7端末を扱ってきたAT&Tは、マイクロソフトや米国“再上陸”を目論むノキアとの関係を強化し、Lumiaシリーズの最新機種を投入していきます。今日においても、AT&TはLumia 920やLumia 1020を米国内で独占的に販売できるキャリアとなっています。

 日本でも来年以降、各キャリアはAndroid端末を中心に差異化を試みるでしょう。しかしこれまでのXperiaに加え、GALAXYシリーズも複数のキャリアから発売されることが予測されており、Androidだけでは十分な差異化は難しいでしょう。一方で、Firefox OSやTizenといった“第3”のプラットフォームも注目されますが、一般ユーザーの使用に耐える品質まで向上するには、まだまだ時間がかかるものと思われます。

■“第3”のOSとしての優位性を活かせるか

 こうした状況で注目したいのが、海外で着実にシェアを伸ばしているWindows Phoneです。たしかに、Windows Phoneには「日本で売れるのか?」、「日本のユーザーに受け入れられるのか?」という、最も基本的な疑問があることは否めません。日本で使いやすいアプリやサービスが不足しているのも事実です。

 しかし、これから育てていくプラットフォームという意味では、基本的なOSの完成度やマイクロソフトによるサポート体制の面で、ほかの“第3”のOSよりもWindows Phoneは優位性があります。キャリアやメーカー、アプリやサービスベンダーを巻き込みつつ、いかにして日本でWindows Phoneを育てていくか、そのグランドデザインが改めて問われることになるでしょう。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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