いよいよ3月15日よりマイクロソフト独自のタブレット『Surface』が日本でも発売されます。
↑Surface、いよいよ日本上陸! |
Surfaceは、マイクロソフトが初めて手がける“PC”ハードウェアという点や、ARMで動作するWindowsという点に注目が集まりがちです。しかしそれ以外にも、タブレットとして画期的な構造を採用していること、初心者でも安全に使えること、Officeを搭載しており実は割安であることなど、見どころが多いタブレットでもあるのです。
そこでSurface発売直前の今回は、いますぐSurfaceが欲しくなる3つのポイントを解説してみたいと思います。
■いますぐSurfaceが欲しくなる3つのポイント
(1)卓上で使いやすいスタンドと、カバーを兼ねたキーボード
Surfaceはキックスタンドを内蔵しているため、自立させることができます。これに対して、現在タブレットとして人気のある製品の多くは自立する仕組みを備えていません。そのため、立てて使いたい場合は別途スタンドを持ち歩くか、スタンドになるカバーを購入する必要があります。
↑キックスタンドを内蔵。カバーにもなるキーボードをオプションで用意。 |
オプションとして用意される独自のキーボード“タッチカバー”と“タイプカバー”もおもしろい構造です。複数のカラーが用意されるタッチカバーは感圧式の超薄型キーボードで、Surfaceブログによれば世界最薄。タイプカバーも十分に薄型ながら、ストロークを確保した従来型のキーボードとなっています。
これらのキーボードは、名前のとおり、Surfaceの保護カバーとしても機能します。Surfaceはディスプレーにゴリラガラスを採用しているとはいえ、そのままカバンに入れるのは気になる人もいるはずです。本体とキーボードの接点にはマグネットが使われており、「ハマる、タブレット」のキャッチコピーどおり、一瞬で脱着が可能です。
(2)安全で初心者にもおすすめできる
Surfaceを含むWindows RTのデメリットとしてあげられるのが、x86アーキテクチャー向けに作られた既存のデスクトップアプリが動作しないという点です。逆に言えば、マルウェアやウイルスといった悪意のあるプログラムが動作しないという意味ではメリットと言えます。そのうえ、Windows RTではデスクトップアプリの実行には強い制限がかかっており、悪意のあるプログラムを新たに作成することは非常に困難です。
↑ARM用の実行ファイルを作ることはできるが、実行には適切なデジタル署名が必須。 |
もちろんPC上級者であれば、セキュリティー対策ソフトに頼るだけでなく、怪しいプログラムを実行しないなどの予防措置を身につけているはずです。しかしPC初心者にとって、なにが怪しいかを見抜くのは難しいと言えます。また、“明らかに悪意がある”とは言えないグレーゾーンのアプリは、対策が難しいのが現状です。
Windows RTのデスクトップ環境や、Windowsストアアプリの危険性がまったくないというわけではありません。しかしWindows 8に比べれば大幅に安全といってよいでしょう。このことから、Windows RTは、PCの“面倒な部分”を覚えることなく、純粋にメールやSNS、ゲームといったアプリを楽しみたいユーザーにとって、魅力的な選択肢と言えます。
(3)Office 2013 RTを搭載しており、実はお買い得
Surfaceの製品構成は、ストレージ容量とタッチカバーの有無により、4種類のモデルがラインアップされており、Surface単体で32GBのモデルは4万9800円となっています。米国での499ドルという価格と比べても、最近の円安傾向もあって、妥当な価格設定と言えるでしょう。また、iPadの32GB・WiFiモデルは5万800円なので、ほぼ同水準と言えます。
さらにSurfaceが採用するWindows RTには、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteを含む『Office 2013 RT』がプリインストールされています。Outlookが含まれていないという点や、マクロやアドインが使えないといった制限はあるものの、数万円の価値はあると考えてよいでしょう。
また、海外版のOffice 2013 RTのライセンスは、そのままでは商用利用ができないという制限があります。これはOffice 2013 RTが“Home and Student”版のためです。しかし日本版では商用利用が可能となっており、仕事で使うことができます。この点を考慮すると、日本版のSurfaceはさらに割安となります。
↑実は米国よりお買い得な日本のSurface。 |
Office 2013 RTの価値を2~3万円と見積もると、4万9800円のSurfaceの実質的な価格は1万9800~2万9800円相当となり、タブレットとして十分に魅力的な価格と感じられます。
さて、ここまでを読んで、いますぐSurfaceが欲しくなった人は、次の“Surface購入前に注意したい3つのポイント”もあわせてお読みください。
■Surface購入前に注意したい3つのポイント
(1)Surface以外のWindowsタブレットの選択肢も
海外ではWindows 8と同時に発売されたSurfaceですが、その後、Windowsタブレットを取り巻く環境は急速に変化しています。たとえば最新のAtomプラットフォーム“Clover Trail”を搭載したタブレットは、当初の期待以上にバッテリーが持つことがわかりました。また、これらはWindows RT機と同じく“Connected Standby”に対応しており、使い勝手の面でも優れています。
Intelプロセッサーについても、2013年には大幅な進化が計画されています。Clover Trailの後継である“Bay Trail”、SDP7W版のIvy Bridge、そして第4世代Coreプロセッサー“Haswell”によって、これまで以上に薄型軽量なWindows 8タブレットや、デタッチャブル型Ultrabookがリリースされます。
↑2013年、タブレットやUltrabookは大幅進化する予定。 |
Surfaceが採用するNVIDIAのARMプロセッサーについても、すでにTegra 4/4iといった後継バージョンが発表済み。クアルコムもSnapdragon 800/600シリーズを発表しています。
マイクロソフトが最初にSurfaceを発表したのは2012年6月。そして“日本上陸”までに、海外での発売から5ヵ月近くが経過してしまいました。Surfaceファミリーの新機種の可能性も含め、そろそろ“Next”に期待してしまう時期でもあるのです。
(2)自分の用途に合ったアプリ・周辺機器を要確認
Windows RTでは、プリインストールのWindows標準アプリやOfficeを除けば、Windowsストアアプリ・WinRTアプリを動作させることしかできません。そのため、Windowsでなじみのあるアプリケーションの多くが動作しないことになります。
これまでに長くWindowsを使ってきた人は多くのソフトウェア資産を保有しているかもしれませんが、それらを活かすことはできません。また、Windows RTのデスクトップで動作するネイティブアプリの開発情報は積極的に公開されておらず、サードパーティーのアプリが増加する見込みもいまのところありません。Windowsストアアプリやウェブアプリを使って自分がやりたいことを実現できるかどうか、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
また、周辺機器についても注意が必要です。Windows RT標準のドライバーにより、USBメモリーやBluetoothキーボードなどタブレットと組み合わせて使われる周辺機器の多くはそのまま利用できます。しかしメーカー独自のデバイスドライバーやユーティリティーが必要な周辺機器は使えません。
Windows RTへの移行にあたっては、新しくアプリや周辺機器を購入し直すコストもあわせて考える必要があると言えます。Windows RTではなく、どうしてもWindows 8が必要な場合、Windows 8 Pro版の『Surface Pro』の日本上陸を待ってみるのもよいでしょう。
↑Windows 8 Proを搭載するSurface Pro。まだ日本での発売は未定。 |
(3)使い勝手には難点も
Surfaceのキックスタンドやカバー兼用のキーボードは優れた構造ですが、膝の上で使うには不安定に感じます。また、文字を入力中にマグネットの接点が外れてしまい、入力を取りこぼすこともあります。慎重に入力することで回避できるレベルですが、ノートPCと同じようには使えないという印象を受けます。
↑マグネットによる脱着は快適だが、そのぶん外れやすい。 |
また、タッチカバーとタイプカバーの価格はそれぞれ9980円、1万980円に設定されており、両方を購入して使い比べるには高いと感じます。特に、これらの部品原価は非常に低いと見られており、割高感は否めません。日本特有の事情として、日本語変換にATOKやGoogle日本語入力を使うことができないため、長文の入力は不便に感じます。
Surfaceの充電について、microUSBポートによる充電には対応していないため、モバイルバッテリーやPCから充電することはできません。バッテリー駆動時間が長いため、それほど頻繁に充電する必要はないものの、専用のACアダプターが必須となります。
もしSurfaceに次のバージョンがあるなら、これらの点が改善されることを期待しています。
さて、ここまでを読んでSurfaceの購入を躊躇してしまった方は、先にあげた“いますぐSurfaceが欲しくなる3つのポイント”をもう一度お読みください。
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