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ユニークすぎるメカトロニクス機器が集結『電子工作フェスティバル2012』

2012年12月11日 22時00分更新

文● シバタススム 編集●相川真由美

 ピーバンドットコムは、秋葉原の『3331 Arts Chiyoda』にて一般から公募した電子工作の展示会『電子工作フェスティバル2012』を開催。また、会場にて第4回『電子工作コンテスト』の授賞式も行ないました。この『電子工作コンテスト』は才能あるクリエイター発掘を目指して2009年から開催されています。また、『電子工作フェスティバル』では、同コンテストの応募作品の展示のほか、初心者向けのワークショップなどを開催。

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 大賞を受賞したのは、東京工業大学ロボット技術研究会”Mouser07”の『手動型自動計算ロボット』。これはPC用のテンキーで入力、もしくは音声で読上算を行なうことで、ロボットアームがそろばんを叩き人間がそろばんを弾くように計算する『そろぼん』。そして、大きな指の形をしたアームが電卓を叩くロボット『でんたくん』の2台で構成された作品です。

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 そもそも電気的に計算ができるPCにわざわざロボットを制御させて、このような計算を行なうのは無意味のようなものに思えるかも知れませんが、”Mouser07”のメンバーによると、”人間がする動作をするロボット”をあえてつくることで、見た目にわかりやすく、面白いとのこと。確かに会場で出品された作品の中には、パッと見て何に使うのか分からない物も多く、その点では、そろばんと電卓という人間が使うアイテムがある本作品は、すぐにどんなロボットか直感で理解することができます。また、”人間がする動作をロボットがする”というのは人間が人件費や手間の節減のためにロボットを使うという根幹的な需要をよく理解したものと言えるでしょう。

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 さらに、見た目とは裏腹に本作品の製作には高い技術力が使われている。『そろぼん』は4つのアクチュエーターを制御し、そろばんの珠を正確にかつ高速に弾いていました。そろばんに慣れていないと、人間ではこのロボット以上に速く計算はできないはず。また、『でんたくん』は3個のサーボモーターでデルタ機構を実現、指が前後、左右、上下の方向に同時に動いてボタンを押す。これらは、工場などで使われる産業用機械の基本的な動作と同じもの。一見無意味なロボットに思えるかも知れませんが、学生たちがちゃんと考えて将来的に使える技能を使っているのが分かります。ちなみに、この2台は桁数の少ない計算では『でんたくん』の方が高速で、桁数の多い計算では『そろぼん』の方が速いとのこと。

 準大賞は倉内誠さんの『がじぇボーイ』。これは残像を使ったディスプレーを搭載したゲーム機。縦に32個並んだLEDを搭載するマイコンボードを回転させることで、見た目には文字やキャラクターが見えるようにする仕組み。ブロック崩しがプレーできます。筐体やモーターはレゴを使っており、製作期間の短縮と手間の軽減を行なっています。倉内さん自身は意図してなかったようですが、回転することで表示する物体が立体的に見える効果が出ていました。

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優秀賞はDentsu Design Ninja × STARRYWORKSチームの『Air TypeLighter』。これはホバリングできるPC制御のラジコンヘリで空中に軌跡文字を書こうというもの。ヘリを制御するだけではなく、ツイッターからの投稿に従って文字を書いたり、書いた文字を複数台のカメラと連動して軌跡を撮影し、GIFアニメにできるシステム。ヘリの制御だけであれば、珍しくないですが、サービスとしてシステムが完結しているのがポイント。

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 ガジェットカフェ賞を受賞したのは、大根を触ると艶めかしい女性の声であえぎ声が聞こえる『セクハラ・インターフェース』。触る場所によって声が変わります。大根の先端に接続した電極から流した電流の抵抗によって声を変化させています。一見、男の妄想を実現したものかと思いきや、開発者の一人が女性なのが驚きでした。

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 個人的に実用性の高さを感じたのは『集束超音波を使って触れずに押す』。超音波の出るユニットが格子状に敷き詰められており、ユニット直上の空間に”押す力”を発生できます。手をかざしてみると、ピンポイントで力が発生しているのが分かります。非接触で力が加えられるため、カメラのセンサークリーニングなど微細なデバイスの清掃などに使えそうだと感じました。

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 再生している音源のボリュームや音の高さによって、色を変化させる『光るヘッドホン』。ワイヤー部分は音のアタックを検出するためビートを刻むように光る。DJのイベントなどで使えそう。

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 アンドロイドで制御する自転車の自動変速機の『Android自動変速自転車』。装置自体も小型でスグにでも商品化できそうな実用作品です。

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 ヨーヨーをプレーすると音がなる電子楽器『ヨーヨー型電子楽器「轟」』。ヨーヨーのデザインとそれに搭載できる基板を開発するなど工夫が光る作品。

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 底面のマグネットにより、壁面を走れるラジコン『うおーるぼっとR4』。リモコンはBluetoothを使い、スマホやWillのリモコンで操作できます。

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 全体としてPCでモーターやLEDを制御するメカトロニクスを使った作品が多く展示されており、PCやスマホが電子工作にも深く浸透していると実感。いずれこの作品の中から、市販で売られる楽しい製品が出てくるかも知れません。来年も開催されるとのことなので、電子工作クリエイターはぜひ参加してみてください。

■関連URL
『電子工作フェスティバル2012』
 

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