Googleの開発者向けイベント“Google I/O 2012”が開幕した。会場はサンフランシスコ市内のMoscone Center Westで、2週間あまり前にAppleが開発者向けイベントのWWDCを行なった会場とまったく同じ。今度はGoogleのターンになる。
6月27日(現地時間)には初日の基調講演が行なわれ、事前の噂通りにJelly Beanのコードネームで呼ばれる次期Android OSが正式発表された。バージョンはAndroid 4.1となる。7月中旬に『Nexus S』、『Galaxy Nexus』、『Motorola Xoom』などのリードデバイスからOTAでアップデートが始まる予定だ。
↑Jelly Beanこと、Android4.1を正式発表。デザインはドロイド君のボトル型。
↑ヌルヌル動くUIへの改善はProject Butter。
↑Ice Cream Sandwitch(左)とJelly Bean。
↑入力機能を改良。ユーザーの入力履歴をもとに予測入力。
↑オフライン状態での音声入力に対応する。
↑通知機能を強化。appごとに通知メニューからさまざまな操作が行なえるようになる。
↑検索結果をリンクだけでなくスマートに表示。「日本の首相は?」と検索すれば、Wikipediaの野田首相のページを表示。
↑“Google Now”。位置情報、検索履歴などから最適な検索結果を提供する。公共交通機関の乗り換え情報や航空機の遅延情報などを提供。
↑Google Playには60万のappが登録。20億本が端末へとインストールされている。
↑Google Playでは今後、appの差分アップデートにも対応。
↑Google Playに加わる雑誌、新聞などの定期購読。
また、このJelly Beanを搭載するNexusタブレットの『Nexus 7』も同時に発表された。端末の開発はASUSTekが行なっており、ASUSがリードデバイスメーカーの一角に加わることになる。主なスペックは、7インチで1280×800ドットのスクリーン。CPUにはTegra3を採用する。フロント側カメラを搭載。無線機能はWiFi、BluetoothそしてNFCを搭載する。本体重量は340グラムで、HDビデオの9時間試聴が可能なバッテリー容量。価格は199ドル(税別)で、7月中旬からの出荷を予定している。
↑『Nexus 7』タブレットを発表。Google Playによる書籍や雑誌、新聞、映像、音楽の配信にフォーカスした紹介。AmazonのKindle Fireを意識して競合する市場だ。
↑Map機能では店舗検索から店内の様子を視点を変えてみるデモンストレーション。
↑Tegra3搭載と言うことでゲームも楽しめる。
Nexusシリーズでは、プロジェクト・タングステンとして開発されていたもうひとつの新製品『Nexus Q』もアナウンスされた。Nexus Qは据え置きタイプのメディアプレイヤーで、デュアルバンドWiFiなどのネットワークインターフェイス、HDMI出力、ステレオスピーカー出力などを備える。BluetoothやNFCなどの近接通信機能も搭載して、対応端末をかざすことでプレイリストのシェアや、タブレットなどで見ていたビデオの継続視聴などを行なうことができる。ざっくりと言ってしまえばAppleTVをより高機能にしてGoogle PlayにフィーチャーしたGoogle版のメディアプレイヤーだ。価格は299ドルで、こちらも7月中旬に出荷を予定する。
↑『Nexus Q』の紹介ビデオ。
↑『Nexus Q』のハードウェア構造。球形のデザインとイルミネーションが印象的だ。
↑NFCなどの近接通信機能を使った映画の継続視聴、プレイリストの共有機能などをデモ。
↑『Nexus Q』は7月中旬に299ドルで出荷予定。
ちょうど一年前にサービスの始まった“Google+”は、翌日付で公開1周年をむかえる。約一年で到達したGoogle+のアカウント数は約2億5000万アカウント。もともとGoogle+はタブレットに適したサービスだと思っていて、これまでPC以外ではAndroid、iOSともに携帯電話向けのappのみが提供されていてタブレットに特化したappが用意されていないのが不思議なほどだったが、1周年をむかえてようやくタブレット向けのappの提供が始まる。前出のNexus 7などAndroid向けはもちろん、iPad向けのappも追って登場する。iPad向けはRetinaディスプレイにも対応している。
そのGoogle+に新たに加わる機能が“Gpogle+ Event”だ。これは実際のイベントを準備から終了まで管理できるもので、例えば招待メールの送付から出欠の状況を把握。参加者の撮影した写真の共有機能などを備えている。
↑Google+は1周年を迎えた。
↑タブレットに特化したGoogle+ appがついに登場。Androidは当日、iPad向けも近日中に。
↑Google+ Event機能を追加。招待状をメールしたり、出欠の管理、撮影した写真の共有などがGoogle+のインターフェースで行なえる。
Google共同創業者のひとり、セルゲイ・ブリン氏が紹介したのは『Project Glass』。アイマウント型のパーソナルディスプレーで視線と同じ方向のカメラ機能も備える。日本向けにわかりやすく伝えるなら、ドラゴンボールのスカウター風デバイスと紹介するのがいいだろう。紹介は非常に派手な演出で、会場上空に位置する飛行船から、Project Glassを装着したスカイダイバーが飛来。落下中の映像をストリーミング中継しながら、近隣の屋上に着地。自転車を乗り継いだり壁面降下したりしながら、会場へと駆け込んだ。
Project Glassの“Explorer Edition(初期開発版)”は、このGoogle I/Oに参加している米国居住者に限定して同日から予約を受け付ける。価格は1500ドルとやや高め。スカイダイビングのデモに使われたのはストリーミング中継用に特別にアレンジされたモデルで、開発者向けに提供されるのはシンプルなデザインを採用し見た目がうるさくなりにくいもの。単体での着用に加えて、メガネやサングラスのうえからも装着できる。デモンストレーションでは、育児などにおいてカメラを構えることなく自然な目線で赤ちゃんの世話をしながら写真を撮る様子や、スポーツシーンでの動画撮影の様子などが紹介された。Explorer Editionという名称からもわかるとおり、これはハードウェアとしてプロトタイプを出したにすぎない。Google I/Oに集った開発者に対して、この未知のデバイスをどのように活用してプロジェクトを進めていくかGoogleと一緒に検討していってほしいと協力を求めた。
↑サンフランシスコ上空に飛行船が飛来。Project Glassを付けたスカイダイバー四人が降下。
↑降下中の様子をストリーミング中継。屋上への着地後は壁面降下で会場へ。
↑受け取ったProject GlassのExplorer Edition(初期開発版)。
↑スカイダイバーが使っていたものはやや大がかりな装置。
↑Project GlassのExplorer Edition(初期開発版)。メガネやサングラスのうえからも装着可能。
↑育児をしながらカメラを手にすることなく、視線のままに赤ちゃんを撮影。
↑Explorer Edition(初期開発版)は、今回のGoogle I/Oに参加した米国居住者に限って、1500ドルで予約を受け付ける。
なお、最後のサプライズとしてGoogle I/O 2012の参加者に対しては、開発用機器としてGalaxy Nexus、Nexus 7タブレットそしてNexus Qが提供されることが発表され、会場は多いに沸いた。提供は現地時間の午後4時以降となる。
↑何かもらうと誰でもうれしい。Galaxy Nexus、Nexus 7タブレットそしてNexus Qを参加者に提供されることが発表されると、会場は多いに沸いた。
Google I/Oは、6月27日から29日までの三日間にわたり開催される。基調講演は28日午前にも行われるほか、会場のロビーにはGoogleをはじめさまざまなデベロッパーの展示、夜にはパーティーなども行なわれる。これらも順次、レポートしていく。
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