5月28日、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)は、九州を一周するクルーズトレイン『ななつ星in九州』を発表した。同列車は2013年10月に運行開始を見込んでおり、2012年10月よりクルーズトレイン専用窓口(仮)もしくは、主な旅行会社にて販売開始を予定している。
■キーワードは“7”
列車名の“ななつ星”の由来は九州7県(福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)を表現。また、九州の7つの観光素材(自然、食、温泉、歴史文化、パワースポット、人情、列車)の意味もあるという。編成もこれらに合わせて7輌編成となっている。
■すべて新造! 超豪華寝台列車
『ななつ星in九州』は、専用ディーゼル機関車1輌と客車7輌で編成され、他形式からの改造ではなくすべて新規に製造されるとのこと。
JRグループが客車を新造するのは1999年に登場した寝台特急『カシオペア』用のE26系以来、実に14年ぶり。客車はもちろん、機関車すら新形式で新造するというから驚きだ。それだけJR九州のこの列車への力の入れようがうかがえる。また、列車は方向転換をする場合、基本的には機関車を前後に付け替える。加えて、肥薩線などのスイッチバックでは一部推進運転を行なう可能性があるそうだ。
製造はJR九州の小倉工場を中心に行なわれ、デザイナーは、JR九州や富士急行の車輌デザインを手がけてきた水戸岡鋭治氏が担当する。
編成は以下のとおり
●1号車:ラウンジカー
●2号車:ダイニングカー
3~7号車:スイート個室、DXスイート個室
スイート個室:定員2名の個室が12室(各約10平米)
DXスイート個室:7号車の車輌最後尾をすべて占有できる展望型Aタイプ(定員2名約21平米)と一般的な個室のBタイプ(定員2名約17平米)があり同じDXスイートでも価格や構造が異なる。
室内は木やファブリックを基調とした和洋融合デザインとなる予定だ。1号車のラウンジカーではバーカウンターでお酒を飲んだり、ソファーでピアノの生演奏を楽しめる。今のところ、オリエント急行のようにドレスコードは設定されないとのことだが、雰囲気を壊さないために、ある程度はきちんとした身なりで参加したい。
各個室にはトイレとシャワーが完備され、部屋から出なくてもくつろげる。そのなかでも、いちばん豪華な部屋はやはりDXスイートの展望型だ。展望型の個室はカシオペアやトワイライトエクスプレスでもプレミア価格がつくほどの人気があり、ツアーの価格はやや高いもののチケットは争奪戦となるだろう。1列車で定員が28名という定員の少なさがこの列車のプレミア感を高めている。
■3泊4日の九州一周ツアーが55万円!
『ななつ星in九州』は、従来の寝台特急『カシオペア』や『トワイライトエクスプレス』ように都市間を移動する乗客を運ぶ列車ではなく、九州を一周する観光ツアー用の列車となる。このため、出発駅と終着駅は同じ博多駅だ。ツアーは3泊4日と1泊2日の2種類が用意されており、それぞれ週に1度の運行となる。
3泊4日のツアーは博多を出発し、ゆふ高原線(久大本線)、日豊本線、肥薩線、阿蘇高原線(豊肥本線)、ゆふ高原線(久大本線)を巡り、博多に戻ってくる。
南北に九州を回るルートで、主な停車駅は、由布院、宮崎、隼人、鹿児島中央、阿蘇、豊後森で車中は2泊、1泊は旅館だ。ツアーでは由布院周辺、宮崎市内、霧島地区、鹿児島市内、阿蘇周辺などを観光する。また、阿蘇では、阿蘇駅~豊後森駅をバスで観光するツアーもオプションで用意される。ツアーの価格は、車輌最後尾の展望DXスイートで55万円、DXスイートが50万円。また、スイートは38万円。
1泊2日のツアーは博多を出発し、長崎本線、鹿児島本線、阿蘇高原線(豊肥本線)、ゆふ高原線(久大本線)を経由して博多に到着する。
九州を東西に一周するルートで、主要な停車駅は長崎、阿蘇、由布院で車中泊となる。観光スポットとしては、長崎市内、阿蘇周辺、由布院周辺。阿蘇駅~由布院駅をバスで観光するツアーもオプションで用意される。ツアーの価格は、車輌最後尾の展望DXスイートで22万円、DXスイートが20万円。また、スイートは15万円。
鉄道好きとしては久々に心の底から「いつか乗りたい!絶対に乗ってやる!」と憧れる列車の登場だ。どこかに移動するのではなく、九州を列車に乗ってゆっくり観光するという、ぜいたくな時間を過ごせるというコンセプトも素晴らしい。夫婦やカップルの記念日や新婚旅行はもちろん、親友との旅行など、大切な人と乗りたい列車になるだろう。筆者は、頑張ってお金をためることにする。今から登場が楽しみだ。
■関連サイト
クルーズトレイン『ななつ星in九州』
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1,220円
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