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『東京の交通100年博』開催! 夏休みは親子で昭和の時代にタイムスリップしよう

2011年07月15日 10時00分更新

 東京・両国の『江戸東京博物館』では、7月14日~9月10日の間、『東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄の“いま・むかし”~』を開催。これは今年、東京都が交通事業を始めてからちょうど100年にあたり、それを記念したものとなる。

 歴史的な資料の展示もさることながら、やはり、みどころは本物の車両展示! なかでも目玉は、都電6000形、6086号車の展示だ。

展示されている都電6000形6068号車
東京の交通100年博
↑江戸東京博物館の駐車場に線路を敷設し、本格的に展示している。

 6086号車は、1949年~1978年まで都電荒川線などで活躍した車両。廃車後は個人宅で保存されていたが、2008年に都電荒川線の荒川電車営業所に里帰りしたもの。江戸東京博物館の駐車場に特設の線路を敷設して展示し、車両内を見学することができるほか、レトロな広告が飾られた車内を堪能できる。車両のそばには、2012年公開予定の映画『ALWAYS三丁目の夕日'64』で使われた、1964年の東京の風景を再現したセットが組まれており、車内から窓の外を見ると、まるでタイムスリップしたかのような、懐かしくも新鮮な風景を楽しめる。

車内は現役当時の設備をほぼ再現
東京の交通100年博
↑レトロな広告や板張りの床が古き良き昭和の香りを感じさせる。
窓の外を眺めると1964年の風景が見える
東京の交通100年博
↑懐かしいような昭和の風景がノスタルジックにさせる。

 ちなみに、都電は最盛期で41系統、40路線が運行されていた。今回の展示品には、”系統板”と呼ばれる車体前面に取り付けられた系統を識別する標識も40路線すべて展示されている。この系統板は、当時のさまざまな広告に彩られたも世相を反映する歴史的な資料として貴重なものであり、都電ファンならば必見だ。(余談だが、現在の”都電荒川線”は、27系統(三ノ輪橋~赤羽)の一部と32系統(荒川車庫~早稲田)を統合した路線だ。)

実に壮観な”系統板”の展示
東京の交通100年博
↑1~41までのすべての系統板を展示。圧巻である。(東荒川~今井橋まで運行されていた26系統が欠番しているように見えるが、これは都電が最盛期を迎える前の1952年に廃止されており、トロリーバスに転換されたため、系統板自体が存在しない。)

 そのほか、函館市企業局交通部、通称”函館市電”で活躍する『ササラ電車』の展示もある。これは東京ではなかなかお目にかかれない、レアな車両だ。前面に除雪用のロータリーを装備した、函館市の冬の名物車両となっている。実は本車両はもともと都電で使われていた『ヨヘロ1形』を改造したもの。今回、76年ぶりに里帰りしたのだ。

 ちなみに、『ヨヘロ1形』は、明治36年に登場した『251形』を改造した形式。”ヨヘロ”のヨは”四輪駆動”、ヘは”ベスチビュール”という前面に窓があるという意味、ロは大正時代になって改造を受けたことを表している。

函館市電の『ササラ電車』
東京の交通100年博
↑雪煙を上げながら走る、トラジマ模様の電車。もともと都電で使われていた『ヨヘロ1形』を改造した除雪車だ。

 原型となった『ヨヘロ1形』も車両の半分だけだが、モックアップが展示されている。

『ヨヘロ1形』を体感できる
東京の交通100年博
↑モックアップは、室内に入ったり運転台からの風景を楽しむことができる。

 東京の交通といえば、”都バス”も重要な存在。最初に登場した”都バス”、『東京市営バス(円太郎バス)』の実物が展示されているのも本博のみどころ。円太郎バスは、1923年の関東大震災で都電車両が大量に焼失したことから、急遽アメリカからフォード自動車を輸入し、急ごしらえでバスの車体を取り付けたもの。そのため、乗り心地は相当悪かったらしい。“円太郎バス”の名前は乗合馬車『円太郎馬車』に似ていたことからその名がついたという。

都バスの発祥”円太郎バス”
東京の交通100年博
↑当時は道路の舗装も今より悪かったため、乗客は相当な揺れに悩んだに違いない。

 都電が走っている街の様子を再現する展示として、150分の1スケールのジオラマコーナーもある。今も面影を残す渋谷駅の東口や、勝どき橋などが精巧に再現されており、こちらも必見だ。週末には都電の模型がジオラマを走行したり、勝どき橋の跳ね橋開閉実演デモも行なわれる。なお、こちらのジオラマ展示は8月31日まで。

専門家すら賞賛する精巧な『勝どき橋』
東京の交通100年博
↑電飾や跳ね橋の開閉ギミックは、鉄道模型の専門誌『RM MODLES』で紹介され、鉄道模型の専門家すら賞賛するほどの出来映えだ。

 貴重な実物や歴史的資料が数多く展示されている本博は、コダワリのある都電ファンから家族連れまで幅広く満足できる展示となっている。夏休みのレジャーとして、ぜひ出かけてみてはどうだろうか?

 

東京の交通100年博
平成23年7月14日(木)~9月10日(土)
※8月1日(月)、8日(月)、22日(月)は休館

江戸東京博物館 1階展示室
(東京都墨田区横網一丁目4番1号)
都営地下鉄大江戸線:両国駅(江戸東京博物館前)A4出口、徒歩1分
都バス:錦27・両28・門33・墨38系統「都営両国駅前」下車、徒歩3分
JR総武線:両国駅西口下車、徒歩3分

■観覧料金(当日料金)
一般:1,300円、大学生・専門学校生:1,040円、大学生以下および65歳以上:650円

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