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ドコモのiPhoneあきらめモード? auはLTEへの対応に注力【夏モデルまとめ】

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ドコモはAndroidで全方位をカバー

 ドコモは2011~2012年冬春モデルで、ハイスペックの“NEXT”シリーズ、機能面だけでなくスタイルにもこだわった“with”シリーズに分けるとともに、上級者や初心者、女性など幅広いユーザー層向け機種を数多く投入し、フィーチャーフォンからスマホへと軸足を移した。

 夏モデルでは、スマホ16機種+タブレット1機種と、圧倒的な数のAndroid端末を用意。それに対し、フィーチャーフォンはキッズケータイ1機種のみとなり、とうとう新機種からiモード対応端末が消滅。ドコモはiモードに別れを告げ、スマホに移行する強い意志を示した。

 新機種の仕様にもその意志が感じられる。おサイフや防水、ワンセグ、赤外線といったフィーチャーフォンで根強いニーズがある機能は、従来のグローバル端末では非搭載機種が数多く存在していた。

 しかし、夏モデルでは16機種のスマホがおサイフに対応。ワンセグは14機種、防水と赤外線は13機種が対応し、いわゆるグローバルモデルも含めて、国内機能への対応が大きく進んでいる。

 これらの機能はスマホでは必須ではなく、逆に不要と考える上級者も少なくない。しかし、フィーチャーフォンからの置き換えに不可欠な機能であることは間違いなく、スマホ移行への障害がまたひとつ解消されたと言える。 

Xperia GX
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Xperiaシリーズ待望のLTEスマホ。おサイフ機能も搭載。より小型なSXも魅力的だ。
らくらくスマートフォン
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シリーズ初のタッチパネルを搭載。防水防じん仕様で、文字入力にATOKを採用。

 そして、最も象徴的なのがシニア層をターゲットとする『らくらくスマートフォン』をラインアップに加えたという点だ。

 メイン画面に大きなボタンを配置するとともに、“ワンタッチダイヤル”や“はっきりボイス”などの機能を継承。初期設定不要でメールが利用できたり、専用パケット定額プランを用意するなど、シニア層でもカンタンかつ安心して使えるように配慮されている。

 既存のらくらくホンは併売。とはいえ、専用端末と専用料金プランを用意したうえでらくらくスマートフォンを投入するという姿勢からも、ドコモが今後スマートフォンを広く普及させるという強い意志が感じられる。

 逆に、ここまで大きくAndroidスマホに舵を切ったことから、ドコモのiPhone導入の可能性はさらに低下した。ドコモの山田隆持社長は、再三にわたってiPhoneの導入について否定的なコメントを続けているが、今回発表のフルラインアップで、その言葉が裏付けられたと言ってよさそうだ。

auはLTE対応の次期iPhoneに全力投入か

 対するauは、全6機種を夏モデルとして用意。ドコモに比べると機種数こそ少ないが、先行発表の『HTC J』に加えて、世界初のFeliCa/NFC同時搭載機『AQUOS PHONE SERIE』、クアッドコアCPU搭載の『ARROWS Z』と3つのハイエンドモデルを用意。

 液晶を振動させて受話音を伝える『URBANO PROGRESSO』、スライドテンキー搭載機『AQUOS PHONE SL』など、幅広いニーズに対応する端末を用意し、少数ながら気合いの入ったラインアップだ。

 ただし、ラインアップこそ充実しているものの、メーカー数は国内メーカー3社、海外メーカー1社と少ないのも事実。これは、auが今年冬に開始するLTEサービスが大きく影響していると思われる。

 日本のキャリアが採用する3G通信方式は、ドコモ、ソフトバンク、イーモバイルの3社がW-CDMAであるのに対し、auだけがCDMA 2000。それに対しLTEは、全キャリアがFDD-LTE方式を採用。しかも、auは今年度末('13年3月末)までにLTEサービスの実人口カバー率を約96%と一気に立ち上げると発表している。

 そうなると、端末メーカーは今3G対応の専用機種を開発するよりも、そのリソースを半年後から一気に立ち上がるLTE対応機種の開発に割り当てた方がはるかに利点が大きいと考えるはずだ。

 一気の立ち上げを予定しているため、販売数が大きく膨らむ可能性があるのはもちろん、通信方式が同じになるので、わずかな変更で全キャリア向けに対応できるという利点もある。これが、auの夏モデルの機種数の少なさの原因と考えていいだろう。

ARROWS Z
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クアッドコアのTegra 3を搭載するハイエンドWiMAXスマホ。指紋センサーを搭載。
AQUOS PHONE SERIE
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FeliCa/NFCを両搭載したWiMAXスマホ。ハードキーレスで4.6インチHD液晶を採用。

 また、LTEに関しては最大の影響力をもつ端末が控えている。それは、次期iPhoneだ。

 次期iPhoneはLTEをサポートすると予想されている。現在iPhone 4Sを扱っているauも、当然次期iPhoneを発売することになるはず。また、auはLTEサービスを800MHz帯、1.5GHz帯に加え、2GHz帯もカバーすると発表。これもLTE対応の次期iPhone投入を睨んでのことと予想できる。

 さらに、発表会でも田中孝司社長が強調していたLTEサービス開始時期の前倒し。これらの事象はすべて、auが次期iPhoneをLTEサービスの中核機種に据えるという予想に収束する。

 LTE待ちという状況下で、クアッドコア搭載の『ARROWS Z』をはじめ、イエンドから普及帯まで魅力的な機種をそろえてきたauの底力は賞賛したい。

今後はキャリア提供サービスが激戦区に

 秋から冬以降に各キャリアがLTEサービスへと本格的に移行するとともに、キャリア別のスマホの機能差は、これまで以上に薄れると予想される。そうなると、今後は端末やキャリア選択の基準としてサービスが重視される見込みだ。

 ドコモは“ドコモクラウド”のブランド名でクラウドサービスを充実させることを発表。『しゃべってコンシェル』の機能拡充や『メール翻訳コンシェル』の新設、『dマーケット』はマルチデバイス対応や、『アニメストア』の新設などを発表。

ドコモクラウド
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dマーケットや通訳電話などの機能を端末を問わずに利用できる。
アニメストアの追加
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約500作品、1万エピソードのアニメを月額420円で楽しめる。

 同様に、auも“スマートパスポート構想”をステップ2に移行させるとして、『auスマートパス』をスマホだけでなくタブレットでも利用可能にするとともに、定額の動画配信サービス『ビデオパス』と、定額の音楽SNSサービス『うたパス』の提供を発表。今後のさらなるサービス拡充を示唆した。

auスマートパスの強化
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月額390円でクラウドストレージなどを利用可能。タブレットに対応。
動画、音楽配信を追加
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月額制のビデオパス、うたパスでAV系サービス拡充を進める。

 もちろん、夏モデル発表を控えるソフトバンクやイー・モバイルも同様の戦略をとってくるはず。今後は各キャリアのサービス面の差がスマホ選びの大きな基準のひとつになりそうだ。
 

2012夏スマホまとめ

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