海外取材でいつも頭を悩ませるのが“現地での通信環境”。国内キャリアの海外ローミングや現地キャリアのSIMの購入などいろいろな手段はありますが、今回は前から気になっていたグローバルデータの“ヨーロッパ周遊タイプ”をレンタルしていくことにしました。
MiFiプランをレンタル |
↑週アス取材班は3人。しかも各自が持参したスマホは3台以上。なので複数台つなげられるモバイルルーターのMiFiプランをレンタル。 |
なぜ“ヨーロッパ周遊プラン”をチョイスしたかというと、MWCが開催されるスペインのバルセロナは日本からの直行便がなく、必ずほかの国で乗り継ぎをする必要があるんです。それにせっかくスペインまでいくなら、(私は)ほかの国にも寄っていこうという計画。“ヨーロッパ周遊プラン”なら利用できる国や地域が40以上あるし、申込時に指定した国すべてを1台のモバイルルーターでこなせてラクそうだから。
欧州のほぼ全域をカバー |
↑ヨーロッパ周遊プランでカバーする国と地域。使えないところのほうが少ないくらい。 |
というわけで、グローバルデータのウェブサイトから申し込みをして、羽田空港のカウンターでルーターを受け取り出発(出国手続きをしてしまうと受け取りができないので注意。以前筆者は時間ギリギリで空港について慌てていたため、うっかり受け取りを忘れて出国してしまったことがあります。空港には時間に余裕をもって行かないとね)。
●ドイツ・フランクフルト編
前述のとおり、バルセロナまでは直行便がないので、ドイツのフランクフルトで乗り継ぎです。次のフライトまでは時間があるので、MiFiを起動してPCから接続。日本から10時間以上のフライト中は当然ネットにつなげられないので、新着メールが山のよう。これに返信しつつサクサクと仕事をこなします。
PCからアクセス |
↑空港でも無線LANサービスを提供している場合もあるけど、15分などの時間制限だったり、有料だったりするので自前のMiFiが手軽で簡単。 |
フランクフルト空港での速度テストは以下のとおり。早朝6時ということもあり、3Gでの接続としてはかなりのハイスピード。
1回目 下り:3.96Mbps 上り:4.21Mbps
2回目 下り:4.98Mbps 上り:3.38Mbps
3回目 下り:5.03Mbps 上り:3.25Mbps
(※SPEEDTEST.NETにて計測。測定サーバーは現地から最寄りのポイントを選択。以降の測定も条件は同じ)
●スペイン・バルセロナ編
MWC本番のバルセロナでは、アパートメントタイプの部屋を借りて共同生活。アパートには無線LANのサービスがあったのですが、3回線までと制限があったので、各自のPCだけで埋まってしまいます。そこで、スマホやタブレットはMiFiへつなぐことに。
共同部屋でMiFiが活躍 |
↑PC以外の無線LANデバイスはMiFiに接続することにしました。 |
会場でもMiFiは大活躍。というのもMWCの来場者は6万人以上。取材記者用のプレスルームには有線LANケーブル付きの机も大量に用意されているのですが、常に満席。一応無線LANもあるのですが、各国の記者が写真や動画など重たい素材を本国とやりとりしているため、通信速度がことごとく遅いんです。
大混雑のプレスルーム |
↑例年大混雑のプレスルーム。席を確保するのもひと苦労で、床に座り込んで作業する記者も多いです。 |
MiFiからアクセスすれば、プレスルームの回線を使わずとも原稿や写真を編集部に送ることができるわけです。会場での通信速度は下記のとおり。さすがに世界中から私も含めたスマホバカ好きが集まっており、3G回線の利用者も多かったので、フランクフルトほどの速度は出ませんでしたが、それでも常時下り1.5Mbps以上出ていたので安定して通信できました。
1回目 下り:1.54Mbps 上り:0.99Mbps
2回目 下り:1.73Mbps 上り:1.41Mbps
3回目 下り:2.23Mbps 上り:1.1Mbps
また、会場ではUSTREAMを使っての生中継も敢行。この接続もMiFiからの接続で、高画質ではありませんが、1時間ちょい、途切れることなく中継できました。
ただし、ヨーロッパ周遊タイプは通信量の制限があり、国によっては動画配信系のサービスや、直近3日間で400MBを越える通信を行なうと利用中断や速度規制が適用される場合があるので注意です。
MiFiを使ってUSTREAM中継 |
↑山根博士とMWCの会場から生中継。でも動画はデータサイズが大きいので、通信量の使いすぎには注意が必要。 |
●ポルトガル・リスボン編
MWCの取材が無事終わったので、ポルトガルのリスボンまで足を伸ばすことにしました(こちらは趣味のひとり旅)。
あちこち旅してはいますが、ポルトガルは初訪問。 とりあえず市内に向かうバスに乗り込みましたが、当然ながら土地勘がなく、右も左もわからない状態。そんな場合でも、MiFiをオンにしてスマホで地図アプリを起動すれば現在位置がわかるので、バスに乗りながら、どのあたりの停留所で降りれば良いかがひと目でわかります。
世界中Googleマップがあれば怖くない! |
↑あらかじめホテルの場所をマイプレイス(☆印)に登録。近くなったらバスを降りれば良いので初めての土地でも安心。むしろ怖いのはスマホのバッテリー切れのほう。 |
スマホがあればガイドブックも不要 |
↑街歩きで観光スポットを見つけたとき、写真にとってSNSに投稿したり、詳しい情報を調べたりできるので、スマホとネット環境は海外旅行の必須アイテム! |
リスボンの宿泊施設は2日前にリニューアルオープンしたばかり……というか、まだ工事中でした(一応泊まれましたけど)。無線LANサービスはあるものの、使っていると急に切断したりと不安定。というわけで、ここでもMiFiで接続。
リスボンでの通信速度は下記のとおり。夕方かつ室内(欧州は石壁が多く電波のとおりが悪い)での計測なので、フランクフルトほどスピードは出ませんが、それでも上りが常時1Mbps以上出たので、体感的にはサクサクです。
1回目 下り:1.41Mbps 上り:1.19Mbps
2回目 下り:1.75Mbps 上り:2.03Mbps
3回目 下り:1.59Mbps 上り:1.18Mbps
以上が“ヨーロッパ周遊プラン”を使っての実際の利用状況。
ちなみに、“ヨーロッパ周遊プラン”と国内キャリアの海外ローミングを気にせず使った場合を比べると、下記のような金額差となります。
▼ヨーロッパ周遊プランの場合
レンタル期間:13日間(1580円×13日ぶん)
合計2万540円
※ヨーロッパ周遊プランは帰国後端末を返却するまで。
▼データローミング(ドコモを上限まで使用)の場合
ローミング期間:12日間(2980円×12日ぶん)
合計3万5760円
※データローミングは現地での実際の利用時間のみのため1日少ない計算。
データローミングより1万5000円以上安いです。今回は集団生活だったこともあり、3人で割り勘したら、ひとりあたま約6847円。安っ!
もちろん、現地キャリアのSIMを購入して通信するという方法もあり、こちらはひとり旅の通信費的には圧倒的に割安。
▼例)現地SIM購入の場合
ドイツ(T-Mobile)
:9.95ユーロ(10ユーロがチャージ済み、データ定額4.95ユーロ/日)
スペイン(Yoigo)
:5ユーロ(SIM代)+10ユーロ(データ定額1.2ユーロ/日)
ポルトガル(Vodafone)
:25ユーロ(600MBのデータパック込み)
合計 49.95ユーロ(約5400円)
とはいえ前提としてSIMフリーのスマホが必要だし、現地で買うには、まずSIMを売っている場所を調べ→店員から買い→買った後に自分で設定、と3行程必要で、それなりに慣れた人でないとハードルが高いのも事実。そもそも日本のSIM外しちゃったら日本からの着信が受けられないですしね。
それにヨーロッパ旅行は鉄道で国境をこえることも多いので、その場合、次の滞在地でSIMを入手するまで通信できないことになるんですよね。ヨーロッパのあちこちを巡るパックツアーなんかに申し込んじゃうと、それぞれの国での滞在時間が短くて、そもそもSIMを物色している時間がなかったりもします。
その点、グローバルデータの“ヨーロッパ周遊タイプ”なら、国境を気にすることなく通信ができる。24時間日本語でサポートしてくれるし、数人でヨーロッパに出かけて気軽に通信するには、オススメの手段だなぁと感じたのでした。
というわけで、そろそろ日本に帰りまーす。
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