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英語版・初音ミクの詳細がわかった! Miku Conference会場レポート

2011年07月08日 10時00分更新

 ロサンゼルスで7月4日まで開催していた“アニメエキスポ2011”では、ライブ以外にも基調講演やセミナーなど、初音ミク関連の催しが盛りだくさんだった。2日の午後には“Miku Conference”と題したセッションが開催され、初音ミクの開発者であるクリプトン・フューチャーメディアの佐々木渉さんと、ボーカロイドPの小林オニキスさんが登場。英語版の初音ミクの開発予定やボーカロイド文化について語っていた。

Miku Conference
ボカロPの小林オニキスさん(左)と、クリプトンの佐々木さん。

 「英語版の初音ミクも前向きに考えさせてもらえればと思っています」
 カンファレンスの中盤、佐々木さんはそう語り、
 「今夜あたり、英語版初音ミクのベータ版が大音響の中で歌うことがあると思います」
 と続けると、客席埋め尽くした現地のファンからは大きな拍手と歓声が巻き起った。

Miku Conference

 カンファレンスに参加したファンのほとんどが、日本語版しか販売されていないため、実際に楽曲をつくったことのある人はほとんどいなかった。ボーカロイドを愛する気持ちは日本のファンにも負けない彼らだけに、この佐々木さんの発表には大興奮だった。

■電波系に合う? 英語版ミクの声質

 さらに英語版の詳細も少しだけ明かされた。それによれば、英語版のミクは、日本人らしさが残った発音になるようだ。佐々木さんによると、「初音ミクの声である藤田咲さんは、英語があまり得意ではありません。ネイティブの方とは離れた、日本人らしいカタカナ英語のような発音になっていますが、それでも英語向けの発音パターンが増えている。日本語の初音ミクに無理矢理、英語曲を歌わせるのとは、ちょっとニュアンスが違う」とのことで、声質については、「初音ミクのノーマルと『Append』の“DARK”の中間ぐらいで、ニュートラルな声。日本で言うところの秋葉原系、電波系のポップスに合う」と説明していた。
 Appendとは、初音ミクと鏡音リン・レンで発売している声の追加ライブラリのこと。通常版に加えて、より感情豊かな歌声を再現することが可能。

 ちなみに会場では、初音ミク以前に発売されていたボーカロイド・『KAITO』のAppendも披露された。そのKAITOの声を担当する風雅なおとさんは、現在英語を勉強中とのこと。佐々木さんが「ミクといっしょに英語版をつくれないか検討しています。楽しみに待っていてください」と語ると、会場からは拍手が起こった。

■英語版の登場でクリエイターは増えるのか?

 米国におけるボカロファンは、YouTubeで曲を知り、音楽やキャラクターを消費するという人が大半であり、先述したように実際に曲をつくる人は多くない。

 日本でボーカロイドの人気が高まった理由は、消費するだけでなく、誰かの動画を元ネタにして、別の人が作品をつくるという“創作の連鎖”があったことが大きい。

 佐々木さんは昨年4月、初音ミクの追加ライブラリ『MIKU Append』を発売したときのことを振り返り、「ボカロPさんが、いかにボーカロイドを活用してくれるか。そこでいい曲が生まれれば、自然とファンが評価してくれるという、きれいな循環が生まれるのだと再確認した」と語る。米国に本当の意味でボーカロイド文化が根付くには、クリエイターにも興味をもってもらう必要がある。英語版初音ミクがそのきっかけになれるかどうか、気になるところだ。

 オニキスさんは「日本のアマチュアミュージシャンがつくった曲が、世界的に聴かれているという状況がおもしろいと思ってます。アメリカの方がつくったボーカロイドの曲を、日本にいる僕も聴きたい。日本でボーカロイドCDがランキングチャートの上位に食い込むことが起こったように、アメリカでもレディー・ガガと初音ミクが並ぶところが見たい」と語る。この話が通訳されて会場に伝えられると、大きな拍手と歓声が起こっていた。

 その後、佐々木さんが「今はYouTubeやFacebookなどを通じて世界が小さくなって、情報の伝達が速くなっている。われわれも皆さんに英語で情報を出して、コミュニケーションしていけるように努力していきたい」とイベントを締めた。

 このカンファレンスの後、佐々木さんが予告したとおり、MIKUNOPOLISのライブで、英語版の初音ミクが歌う“ワールズエンド・ダンスホール”が披露された。反応は上々で、曲の途中でもあちこちから歓声が上がっていた。オニキスさんが夢見た世界が実現するかどうか、英語版にも引き続き注目ですぞ!

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