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インドに進撃する中華スマホ

2020年01月04日 09時00分更新

上位モデルも下位モデルも両方自社でやってこそだったはず
インドでも中国メーカーが席巻するかに注目

 それにしても日本のスマートフォンはなぜ海外でダメだったのか、うまくいかなかったのか、というのをあらためてインドで考えさせられた。

シャオミの直営店では多くの人で賑わっていた

 高付加価値で生き残れと言わんばかりに、日本のメーカーが取ったのが、上位機種だけメーカー自身がつくり、それ以外を海外に外注してコストダウンするというもの。そうすると技術力が低下して、上位機種を作るためのノウハウも、外注に滞りなく作ってもらうためのノウハウもなくなってしまう。部品メーカーへの大量発注もできなくなってしまう。値段は高くなるわ、付加価値がなくなってくるわでジリ貧になってしまうわけだ。日本の人件費が高い、安い製品は外注で、と言われていたが、どうしてそんな論調になってしまって、こういう結果を予想しなかったのかと思う。

 また「いいものを作っていれば消費者が自然と買ってくれる」という迷信もあった(今もあるかもしれない)。一般に認知されなければ選択肢にも入らないのに、中国やインドをはじめいろんな国で、いろんなところを街歩きしていても日本のブランドの広告を見ることがものすごく少ない。今だけでなく昔から見ることは少なかったのだ。日本での「いいものさえ作ればうまくいく」論が普及した背景には当時の空気に流れ流されたところがあるのだろうか。

 さて、筆者が中国についてこれまでウォッチしてきて思うに、中国は中国企業が確実に勝つ特殊な市場であり、外国企業にとって厳しいのは正直仕方がないと思う。あのサムスンすらシェアは0.7%まで低下したのだ。韓国がTHAADミサイルを配備する騒ぎで、中国人は韓国製品不買に走り、販売店が激減した。サムスンですら中国では雀の涙のようなシェアに落ちてしまったのだ、日本のメーカーがほぼ惨敗するのもわかる。

 ただ他の国の市場はそうはいかない。インド人のそれなりの年齢の大人はソニーが大好きであり、その証拠にさまざまなソニー製を名乗る商品が登場した。少なくともインドで偽物が出てくるほどにソニーのファンだった人はいるわけだ。だとしたらソニーも、ソニー以外のメーカーも、こんな製品をリリースしたよ、とアピールして、しっかり市場をとってほしい。スマートフォンで復活は難しくても、ほかのジャンルはまだ頑張れるはずだ。たとえば家電量販店のテレビ売り場で日本のメーカーの製品が売られているが。ここにもシャオミが進出し、コストパフォーマンスで攻めてきている。

インドで見つけたソニー愛を感じる買い物袋

 2020年は中国企業がインドにスマートフォンで進出し、さらにテレビにも進出する。日本企業が頑張って店の目立つ場所で売られ続けるか、中国メーカーに売り場を占拠されるか。もちろん前者であってほしいが、中国企業のインド進出を注視していきたい。

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