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小島監督が2つのギネス世界記録に認定!!「『DEATH STRANDING』World Strand Tour 2019 TOKYO」レポート

2019年11月11日 15時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII

ポジティブは無償の愛!? 小島監督が作品に込めた想いとは?

 イベント後、メディアによる小島監督への単独インタビューが行なわれた。まず最初はイベントについての感想などについての質疑応答が実施された。

――ギネス世界記録に選ばれたことへの率直なご感想。また、今後どのようなことをSNSで発信されていこうと考えていらっしゃるのか、教えてください。

小島監督:僕の場合は、本を読んだり、映画を観てそれをつぶやくと、僕のファンがどんどん拡散してくれて、いいねが増え、つながっていく。そういったつながりという良さをもっと伝えていきたいですね。ちょっと、しんどいなとも思っていたのですが、もうちょっと頑張ります。

――ワールドツアー中に発売を迎えましたが、監督にもユーザーの感想などが届き始めたかと思いますが、率直なご感想をお願い致します。

小島監督:こうしたゆるいつながりがイイという人が結構いて、ちょっと驚きました。

――本日は久しぶりにファンの前に出るイベントだったと思うのですが、率直なご感想をお願いします。

小島監督:4年ぶりの新作で、ワールドツアーは10年ぶりくらいなのですが、つながろうつながろうとは言っていますが、実際に会うの一番ですね。直接フォトセッションやサインをすると、接触して握手して、お互いの気持ちを交換するのはよかった。日本の方とはあまりできませんが、肩を組んだりしましたね。

――今作(『DEATH STRANDING』)は映画界で活躍する俳優の方もたくさん出演されていますが、監督は映画とゲームの垣根というものをどう思っていらっしゃるのか、改めてお聞かせ願えますでしょうか。

小島監督:昔はフィルムとデジタルで違うと言っていましたが、最近は両方デジタルになって、将来はストリームといった同じ場所に集まるはずです。映画は映画で残ります。今のゲームも残りますが、その間がどんどんなくなってきて、どちらでもない新しいデジタルのエンターテイメントが出てくると思います。

 映画とゲームのプロセスは途中まで一緒なんです。ただ、ゲームの最終出力はインタラクティブというだけなんです。同じ技術も使いますし、同じキャストがストリームの中に入ってくるので、垣根というものはなくなって、もっと広い大地というか、つながるので。僕はその映画とゲームの橋渡しをしないといけない世代だと思うので、それをやっています。なので、5年10年するとそういった議論はなくなるのかもしれません。

――ゲームを開発している時に、一番これはチャレンジだったと思ったことはなんでしょうか。

小島監督:新しい物は形がないとわからないんですよ。僕の頭の中を見せる訳にはいかないので、言葉で説明したり、絵を描いたり、なのでスタッフもわからないんです。たとえば、(『DEATH STRANDING』には)「いいね」があるじゃないですか。あれはポジティブなんですが、普通SNSにある、ネガティブの方はなぜないんですかと。

 また、お金にならないと、同意してもらえませんでした。スタッフはゲームって自分が有利にならないと、そういうこと(いいね)しないんですよ、と言うのですが、それをやると普通のゲームじゃないかと。“ポジティブというのは無償の愛だ”と、とにかくこれをみんなでやりましょう、と言って作り出して、1年半くらいしたらようやくいけるぞというふうになりました。

――ゲーム内にエジプトの死生観が見受けられましたが、エジプトを例に挙げられたのには何か理由があるのでしょうか。

小島監督:エジプトでは死んだ者が帰って来るためにピラミッドを造って、生と死という概念が生まれたのは人類の起こりでもあるので、そこにフォーカスを当ててその要素を入れています。ただそれは、知りたい人が知れるようにアーカイブに入れ、分かる人は分かる、知らなくていい人は知らなくていいような構造にしています。映画とは違うので。

――『DEATH STRANDING』を作り始める前に、月に関するツイートをされ、トレーラーでも月が印象的なシーンとして使われているなと思ったのですが、本作と月との関係、または監督の思い入れがあったりするのでしょうか。

小島監督:僕は不可能の7割は可能だと思っています。人生でいろいろできないことがあって、できないことを超えないと評価されません。まともに越えなくてもよいですよ、壁があっても横から行ったりとか。これがゲームデザインなんです。

 僕は子供のころ宇宙飛行士になりたかったのですが。50年前に誰もが行ったことのない、前例もない月にアメリカ人の3名が、何千人のサポーターはいましたが、9日間行って帰ってきたんですよ。それを考えたらなんでもできるような気がして、クリフのセリフにもそういう意味合いが含まれています。

――『DEATH STRANDING』はオープンワールド的だけれどもインタラクティブで。その塩梅って難しいと思うのですが、一番苦労したところはどこでしょうか。

小島監督:ゲームとストーリーテリングって、本当はあまり相性がよくないんですよ。僕はマルチエンディングのゲームは好きですが、あれはストーリーではないと思っているんですよ。だから僕のゲームではないんですよ。ある一本の運命があって、どんなに頑張っても彼氏と彼女が別れる、というのがストーリーじゃないですか。

『DEATH STRANDING』はオープンワールドなので、自由度がないと意味がないじゃないですか。AからB、BからCにつなげていくんですが、そのルートは自由なんですよ。ただ、AからB、BからCという時間の流れがあるから、ストーリー になるという設計なんです。AからC、AからDにはいかないんで、ただAからBに行く際に、山に行ってもいいし、川を渡ってもいいしという自由度があるんです。

 たとえば、東京、渋谷、上野に行くという3点は決まっているんですけれど、電車で行く、歩いていく、タクシーに乗る、とそこは自由なんですよ。でもそんなに凄いストーリーテリングではないんですよ。

――ゲームをクリア後も任務を続けたり、他のプレイヤーとつながりたいという人はいるかと思うのですが、そうした人たちに向けてのアップデートなどは何か考えているのでしょうか。

小島監督:DLCの予定は今のところありません。ストーリーが終了しても、配達任務はずっと続けていけます。隠れている人もいますし、ミッションも多いので、ストーリーが終わったとしても割と遊べるようになっています。

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