ポートピア、オホーツクに思いを馳せて
Steamおすすめゲーム「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」1980年代ADVオマージュのコマンド選択型推理ADV
1980年代後半、ファミリーコンピューター全盛期の時代とはいえPCでもゲームを出していた会社は珍しくはない。ドラクエでヒットする前のエニックスもMSXやNECのPCシリーズなどに自社の作品を出していた時代でもある。そのドラクエの生みの親でもある堀井雄二氏が関わったADV作品が何本かあり、その一本でもある「オホーツクに消ゆ」はPC・ファミコンにおけるコマンド選択型アドベンチャーゲームにおける名作の一つともいえる。
そんなオホーツクや当時のADVを現代向けの内容でオマージュした作品である「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」を第104回に紹介する。
本作品は日本語字幕に対応している。詳しい操作は後述するが、特にせわしない操作も必要としないためキーボードでもコントローラーでもどちらを使用しても良いだろう。
また、ゲーム中にスタートボタンを押すことでゲーム内設定を開くことが可能だ。デフォルトのままだと画面が小さい場合はウィンドウサイズと文字サイズを上げることを推奨する。
8Bitに彩られた現代ミステリー
本作品は2018年に販売されたNintendo SwitchのDL配信ゲームからの移植である。原画に前述のファミコン版「オホーツクに消ゆ」の原画担当の荒井清和氏を起用したオマージュタイトルとなっている。ファミコンでできる範囲の動きを再現することに注力しており、グラフィックや音楽、表示する漢字の量なども徹底的にこだわっている。
そんな本作品のシナリオだが、自分の部下である"開明寺ケン”が東京上野の公園にて変死体を発見し、朝から呼び出される所から開始する。変死体の手がかりを追ううちに話は伊勢志摩へと移っていく。
伊勢志摩では変死体が残した手がかりを追う中、”蒼月”と呼ばれる黒真珠にまつわる過去の因縁に二人は巻き込まれていく。変死体は何者だったのか・・・蒼月の過去とは何なのか?というのが簡単なストーリー導入となっている。
基本はコントローラーでコマンドを選択し、状況に合わせてケンに現場を調べたりさせることで進展する。ケンが常にプレーヤーにヒントやどういうことをすれば良いかヒントをくれるため、詰まることはないかと思われる。
とはいえ、スマートフォンや、パソコンなどの現代ツールは違和感なくゲーム中に登場する。上司であるはずのプレーヤーは未だにガラケーを使用しており、必要な際はケンにスマホを指示して使わせるという情けない絵ではあるがゲーム中でも非常に重要な要素となっている。
本作品は殺人事件の捜査ということもあり、若干登場人物は多い。誰がどこに関係しているのかは把握しておこう。把握していれば次に取るべき行動も見えてくるだろう。他にもメモが必要な場面はあるかもしれないので、メモを取る癖を序盤から付けておくと役に立つかも・・・?
ただ単にオマージュとしてだけではない作品の良さ
オマージュしているだけで終わらないのが本作品の良さである。伊勢志摩の観光案内も兼ねており定番となる観光スポットはほぼ抑えられている。空気感は"火サス”そのものといえば分かる人も中にはいるのではないだろうか。
余談だが本作品で二人の捜査本部となっている居酒屋オザキでのやりとりは毎回筆者の腹に来るため大変であった。とにかく旨そうな料理名と飲みたいのを抑えてゲームをプレイするのは残酷である。
元を超えて新たな物を生み出す。クリエイターにとっての地獄でもあり命題でもあり、ゲーム中でも提起される内容でもある。本作品のオマージュは当時のプレイヤーにとっても納得のいく物である。元々筆者はTwitterで流れてきた画面写真で興味を引かれ出会ったが、Steamに移植されるまで一切の情報を遮断していた。そんな本作品は既に次回作の作成もクラウドファンディングの成功により確定している。次回は東北となるようだが、東北でも筆者の財布・・・いや腹具合に強烈な印象を残してくれるのだろうか。
自分の好きだった物へのオマージュ。それが良きテイストで組み合わさったとき、作品は見事に昇華を遂げる。当時新幹線を降りてBGMに心奪われたあなたや、2分間待ったあなたも、伊勢志摩に心奪われてみるのは如何だろうか?
補足
本作品のDLCでもあるサウンドトラックは一般的なサウンドトラックDLCと違い、ゲーム中に要素として追加されるものであるため注意。筆者のようにサウンドトラックに目がない人は公式サイトで物理サントラが販売されているのでそちらを参照してほしい。
「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」の推奨動作環境は?
最低動作環境がDirectX11 CompatibleとCPUが2Ghz以外特に記述はない。Windows10以降の環境でOSが安定して動くのであれば問題は無いかと思われる。
「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」
●Happymeal Inc.
●ESQUADRA,inc.
●1000円(2019年7月25日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows
ジャンル アドベンチャー
©Happymeal Inc.
■著者:rate-dat
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: ratedat
・Twitter:@rate_dat
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