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長さ2倍! アスペクト比32:9の49インチディスプレー「ROG Strix XG49VQ」実機で検証

2019年06月04日 17時00分更新

 ASUSは5月31日、アスペクト比32:9の49インチ湾曲スーパーウルトラワイドディスプレー「ROG Strix XG49VQ」を販売開始した。2枚のディスプレーを連結したような横長の大画面が特徴で、アスペクト比32:9に対応するPCゲームであれば、きわめて広い表示領域でゲームをプレイできる。通常のディスプレーで遊ぶのとは異なる、新たな体験をもたらしてくれる製品と言えるだろう。

 発売前に「ROG Strix XG49VQ」の製品サンプルをお借りできたので、詳細を見ていこう。

21:9よりもさらに横に長い“スーパーウルトラワイド”

「ROG Strix XG49VQ」。実売価格は16万円前後。曲率1800Rの49インチVAパネルを採用

 本製品の最大の特徴とも言える液晶部分は、解像度3840x1080ドット、49インチのVAパネルを採用している。アスペクト比は32:9で、いわゆるウルトラワイドディスプレーの21:9よりもさらに横に長い“スーパーウルトラワイド”と呼ばれるサイズだ。

 ちょうどフルHD解像度のディスプレーを2つ並べた場合と同じ体感になるわけだが、本製品はさらに、曲率1800R(半径1800mmの円に近似する曲線)の湾曲パネルを使用しており、包み込むような独特の没入感が得られる。デュアル(トリプル)ディスプレーで表示領域を広げてゲームを遊ぶ場合のように、各ディスプレーを隣接させた部分のベゼルや隙間にさまたげられることもなく、広大な表示範囲をフルに利用できるというわけだ。応答速度は4ms(GTG)で、ゲーミング系の製品としては早くも遅くもない、といったところ。

ASUS公式サイトから。本製品は27インチのフルHD液晶を2つ並べた表示サイズとのこと

 ゲーミングディスプレーらしく、リフレッシュレートは144Hzに対応する(ただし、HDMI接続時は最大120Hzとなるので注意)。とはいえ、本製品は長辺の解像度が4Kに並ぶため、PCゲームでハイフレームレートを出すためにはそれなりのスペックのPCが必要になることは覚えておきたい。また、最大輝度は最大450cd/㎡で、DisplayHDR 400認証を取得済み。AMD製GPUで利用可能なFreeSync 2 HDRにも対応するものの、DisplayPortのバージョンが1.2でHDRに対応しないため、利用する場合はHDMI接続が必須だ。なお、シネマ向けの色域指標であるDCI-P3の色空間カバー率は90%と、ゲーミング製品ながら高色域の表示を実現している。

 スタンドを含む本体サイズは約幅1193×奥行き344×高さ529mmと、幅1メートルを超えてくる。重量も約13.3kgあるため、設置スペースはしっかりと考えるべきだろう。ROGシリーズのディスプレーは本体を支えるスタンドが独特で長さもあるので、設置の際は気を付けるといい。また、パネル部分はプラス16度からマイナス16度までの左右角度調節、120mmまでの高さ調節、プラス20度からマイナス5度までの前後角度調節が可能だ。

映像入力端子は、HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.2×1。

PC接続用のUSB入力端子を接続すれば、本体のUSB 3.0ポート2つも利用できる

 映像入力端子は、HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.2×1の3系統。PBPによる最大3画面の画面分割にも対応しており、画面の半分にPCの画面を表示しつつもう半分でゲーム機の映像を表示するような使い方も可能だ。たとえば攻略情報や動画を見ながらのゲーム、配信を見ながらのゲームなど、使いこなせば非常に便利なため、覚えておくといいだろう。また、PC接続用のUSB入力端子を接続しておけば、本体のUSB 3.0ポート2つが利用可能になる。

 そのほか、暗部の表示を持ち上げる「Shadow Boost」テクノロジーや複数のHDR表示モード、タイマーやクロスヘアの表示機能、0~4段階までのブルーライトカットといった、ゲーミングディスプレーおなじみの機能を備えている。

アスペクト比32:9は実際どんなPCゲームで使えるのか?

 以上のように魅力的なスペックを備えるROG Strix XG49VQだが、この手のディスプレーを購入する場合、プレイするPCゲームもある程度は吟味する必要がある。なぜかといえば、アスペクト比32:9の表示に対応しないゲームのみをプレイする場合、本製品の魅力を最大限引き出せるとは言いにくいからだ。

「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」は、アスペクト比32:9に対応せず、画面が引き延ばされる

解像度は選べるものの、これを選択してもアスペクト比は正しく適用されない。こうしたゲームは結構多いので注意が必要だ

 参考までに、上の画像は「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」を表示してみたところ。一見画面全体にゲーム画面が表示されているように見えるが、これは単に16:9の画面を横に引き延ばしているだけで、表示領域が拡大されているわけではない。こうしたタイトルは割と多く、もちろんこれでもそれなりの臨場感や没入感は感じられるのだが、せっかくなのだからきちんと表示領域が広がるタイトルで遊びたいと思うのがユーザー心理というものだろう。検証できる時間は短かったが、編集部でプレイできるPCゲームタイトルをいくつか試してみたので、その結果を紹介する。

レースゲームは鉄板、好相性なのは「FFXV」

「Project CARS 2」。ふつうに起動するだけで対応

運転席からの眺めがより快適に

 まず、この手の横に広いアスペクト比で表示できる鉄板のタイトルとして挙げられるのがレースゲームだ。運転席からの視界を再現するため、多くのタイトルが横長のアスペクト比に対応している。ここでは「Project CARS 2」で試してみたが、特に苦労することなく設定が完了し、コクピット視点での運転がはかどる環境を構築できた。ハンドルコントローラーやシートなど、より没入感を高める周辺機器との組み合わせが生きるだろう。

「Metro Exodus」はアスペクト比「オート」を選択すればOK

景色が美麗なタイトルなので、相性は抜群

参考までに、同じ場面で通常のアスペクト比を選択してみた。画面が引き延ばされ、表示領域がまったく異なるのがわかる

 美麗なマップを探索するタイプのタイトル「Metro Exodus」では、アスペクト比「オート」を選択することで32:9表示に対応できた。見渡せる範囲が広がり、不意の敵襲などにも気づきやすくなる利点がある。

「FINAL FANTASY XV」も32:9に対応

3人称視点のゲームだが、快適さはかなり向上する

「ハンマーヘッド」周辺の小高い岩の上から周囲を見渡してみた。“冒険している感”が強く出てグッとくるがUIが端に寄ってしまう

 筆者が個人的に一番グッと来たのは「FINAL FANTASY XV」だ。こちらもゲームのオプションから解像度「3840×1080」を選択するだけで32:9に対応できたが、序盤で訪れる整備工場「ハンマーヘッド」周辺を広く見渡した時の感動は、通常のディスプレーでのプレイでは味わえないものだろう。没入感を高める湾曲ディスプレーの性質上、このようなロールプレイングタイトルとの相性も良いので、ROG Strix XG49VQを手に入れた際はぜひ触ってみることをおすすめする。

「Apex Legends」は対応するアスペクト比が21:9まで

21:9の引き延ばし表示になってしまう。とはいえ、これでも割と楽しい

 大作タイトル人気のFPS「Apex Legends」では、全画面表示が可能なものの、画面自体は引き延ばした16:9表示になってしまう。画面の両端部分は明らかに引き延ばされてしまうので、気になる人も多いだろう。とはいえ、これでも没入感があって結構楽しいのだが……。

「新鮮なゲーム体験」が欲しいユーザーに最適

 ROG Strix XG49VQの実売価格は16万円前後。ゲームと普段使い、どちらの用途でも利便性は高く、性能的には間違いなくおすすめできる製品といえる。これだけの表示領域の広さは、特に多くのゲームをプレイしてきたゲーマーに、何物にも代えがたい新鮮なゲーム体験をもたらしてくれるはずだ。一方で多くの家庭においては、まず価格や設置スペースの問題をクリアする必要も出てくるだろう。それさえ何とかなるのであれば、一考に値する製品なのは間違いない。

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